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Microsoftは昔と違う? Googleとの特許訴訟終結に見る変化

次はLinux団体に加入?

 Microsoftの“変身”ぶりはほかの面にも表れている。IT WorldのLinux担当記者は、これまでのMicrosoftの“Linux支持”には疑いを持っていたと明かす。「本当にMicrosoftが変わったのであれば、最も確かなサインは、MicrosoftがLinuxを利用する企業に対して繰り広げている訴訟を取り下げた時だと思っていた」。ところが「いまそれが現実になった」と述べている。

 IT Worldは、Linux推進団体Linux FoundationとMicrosoftが既に協業関係にあり、Linux Foundationの執行ディレクターJim Zemlin氏の好意的なコメントなどから、「Microsoftが近いうちにLinux Foundationに加入しても、驚きではない」と記した。

 実際、MicrosoftとGoogleが特許訴訟取り下げを発表する前日、Wired.comはMicrosoftが社内でLinuxを利用していることを報じている。Microsoftは自社オンラインサービスを支えるネットワークハードウェアでLinuxを部分的に利用してシステムを組んでいるという。

 技術的な要件から見てLinuxが最適解という判断があったと詳細をレポートしており、MicrosoftがFacebookの主導するオープンハードウェアプロジェクト「Open Compute Project」に積極的に参加していること、さらには成果物で貢献するというオープンソース型のコラボレーションを行っているという業界の声を紹介している。

 ZDNetでオープンソースを担当するSteven J. Vaughan-Nichols氏は「Googleとの友好樹立を見るに、Microsoftはオープンソースとより親和性のある知的所有権アプローチをとっているようだ」としながらも、Androidから得るライセンス料などを加味すると「(同社が)すぐに変わるとは思わない」と付け加えた。

 なお、Linuxの特許保護団体Open Invention Network(OIN)によると、Microsoftがオープンソース企業と公平な条件で作業することが増えており、OIN自身もMicrosoftに加入を持ちかけたという。記事では、2014年10月付のWired.comの記事でNadella氏が「Linuxとのような古い戦いを戦うことに興味はない」と述べていたことも指摘している。既に、Linuxをベースとした「Azure Cloud Switch」の発表など、その行動にも変化が見られると評価する。

 Microsoftは皆に愛される企業へと変わったのだろうか? Fortuneは、MicrosoftがGoogleに対抗する企業に提訴を持ちかけたり、場合によっては資金提供したりという“技”を使ってきたことを指摘して再度釘を刺す。

 また今回の合意では、この部分が明確になってないと指摘。Googleについても、積み上げてきた特許を根拠に、今後ロイヤルティーを請求する側にシフトしないかがポイントだとした。MicrosoftもGoogleも、声明文以外の詳細を明らかにしていない。この和解を基にどういう関係が生まれるのかが注目される。

岡田陽子=Infostand