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「ユーザーが次の行動を起こすための支援を」、IBCが監視ツールで提供できるもの
クラウド EXPO ブースレポート
(2014/11/4 06:00)
「クラウドコンピューティングEXPO 秋 2014」において、アイビーシー株式会社(IBC)のブースでは、ネットワークから仮想サーバーまでを対象とする性能監視ツール「System Answer G2」と、その関連ソリューションを展示していた。
System Answer G2は、ネットワークからサーバー、仮想マシンまで統合的に監視できるのが特徴となっている。ネットワーク機器やサーバー、ストレージ、無線LAN機器、UPSなど、さまざまな機器に対応。問題が起きたときには、全体の中でどこに障害やボトルネックがあるかを切り分けて分析できる。
主に監視プロトコルのSNMPベースで監視する。ベンダーが独自に定義するプライベートMIB(Management Information Base、監視情報の項目)にマルチベンダーで対応しており、現在95ベンダー以上の3000弱の機種で検証しテンプレート化しているという。
SNMPのほか、VMware vSphereのAPIにより、仮想環境のゲストおよびハイパーバイザーの監視にも対応している。また、アプリケーション監視や、ログやSNMP Trapの監視、ステータス監視などにも対応する。
情報を1分と短い間隔で取得するのも特徴で、突発的なバーストトラフィックなども素早く検知可能だ。取得した情報は、グラフなどで表示。さらに、性能監視の結果から傾向(ベースライン)を学習し、ベースラインと現在を比較したり、大きく変化があったときにアラートを出す「予兆検知」の機能も備える。
現在のSystem Answer G2は第3世代の製品にあたり、ソフトウェアまたはアプライアンスの形態で販売している。700社強のユーザーがあり、データセンターなどのサービス事業者にも導入されているという。
ブースではこのほか、System Answer G2の性能情報の統計データを可視化してユーザー間で共有するサービス「System Answer RS Global Baseline」も展示された。例えば、スイッチのCPUの負荷の数字を見ても、それが高い値か低い値かはわかりづらく、監視のしきい値などを設定するのも難しい。そこで、参加するユーザーから集めた数値を元に、機器ごとの平均値をWebから見られるようにすることで、各ユーザーが参考にできるようにする。System Answer G2ユーザーであれば無償で利用できる。
インターネットからユーザーのサイトにアクセスしたレスポンスを計測するサービス「System Answer RS ~今日のレスポンス」も展示された。東京、大阪、福岡、シンガポールの4カ所からアクセスしてレスポンス時間を計測してグラフなどで報告する。また、メールや電話によるアラート通知の機能も備える。
現場の運用管理担当者が育てたツール
「監視にとどまらず、ユーザーが次の行動を起こすための情報を提供する」。IBCの監視製品の特色について、同社常務取締役の岩井靖氏はブースでこう語った。
岩井氏はまず、ネットワーク全体を1つのツールで監視できる点を挙げる。前述のとおり、ネットワーク機器やサーバー、仮想マシンまで対応しており、1つのツールで問題点を探して特定できる。
「例えば、トラフィックが増えて負荷が上がってきたとき、ネットワークとサーバーで運用チームが分かれていても、どちらの問題かが一発で切り分けられます。また、データセンターでもパフォーマンスが落ちたときに、データセンターに問題があるのか、利用企業の機器に問題があるのか、インターネットに問題があるのか、責任分界点で切り分けられます」と岩井氏。データセンターでは、制限のかかったSystem Answerのアカウントを顧客に渡し、監視データを直接見られるようにしていることもあるという。
前述した予兆検知も、岩井氏が強調する点だ。「例えば、ダウンしてはいないが負荷にともなって性能低下が顕在化してくるような『サイレント障害』も、学習したベースラインと比較することで、死活監視やしきい値監視では検知できない問題を検知できます」(岩井氏)。
導入も簡単だと岩井氏は言う。大規模な監視システムでは導入するだけで大変なこともあるが、System AnswerではプライベートMIBへの対応の充実もあって、「入れるだけで、監視から収集、レポート文書生成までできて、どこが悪いかがわかります」と岩井氏は主張する。
収集や分析の高速さも追求しており、1システムで最大、5000ノード・10万項目をさばくという。同社取締役で開発部門を統括する北村博氏も「速さは台数が多いときに効いてきます。この数字はもう1けた上げる予定です」と語る。
データ表示までの早さなど、「『見たいとき』から『見られるとき』までが早い」とも、北村氏は説明する。「標準の管理ツールでは情報を見るまで待たされるものでも、System Answerではすぐ表示されます」(北村氏)。
素早い分析のためには、ある画面から見たくなった情報にすぐに移れるなどのユーザーインターフェイスの工夫もなされている。これは、直販で大手のユーザーなどの要望を受けたり、コンサルティングで情報を可視化して説明するときに必要になったりした機能に対応してきたことによると岩井氏は説明する。「『現場の運用管理担当者が育てたツール』といえます」(岩井氏)。
6月には、IDCフロンティアとパフォーマンス最適化や監視サービスに関する業務提携も発表している。「サービス事業者は、仮想サーバーをできるだけ効率よく詰め込んでコストを下げたいと思っています。そこで、同じホストで、CPU主体の仮想マシンどうしでなくI/O主体の仮想マシンと同居させたり、負荷のかかる時間帯の異なる仮想マシンどうしで同居させるなど、組み合わせのレコメンド機能も開発しています」と岩井氏は言う。
また、System AnswerではAPIを公開し、他社製品との連携をはかっている。「例えば、構成管理ツールから監視を設定したり、監視とパケット統計を組み合わせたりといったこともできます。今後、System Answerを核に、運用を簡単にしていきたいと考えています」(岩井氏)。