仮想化道場

VDIの検証ラボでGPU仮想化を推進するデル

設備を用意しなくても検証を行えるメリット

 しかし、導入にはいくつかのハードルがあった。その中でももっとも大きなものが、検証用の機材・環境の確保だ。NVIDIA GRIDなど、特別な設備をわざわざ用意しないとテストが行えないのでは、普及に対する足かせになってしまう。こう考えたデルで、デルGPUソリューションラボを立ち上げた。

 馬場氏が「このソリューションラボに来られるお客さまとしては、一般社員のVDI環境をテストするというよりも、GPUのパワーを利用するCAD/CAMソフトをお使いのお客さまが中心です」と話すように、他ではあまり類を見ない設備を、顧客も有効に使っているのだという。

 デルGPUソリューションラボでは、デルのサーバーやストレージに加えて、NVIDIAのVDI向けGPUカードであるGRIDや、GPGPU向けのTesla、またAMDのワークステーション向けハイエンドグラフィックカードのFireProなどが用意されている。

 クライアントとしても、デスクトップPCやノートPCだけでなく、タブレットPCやDell Wyseのシンクライアントなども利用できるし、OSやハイパーバイザーとしては、VMware vSphere、Citrix XenServer/XenDesktopなど、さまざまなソリューションが用意されている。

データセンター向けのC8000などを利用すれば、ダブルワイドのコンピューティングユニットに2枚のGPUを搭載できる。これなら、多数のGPU仮想化に対応したサーバーを省スペースにおさめることが可能
デル製品では、VRTXなどのオールインワンシステムからPowerEdge C8000などの高密度サーバーまで、広くGPU仮想化に対応している

 また、GPU仮想化のVDIにおいて大きな問題となることに、CAD/CAMソフトウェアの動作が保証されているのか? 自社で開発したワークステーション向けのソフトウェアがGPU仮想化のVDI環境に対応できるのか? などが挙げられる。

 こうした点はベンダー側でも認識しており、CAD/CAMソフトウェアのNVIDIA GRIDの対応に関しては、PTC Creo、Autodesk、Solidworksなどが認証をとっている。今後は、多くのCAD/CAMソフトウェアでGPU仮想環境での動作保証が行われるだろう。

GRIDを利用すれば、プロフェッショナル向けのCAD/CAMソフトなどをVDI環境で利用できる
vGPUにより、今まではエッジやシェーディングが雑だった表示が、きれいでなめらかな表示となる
簡易表示から、リアルな表示になっている
Autodesk、Soildworks、PTCなど大手のCAD/CAMソフトなどが、GRID上での動作を認証している

 自社開発のソフトウェアに関しては、デルGPUソリューションラボへ持ち込んでテストするケースが多いという。デルでは、ハイパーバイザーやOSなどの設定を行った上でラボ設備を提供しているため、ユーザーは自社開発ソフトを必要な部分だけを持ち込めばいい。現在、ワークステーションなどで動かしている自社開発ソフトなら、サーバー側に大規模なシステムを構築しなくてもテストが行えるため、ラボでのテストもハードルの高いものではない。

 デル社内の設備だけに、GPU仮想化のVDIに詳しい知識を持ったコンサルタントやシステムエンジニアがさまざまな相談に乗ってくれる点もメリットなのだろう。

(山本 雅史)