仮想化道場

マルチベンダー環境のSoftware Defined Storageを実現する「EMC ViPR」

ViPRが提供するメリットは“統合管理”

 ネットワークの場合、以前は、ネットワーク専門の管理・運用スタッフが必要でした。これは、ネットワーク機器の設定・運用をしようとしても、メーカーごとにコマンドが異なるなど、それぞれのハードウェアを熟知している管理者が必要だったためです。しかしSDNの登場により、ネットワークが仮想化されたため、ネットワークの管理・運用の多くの部分が、SDCの管理を行っているサーバー管理者でも行えるようになりました。

 またネットワークを仮想化することで、ネットワーク構成を変更する場合でも、ソフトウェア上で簡単に行え、物理的な配線作業などが伴わないため、今まで数週間かかっていた構成変更が、数日もしくは数時間で行えるようになったのです。

 ViPRは、こうしたメリットを提供しているSDNと同じように、ストレージシステムだけを管理・運用しているストレージ管理者から、ストレージの管理・運用を切り離し、IT管理者なら誰でも簡単に管理・運用できるようにする、統合的なフレームワークといえるでしょう。

 メーカーや機種ごとに異なるコマンドラインでの操作や専用の操作画面などではなく、ViPRが持つ統一的なインターフェイスにより一元管理が可能になります。

ViPRではREST APIを使って、さまざまなストレージ システムを一元的に扱えるようにする
ViPRの主な機能としては、管理の抽象化、リソースのプール化、処理の自動化などがある
さまざまなストレージを抽象化して、一元的に管理できるようにしている

マルチベンダー環境に対応

――ViPRが管理できるストレージシステムはEMCの製品だけですか?

 いいえ。当社のストレージだけではなく、NetAppなど他社のストレージも管理・運用できます。また、OpenStack、VMware、Microsoftなどのオーケストレータソフトとも連携しています。

 特にOpenStackにおいては、ストレージ管理のCinderプロジェクトにViPRのテクノロジーをフィードバックしたり、ViPR自体をOpenStackで利用したりできるようにする予定です。

 他社のストレージについては、現在はNetAppだけの対応ですが、それ以外のストレージシステムをViPRで扱えるようにしていく予定です。このあたりは、ワールドワイドでのユーザーニーズを考えて作業を進めていきたいと考えています。

 なお、ViPRは、それぞれのストレージシステムが持つベンダー固有のAPIではなく、REST APIにより管理・運用できるようにしています。このため、各ストレージシステムが持つ固有の機能をViPRで管理できるようにはなりません。ViPRでは、ボリュームのプロビジョニングといった、スタンダードな機能が扱えるようになります。

ViPRは、OpenStackやMicrosoftやVMwareと連携することができる。特に、VMwareとの連携は進んでいる。
VMware製品とViPRは、さまざまなレイヤーで連携している。ある意味、ViPRとvSphereは一体として利用すべきなのかもしれない
VMware vCloud Automation Center(vCAC)とViPRは、事前にマシンリソースなどの仕様やルールを決めたBlueprintをベースにストレージを設定できる
vCACとViPRを使うことで、VMware環境においてサードパーティのストレージ固有の機能を生かすことが可能
OpenStackに対してEMCは、Cinder向けのViPRドライバを提供している
MicrosoftのSCVMM用のViPRアドインも提供されている
vCenter Operations Manager(vCOps)用のアダプタソフトも用意されている
これより、vCOps上でストレージの構成を知ることができる

(山本 雅史)