IaaS本格活用期へ~Part05
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国内で利用可能なIaaS約30種を総覧~月額4000円で使えるサービスも登場

 国内のIaaSサービスが続々と登場している。それぞれのサービス内容や主な対象としているシステムには、事業者の出自によって力点を置くポイントに違いがある。IaaSを提供する事業者各社が強みとするポイントを踏まえながら、主だったIaaSのサービスを紹介する。

 国内のIaaS市場には、ホスティング業者やシステムインテグレータ、自社製のハード/ソフトを持つメインフレーマなど、様々な事業を“母体”とする企業が続々と参入している。各社は、今まで培ってきた強みを生かすべく、自社のIaaSの機能やサービスを充実させ、特徴を打ち出しつつある。

決め打ちの標準構成により安価かつ手軽に利用可能に

 提供価格の安さで注目を集めているのが、ソフトバンクテレコムやインターネットイニシアティブ(IIJ)といった、もともと手広くホスティング事業を手掛けてきた企業のIaaSだ。

 ソフトバンクテレコムは2010年2月に開始したIaaS「ホワイトクラウド シェアードHaaS」のエントリー版で月額8400円という低価格を実現。「提供する仮想マシンのスペックを固定し、サーバーハードウェアの大量調達や、オープンソースソフト(OSS)の積極的な活用によって提供コストを下げた」(立田 雅人クラウドサービス開発本部 基盤サービス開発部部長)。

 IIJもメニューをある程度決めておくことによって、提供コストを下げている。2010年6月に開始した「IIJ GIO ホスティングパッケージサービス」は、仮想マシン単体やWebサーバー、メールサーバーなど7種類の標準構成を用意している。ユーザー企業は用途に応じていずれかの構成を選択し、最小構成で月額4000円から利用できる。

基幹系の移行を見据えSIをサービスの中心に

 NTTデータや新日鉄ソリューションズ、TIS、日本ユニシスなど、システムインテグレータは基幹系システムでの利用を強く意識してサービスの拡充を図っている。各社はソフトバンクテレコムやIIJのように標準メニューも用意しているが、セキュリティやガバナンスの点でユーザー固有の要件を実装したクラウド環境の構築に力点を置いているのだ。

 2007年10月に「absonne」を開始し、IaaSの分野では国内の先駆けといえる新日鉄ソリューションズは当初、ユーザー企業の要望に応じてシステムを構成する「エンタープライズ」を提供。

 2010年2月に標準構成の仮想/物理マシンを提供する「スタンダード」の提供を開始した。だが、「現在の事業の中心はあくまでエンタープライズ」(早瀬 久雄ITインフラソリューション事業本部 ITエンジニアリング事業部 ソリューショングループ グループリーダー)だ。

 日本ユニシスは「ICTホスティングサービス」で、仮想マシンのOSとしてWindows ServerやRed Hat Enterprise Linuxだけでなく、SolarisやHP-UXといったUNIXを標準で選べるようにしている。「社内システムからの移行を促進するには、プラットフォームの選択肢の充実は不可欠」(廣田 博美ICTサービス本部基盤サービス部長)と判断してのことだ。

 「TIS Enterprise Ondemand Service」を提供するTISは、カスタマーポータルから仮想マシンを発注できるようにするなどセルフサービス機能を強化する一方、システムの設計や既存システムからの移行、ジョブ管理といった有料のインテグレーションサービスのメニューを充実させている。

独自性を模索する大手4社 社内外IaaSの連携も模索

 NEC、富士通、日立製作所、日本IBMの大手4社も基幹系システムでのIaaS利用を視野に入れている。この点では、基本的にシステムインテグレータと同じだ。そのうえで各社は、ユーザー企業の利便性向上に向けたメニュー拡充を図っている。

 富士通は2010年10月、「オンデマンド仮想システムサービス」を正式に開始する。Webポータルのセルフサービス機能を充実させており、稼働状況の確認や稼働マシンのオン/オフ、購入する仮想マシンのプロセサやメモリーの能力を選択できる(図5-1)。

【図5-1】富士通が10月に開始予定の「オンデマンド仮想システムサービス」のセルフサービスポータル画面。購入する仮想マシンの選択や構成から購入後の運用監視まで、直感的に操作できる

 日立製作所は外部のクラウドサービスとの認証連携システムや、課金や契約管理を代行できるシステムを含めた「Harmonious Cloud Framework」と呼ぶ仕組みの整備を進め、2010年12月にサービスを開始する。

 NECのIaaS「RIACUBE」は、同社が動作検証した仮想マシンとOS、データベースやAPサーバーの組み合わせによって、255種類の“標準”メニューを用意している。ストレージやバックアップ、ロードバランサ、DNSなど97種類のオプションも選べる。

 日本IBMの「IBM マネージド・クラウド・コンピューティング・サービス」は、契約当初に決定したプロセサのキャパシティ上限を最大4倍まで動的に拡張し、ベストエフォートで利用できる。契約は一定の月額利用料金だが、拡張したプロセサ処理能力は、利用量に応じた従量課金となる。

 ここに紹介したほかにも、ディスクを3重化して耐障害性を高めたITコアの「GrowServer2010」のように、興味深いサービスがそろってきた。

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(記事提供: IT Leaders)
2010/8/10 06:00