Infostand海外ITトピックス

モノづくりを加速 5ドルのRaspberry Pi「Zero」

サブ10ドルコンピューター

 10ドルを切るボードコンピューターといえば、以前、この欄で取り上げた「CHIP」がある。こちらはKickstarterで200万ドル超の資金調達に成功して、10月から出荷を始めた。Zero発表直後の11月末から一般販売の予約受付も開始しており、来年6月に出荷の予定だ。当然、メディアも両者の違いに関心を寄せている。

 CHIPは、1GHzのARMプロセッサ、512MBのRAM、ストレージとして4GBのNANDフラッシュを搭載し、ワイヤレス通信のWi-FiおよびBluetoothを内蔵している。その一方でHDMIなどディスプレイ出力には別売(10ドル)のアダプタが必要だ。

 Tech Timesの比較記事は、CHIPが4GBのストレージとWi-Fi接続機能を統合している点が最大の違いだと指摘。Zeroはそれだけではインターネットに接続できないこと、周辺機器接続のUSBポートが1つしかない(もう1つは給電用)ため、実用的に使うには追加のアダプタが必要だとしている。

 「スペックは別として、プロダクトデザイン、コミュニティのサポートとか、もちろんほかに考慮すべきことがあるだろう。ただ、仕様と追加コストに基づいて考えた場合、CHIPがおすすめだ」と結論している。

 もっともコストといっても、10ドル、20ドル程度の違いだ。どちらを採用するにしても、破格に安くコンピューターを利用できることは違いない。Forbesは次のように述べて、コンピューターパワーが手軽に使える時代を礼賛する。「1956年の『Elliot 405』(初期のコンピューター、英Elliott Brothers製)は12万5000ポンド(約2300万円)だった。2015年。Raspberry Pi Zeroの値段は5ドルなのだ」。

 ハードウェアはもっと安価になっていくのだろう。IoT(モノのインターネット)の流れとも一緒になりながら、加速するに違いない。

行宮翔太=Infostand