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Firefox OSスマートフォンに終止符 立ち位置を模索するMozilla

途上国、低価格市場を狙ったFirefox OSスマホ

 これまでのFirefox OSの経緯を短く振り返ると、Mozillaは2012年、それまで「Boot2Gecko」として実験的に開発を進めていたHTML5ベースのモバイルOSに、人気Webブラウザ「Firefox」の名をつけ「Firefox OS」としてモバイルOS分野に参入した。

 2013年2月のモバイルの一大イベント「Mobile World Congress 2013」では、スペインのTelefonica、ドイツのDeutsche Telekom、日本のKDDIら名だたるキャリア、ZTE、LGなどのメーカー、Qualcommなどが集い、対Androidののろしを上げた。

 同年7月、予定通りTelefonicaは南米でFirefox OSスマートフォン「ZTE Open」を発売した。価格は69ユーロ(約9200円、2年契約付き)。以後、地域的には途上国、セグメント的にはエントリー価格帯で、スマートフォンが初めてという途上国のユーザーをターゲットとした。シェアを獲得し、アプリのエコシステムを活発化させるためには、すでにiOSやAndroidを所有しているユーザーよりも、スマートフォンを使ってみたいがiOSやAndroidスマートフォンには手が届かないというニーズを狙うという戦略だ。

 iOSとAndroidを成功させているアプリのエコシステムについては、HTML5ベースである点が大きな差別化になるとしていた。つまり、標準技術で作成できるという点だ。

 現在、MozillaのページにはZTE、LG、Huaweiなどメーカー8社の18機種が並んでいる。この中には、KDDI au向けの「Fx0」(LG製)も入っている。キャリアは14社、29カ国で50回の製品リリースがあった。

 Firefox OSが大々的にローンチした2013年は、英Canonicalが「Ubuntu」をスマートフォン向けに展開すると発表したほか、SamsungとIntelはオープンソースのスマートフォンOSプロジェクト「Tizen」を立ち上げた。また、フィンランドではMicrosoftと提携する前のNokiaで次期スマートフォンを開発していたチームが「Jolla」を立ち上げ、「Sailfish OS」の開発を明らかにしていた。

 これらはすべて、iOSとAndroidの独占状態を危険視して同時に立ち上がった動きだ。

(岡田陽子=Infostand)