仮想化道場

Software Defined Data Centerを作るために~VMware

ネットワークの仮想化を実現するNSX

 SDDCを実現するために大きく変わったのが、ネットワークです。NSXは、米VMwareが2012年買収したNiciraのテクノロジーを、VMwareのテクノロジーと融合させたモノです。

 従来のネットワークでは、ネットワークに関するさまざまな設定がすでに決まっており、多くのトラブルの元になっていました。今回リリースしたNSXでは、ネットワークそのものを仮想化して、ソフトウェアで論理的に設定できるようにしました。

 これにより、今まで使われていたVLANなどではなく、NSXのソフトウェア的にセグメントを切ることもできます。また、ネットワーク自体もスイッチを使って多段構成にするのではなく、フラットなネットワーク構成にすることで、システムが変更してもNSX側ですべての変更が行えるようになります。物理的にケーブルの配線を変更するといったことも必要ありません。

 また、ファイアウォールやロードバランサーなども仮想アプライアンスとして利用することで、高いパフォーマンスやセキュリティ性を保つことができます。

 NSXでは、APIをRESTful APIとして提供しているため、サードパーティがNSX上でさまざまなアプリケーションを構築することができます。このようなエコシステムも考えられています。

SDDCを実現する上で大きな問題となっているのがネットワーク
NSXでは、ネットワークを仮想化してフレキシブルに構成できるようにする
ソフトウェアでスイッチ、ルーティング、ファイアウォール、ロードバランサー、VPNなどの機能を提供
NSXによりネットワークの運用モデルは大きく変わる

ストレージもSoftware Definedへ

 SDDCで必要とされるSoftware Defined Storage(SDS)を構築するためには、単にストレージを仮想化するだけでなく、アプリケーションの用途によって必要とされるストレージを構築したり、ポリシーベースで管理できたり、といった機能が必要になってきます。

 SDSに関しては、すべてをVMwareだけで手がけるのではなく、EMCなどとも共同して作業を進めています。

 今回は、SDSの第一歩として、Virtual SANを公式ベータ版として提供しました(製品化は2014年上半期)。

 Virtual SANは、個々のサーバーが持つ内蔵HDDやSSD、DASなどを集めて分散ストレージとして利用する機能です。Virtual SANでは、SSDやHDDなど自動階層化して利用することができます。

 個々のサーバーが持つディスクを分散ストレージとして利用できるため、ストレージのコストは最大50%削減することができます。

データベースなどの既存アプリケーションだけでなく、クラウドの最適化されたアプリケーションの登場により、ストレージに要求される機能が変化してきている
SDSでは、アプリケーションが必要とするストレージを適時に提供できる機能が必要になる
Virtual SANでは、内蔵HDDやSSDを分散ストレージとして利用する
Virtual SANでは、SSDはキャッシュとして利用され、自動的に階層化ストレージを構成する

(山本 雅史)