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ヤマハの「WLX302」でトラブルを解決、無線LANの見える化が生んだ効果 (WLX302で無線LANのトラブルを解決した事例)

ヤマハ ネットワーク製品アップデートセミナー2014レポート(2)

WLX302で無線LANのトラブルを解決した事例

 無線LANアクセスポイント「WLX302」は、「見える化」機能により無線LANのトラブルの原因を追究できるのが特徴だ。この機能と、実際にこの機能でトラブルを解決した事例について、SCSK ITプロダクト&サービス事業本部 ネットワークプロダクト部 販売促進課の奈良部朝康氏が解説した。

 奈良部氏はまず、無線LANのさまざまな症状とその原因を挙げ、複数の原因で1つの事象が起きたり、1つの原因で複数の事象が起きたりするとして、WLX302を使うと何が原因なのかが見てわかると説明した。

 WLX302の見える化機能は、無線の環境や電波の干渉をビジュアル化する機能と、一度問題があったがその後に問題がなくなったときのために過去の状態がわかるスナップショット機能、各端末の状態がわかる一覧表示から構成される。

 ビジュアル化の画面では、受信信号強度のグラフや、チャンネル使用率、CRCエラー率、スループット値が1つの画面に表示される。同じ画面に、さらに問題の履歴が表示され、その時点のグラフを表示することもできる。

 また、端末一覧表示では、端末ごとの接続状態が表示され、例えばつながったり切れたりしているといった状況がわかる。

 この機能によってトラブルを解決した事例として、ときどき無線LANにつながらなくなるというケースを、奈良部氏は紹介した。このケースでは、CRCエラー率とその推移を確認することで、電子レンジから出る電波が干渉していることを発見。電子レンジの設置場所を移動することで解決したという。

 もう1つの事例としては、通信が不安定になったり遅くなったりするというケースも紹介された。このケースでは、端末一覧表示から、特定の端末が接続が不安定になり、ほかの端末もその影響を受けていることを確認した。その端末の利用状況を調べたところ、フロアを移動したときに、元のフロアのアクセスポイントに接続したままだったため、接続が不安定になっていたことがわかったという。

SCSK ITプロダクト&サービス事業本部 ネットワークプロダクト部 販売促進課 奈良部朝康氏
WLX302の見える化ツール
WLX302の端末一覧表示
ときどき無線LANにつながらなくなるというトラブル事例
CRCエラーのデータから干渉が原因と判明
通信が不安定になったり遅くなったりするというトラブル事例
特定の端末が原因と判明
WLX302の表示から見る典型的なトラブル

 最後にWLX302の導入事例として、茗溪学園中学校高等学校の事例が紹介された。同校はスーパーサイエンスハイスクールの指定を受けており、無線LANを早期から導入していた。しかしそのために、現在では機器が古くなっていて、セキュリティや性能の問題があり、本格的な無線LAN環境を整備したという。

 WLX302を選定したポイントとしてはまず、コンピュータ室で40台が同時接続でき、安定して使えること。WLX302では2.4GHz帯と5GHz帯でそれぞれ同時50台を接続可能で、台数が増えてもスループットの低下が少ないという。

 次のポイントが、ヤマハのルータやL2スイッチと組み合わせることによるLANの見える化。同校には寮が2つあり、課題として出された資料作成や論文執筆を寮で行う。そのために寮にヤマハルータやL2スイッチ、WLX302を配置し、インターネットVPNで接続した。これにより、寮のネットワークにトラブルがあったときにも、校舎から確認や管理ができるという。

 また、校舎の横に気象庁のレーダーがあることから、範囲指定型自動チャンネル選択機能もポイントとなった。5GHz帯の無線LANでは、同一のチャンネルで気象や航空のレーダーを検出すると、自分が移動してチャンネルを空けなくてはならない。このとき、移動先のチャンネルでも検出されると再移動を重ねることになり、時間がかかってしまう。そこで、範囲指定型自動チャンネル選択機能により、あらかじめ空いているチャンネルを移動先として指定しておくことで、再移動の必要を防いだという。

茗溪学園中学校高等学校のヤマハ機器導入事例
50台まで同時接続したときのスループット検証データ
寮のネットワークも校舎から管理
気象レーダーの影響を範囲指定型自動チャンネル選択機能で回避

高橋 正和