【クラウドEXPO】Amazon、サイボウズ、ニフティなどが最新ソリューションを展示~Niciraのネットワーク仮想化も

最新データセンターの設備も展示、石狩からはライブ中継も


 12の展示会とセミナーから構成される「2012 Japan IT Week 春」が、9日から11日まで東京ビッグサイトで開催されている。

 東館1~3ホールには、「第3回クラウド コンピューティングEXPO【春】」を中心に、「第14回データストレージEXPO」「第4回データセンター構築運用展」「第21回ソフトウェア開発環境展」「第17回データウェアハウス&CRM EXPO」と、企業コンピューティングやデータセンター寄りの展示が集まっている。その中からいくつかのブースをレポートする。

 

Windowsサーバーのプライベートクラウドを構築できるサービス

 ビットアイルのブースでは、IaaSサービスの「サーバオンデマンドNEXT」や、Windowsサーバーのプライベートクラウド環境を構築できる「CLOUD CENTER for Windows」を中心に展示している。

 CLOUD CENTER for Windowsは4月17日に正式スタートしたサービス。ビットアイルのデータセンター内で、Hyper-Vの動くホストマシンと、同じく4月に発表されたMicrosoft社のシステム管理ツールSystem Center 2012をユーザーに貸し出し、プライベートクラウドを構築できるようにする。また、Active Directoryも最初から用意されている。主にSIerやホスティング事業者を対象に想定しているという。

サーバオンデマンドNEXTの説明CLOUD CENTER for Windowsの説明
リリースされたばかりのMicrosoft System Center 2012をリモートデスクトップ経由で操作し、プライベートクラウドを管理する

 

サイボウズのWebメールをSaaSで

 サイボウズのブースでは、同社の各種サービスやソフトウェアの中で、開幕日である9日に発表された新サービス「メールワイズ on cybozu.com」を展示している。

 メールワイズ on cybozu.comは、サイボウズが販売しているWebメールソフト「メールワイズ」を同社のクラウド基盤「cybozu.com」上で提供するSaaSサービス。メールワイズは、チームなどで特定の話題のメールボックスを共有できるなど、グループウェア的な性質を持つメールソフトだ。cybozu.com上で提供することにより、管理コストが不要になるほか、同じcybozu.com上の「サイボウズOffice on cybozu.com」や「Garoon」などとの連携も持たせる予定。

 メールワイズ on cybozu.comは、6月に公開βを開始する予定。正式版は10月に予定している。また、パッケージ版のメールワイズも、メールワイズ on cybozu.com正式版のリリースに合わせてバージョンアップを予定しているという。

6月に公開βを開始する「メールワイズ on cybozu.com」

AWS上のHAクラスタなどパートナーが展示

 アマゾンデータサービスジャパン(AWS:Amazon Web Service)のブースでは、AWS自身のほか、パートナー各社の展示やミニセミナーが行われている。

 その中で、NECは、開幕日前日の8日に発表した、AWS版の「InfoCage SiteShell」と「CLUSTERPRO」を展示している。InfoCage SiteShellはソフトウェア型のWebアプリケーションファイアウォールで、Amazon EC2上のWebサーバーへの攻撃パターンを検知しブロックする。「CLUSTERPRO」はフェイルオーバー型のHAクラスタを構築するもので、AWSのアベイラビリティーゾーンをまたがったHAクラスタに対応する。

 ネオジャパンも、8日に発表したSaaS型のグループウェア「desknet's on Cloud」を、AWSブースと、通路を挟んだ自社ブースとで展示している。「desknet's on Cloud」は、同社のグループウェア「desknet's」をベースにAWS上でユーザーにサービスするもので、月額380円から。

 また、ESRIジャパンは、同社のGIS(地理情報システム)ソフトをインストールしたAmazon EC2用のAMI(仮想マシンイメージ)「ArcGIS Server on Amazon EC2」を展示している。

NECのAWS対応ソフトウェアの展示。WebアプリケーションファイアウォールとHAクラスタ右のウインドウのEC2インスタンスを停止すると左のウインドウのEC2インスタンスが起動する
SaaS型のグループウェア「desknet's on Cloud」
GISソフトをインストールした「ArcGIS Server on Amazon EC2」AWSブース

 

HDVC給電の実験を石狩からライブ中継

 NTTデータ先端技術と日本無線のブースでは、高電圧直流(HVDC)給電システムを紹介。給電システムや、ベンダー各社の直流対応機器を展示している。また、ミニセミナーでは、さくらインターネットの石狩データセンターでのHVDC実験施設や、そこで新しく始めた太陽光発電による給電についても紹介。現地からのライブ中継も流した。

ベンダー各社の直流対応機器を展示さくらインターネットの石狩データセンターに設置されたHVDC実験施設からのライブ中継

 

マイクロソフトやセールスフォース、ニフティクラウドも展示

 日本マイクロソフトのブースでは、Windows AzureやOffice 365に関する自社やパートナー企業各社のソリューションを展示している。

 また、自社展示としては、4月にリリースされたサーバー管理ソフト「System Center 2012」と、開発中のサーバーOS「Windows Server 2012」を紹介している。System Center 2012については、自社データセンターとWindows Azureをほぼ同じように管理できることを説明。また、Windows Server 2012については、クラウドに向けたスケーラビリティやQoS、レプリケーション機能などを説明している。

Microsoft System Center 2012の展示。自社データセンターとWindows Azureをほぼ同じように管理できるところをデモしている
開発中のWindows Server 2012の展示

 セールスフォースのブースでは、マーケティング、セールス、コミュニケーション、プラットフォームなどのキーワードごとに、ミニセミナーと展示で自社サービスを紹介。また、パートナー各社の関連ソリューションを展示している。

セールスフォースのブースでは、キーワードごとにサービスを紹介トヨタとセールスフォースによるクルマ向けソーシャルネットワーク「トヨタフレンド」

 ニフティクラウドのブースは、「EC・ソーシャル」「企業内利用」「BCP・バックアップ」の3つの形態ごとにサービスや利用法を展示している。

ニフティクラウドのブースは、利用形態ごとに展示

 

物理ネットワークに左右されないネットワーク仮想化ソリューション

 東京エレクトロンデバイスのブース内のニシラ・ジャパンのコーナーでは、Niciraのネットワーク仮想化ソリューションNVP(Network Virtualization Platform)を展示している。NVPでは、ネットワークではなくサーバーのハイパーバイザー側にソフトウェアを設置することで、物理的なネットワーク構成に左右されずにその上で仮想的なネットワークをセキュアに分離して構成する。

Niciraのネットワーク仮想化ソリューションNVP(Network Virtualization Platform)

 同じ東京エレクトロンデバイスのブース内で、フュージョンアイオーは同社のフラッシュストレージioDriveを紹介している。ioDriveはPCI Expressに接続するフラッシュストレージ。通常のSSDとは異なり、SASなどのディスク用インターフェイスを経ず専用ドライバでサーバーからアクセスすることにより、SSDと比べて圧倒的な速度を実現しているという。

フュージョンアイオーのフラッシュストレージの最上位モデルioDrive2 Duo

 

データセンターの施設の技術も展示

 そのほか、データセンターの施設の技術についてもさまざまな展示がされている。

 NTT東日本のブースでは、ひかりクラウドのサービスと同時に、7月1日からオープンする新しい駒込データセンターを紹介している。展示では、データセンターの3種類の免震構造を、模型を使って実演している

NTT東日本の駒込データセンターの展示模型を使い、免震構造のない場合とある場合を実演している

 NTTファシリティーズのブースでは、モジュラー型データセンターやHVDC給電、空調システムなどの技術を展示している。

モジュラー型データセンターの中に置かれたラック型空調機省エネを目的としたスマート空調制御システム「Smart DASH」

 空調システムについては省エネ技術の展示も多い。デンソーのブースでは、コンプレッサーを使わず冷媒の自然循環でサーバールームの熱を逃がす補助空調システムを展示している。

コンプレッサーを使わず冷媒の自然循環でサーバールームの熱を逃がす補助空調システム

 

日立プラントテクノロジーの局所空調システム三菱電機の空調システム

 アイディールブレーンのブースでは、免震プレートのデモとして、震度7の模擬装置で実演していた。

震度7の模擬装置で免震をデモ
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