Windows Server 2012の日本での提供開始を発表~米Microsoft 沼本コーポレートバイスプレジデントが講演


 日本マイクロソフト株式会社が開催しているプライベートイベント「The Microsoft Conference(MSC) 2012」において、同社・樋口泰行社長による基調講演に続いて行われたのが、米Microsoftのサーバー&ツール マーケティンググループ 沼本健コーポレートバイスプレジデントによる、「Windows Server 2012 が実現する、ハイブリッド クラウドの全貌」と題した基調講演だ。

 新たな企業システムのプラットフォームとして進化した Windows Server 2012と、Windows Azureが実現する企業システムの姿を、導入企業のメッセージやパートナー企業の最新ソリューションを、デモンストレーションを交えて紹介した。

 

期待の新製品Windows Server 2012が登場

米Microsoftのサーバー&ツール マーケティンググループ 沼本健コーポレートバイスプレジデント

 沼本氏は、「サーバー製品は非常に好調であり、9四半期連続で2けた成長を遂げており、年間200億ドルの売上高に急速に迫っている。製品が市場の要求に合致しているということもあるが、それ以上に、みなさまのサポートがあることが理由。感謝したい」と切り出した。

 また、「本日、Windows Server 2012の日本での提供開始をアナウンスできる。私はこれまで17年間にわたって、Microsoftでさまざまな製品の開発に携わってきたが、市場導入前から、これだけ多くのITアナリストやお客さまからのポジティブなフィードバックがあった例はない。クラウドOS時代の幕開けを告げる製品であり、戦略的な位置づけを持ったものになる」などとし、Windows Server 2012の日本における普及にも意欲を見せた。

 サーバー製品を取り巻く環境について沼本氏は、「クラウド、コンシューマライゼーション、データの爆発的拡大、ソーシャルの広がりと新たなプリケーションの活用といった大きな動きがある。特に、ネットワークにつながっている端末の数は、すでに世界人口に匹敵するほどの数に達しており、あと3年でこれが2倍になると予測されている。もはや、ネットワークにつながった形でアプリケーションを利用することが前提となっている。これは大きな変化である。また、IDCによると、今後10年でデータ量は44倍にまで拡大すると予測している。ストレージの単価下落よりも、情報が増える上昇率の方が高く、これがコストプレッシャーの要因にもなっている。こうした動きにあわせて、データセンターは進化が求められており、Microsoftにとっても、クラウド時代のOSとはどんなものかといったことを再定義する時期にきていた」とする。

 そして、「Windows Server 2012は、こうした流れのなかで生まれたものである。これまでのようにサーバーを1台ごとに管理するのではなく、データセンターまるごとを、ひとつの大きなサーバーとしてとらえ、そこにアプリケーションを展開すること、管理することが求められている。そうした認識に立って、クラウドOSという観点で開発を進めてきた。このクラウドOSというビジョンは、Windows Server 2012だけのビジョンではなく、System CenterやSQL Server、Windows Azureについても、同様の考えのもとで開発した」などと述べ、「データセンターのさらなる進化」、「新たなアプリケーションへの対応」、「あらゆるデータの分析」、「使いやすいITの実現」をとらえたものが、クラウドOSの基本的な考え方だとした。


クラウドOSの考え方のもとで、さまざまな製品が開発されているMicrosoftが考えるクラウドOSの特長

 また、「Microsoftが提供するパブリッククラウドサービス、お客さまが独自に展開するプライベートクラウドサービス、そして、サービスプロバイダーによって提供されるサービスプロバイダークラウド。こうした3つのクラウド環境にそれぞれ対応した製品を提供している。パブリッククラウドサービスではWindows Azureを用意。プライベートクラウドサービスおよびサービスプロバイダークラウドには、Windows Server 2012を提供する。これらのクラウドOSに共通しているのは、ロックオンされないオープンな開発環境を実現しており、データセンター全体をひとつのサーバーとしても管理できる一元的なシステム管理環境の実現、共通のIDとセキュリティ基盤を持っていること、さらにストレージもネットワークも含んだプラットフォームとしての仮想化を実現していることも大きな特徴である。そして、これを口で言っているだけでなく、Microsoft自身が長年にわたり、クラウドを運用しているユーザーであり、時にはおしかりを受けながら進化を遂げてきた経緯がある。そのノウハウを活用し、信頼性の高い環境を実現している」などと語った。

 同社の検索サービスであるBingでは、1カ月間に55億のクエリーがあるが、同サービスはすでにWindows Server 2012が導入されているという。

 

さまざまな強化が施されたWindows Server 2012

日本マイクロソフト 業務執行役員サーバープラットフォームビジネス本部の梅田成二本部長

 ここで、日本マイクロソフト 業務執行役員サーバープラットフォームビジネス本部の梅田成二本部長が登壇し、Windows Server 2012の具体的な機能について説明を行った。

 梅田本部長は、Windows Serverの機能強化点として、コンピューティングリソースとストレージ、ネットワークの「包括的な仮想化」、オンプレミスとクラウドのシームレスな「クラウド連携」、VDI(RemoteFXによるRDP 8.0の高速化)による「Windows 8連携」、Hyper-Vレプリカによる「事業継続オプション」の4つを挙げ、実際にデモンストレーションを行いながら、その特徴を示してみせた。

 特に、Hyper-Vのスペック向上および高速化については、VMware vSphere5.1 Enterprise Plusとの比較表を表示しながら、「仮想化については、これまで追いかける立場であった。今回の製品ではそれに追いついたのではなく、追いかけられる立場になった」と自信を見せた。


Windows Server 2012の強化点Hyper-Vの機能向上。これによって追いかける立場から追いかけられる立場になったという

 さらに、沼本氏は、クラウドOSのビジョンとして掲げた「データセンターのさらなる進化」、「新たなアプリケーションへの対応」、「あらゆるデータの分析」、「使いやすいITの実現」という4つの観点から、三井物産、JR東日本情報システム、gloops、東京海上日動といった早期導入企業の事例をビデオで紹介。データセンターにおける拡張性やリソースの共有化、安定稼働やサービスの自動化、パーソナライズされた環境やマルチデバイス環境といった、クラウドOSに求められる要素を実現していることを示した。

 また、Windows Server 2012では、200以上のサーバーがCertified Windows Server 2012を取得済みであり、260以上の対応アプリケーションが年内に提供されること、130以上の各種SIソリューションが年内に提供されることなどを示した。

 最後に沼本氏は、「Windows Server 2012は、クラウドOS時代の幕開けとなるOS。ぜひWindows Server 2012の導入を検討していただきたい」と参加者に呼びかけた。


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