仮想化道場
クラウドプラットフォーム企業に変容するVMware (ゲルシンガー体制が完成した2013年のVMware)
(2014/1/24 06:00)
ゲルシンガー体制が完成した2013年のVMware
VMwareにとって大きなターニングポイントになったのは、2012年秋のCEO交代だ。
2012年の7月、VMwareのCEOをポール・マリッツ氏から、EMCのパット・ゲルシンガー氏へ変更する発表が行われた(就任は9月)。実は、この発表は唐突に行われたわけではなく、2012年に入り戦略的に行われたモノである。
VMwareのCEOを退任したポール・マリッツ氏はEMCに戻った後、2013年になり、EMCと米General Electric(GE)との合弁企業PivotalのCEOに就任した。
Pivotalは、クラウドやビッグデータなど新たなアプリケーション環境をサポートするプラットフォームや開発環境を提供する企業だ。Pivotalの設立と同時に、VMwareが買収したSpringSourceやGemFire、開発したCould Foundryなどが移管された。また、Zimbraなど一部は他社に売却された。
一方、VMwareのCEOとなったゲルシンガー氏は、Software Defined Data Center(SDDC)を企業のメインのビジネスコンセプトに位置付けた(IT as a Serviceも入っているが)。
つまりゲルシンガー氏に社長を移行する際に、VMwareの中核ビジネスとなるハイパーバイザーなどの仮想化プラットフォームと、それら以外のアプリケーションを切り離し、VMwareはデータセンターの仮想化に注力するという方向性を明確に打ち出したわけだ。
SDDCにかじを切った時点で買収されたのが米Niciraだろう。Niciraは、SDNプラットフォームの提供において先進的な企業だった。2012年にNiciraを買収したことで、VMwareとしてはコンピュートの仮想化、ネットワークの仮想化、ストレージの仮想化(EMCと協力して)へと進み始めた。
そして2013年の秋に発表されたvCloud Suiteでは、コンピュートの仮想化を担当するvSphere、ネットワークの仮想化製品であるVMware NSX(Niciraの製品をベースにしたもの)、ストレージ仮想化を実現するVirtual SANなどが組み込まれており、SDDCを構成するためのソフトウェアスイートに位置付けられている。