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Nokia買収の減損処理と人員削減 「Windows 10」にかけるMicrosoft

「Windows 10」とサービスにフォーカス

 端末事業を大幅に縮小するというNadella氏の決断は、業界にも好意的に受け止められている。New York Timesは「中核ではない事業を削減し、事業合理化につながることから、Microsoftにとってポジティブになると見ている」というBernstein Researchのアナリストのコメントを紹介。GartnerのアナリストDavid Mitchell Smith氏も「新しいCEOは正しい方向に進めている」と評価した。

 Nadella氏の再編は評価が高いものの、この戦略がうまくいくかどうかは定かでない。Windows Phoneではアプリの少なさがネックだったが、「Windows 10」ではユニバーサルアプリとしてさまざまな種類の端末で動くアプリを導入し、そのためのツールも発表している。Windows 10が普及してユニバーサルアプリが増えれば、スマートフォンやタブレットなどのモバイルでも存在感を増すことができるのでは、という狙いが背後にある。Nadella氏は同時に、OfficeのiOS版、Android版などサービス面の拡大を進めている。

 だが、モバイルを独占するAppleとGoogleの牙城を崩すのは簡単ではないだろう。BetanewsはMicrosoftのスマートフォンでの状況は「さらにひどくなる」と予想する。今回の判断は正しいとしながらも、「Windows Phoneはどこを見ても不人気で、ユーザーを魅了しておらず、購入につながっていない」と分析する。

 またForbesは「AppleのiOSとOS X、Linux、AndroidとChromeなどのライバルに対して、Microsoftが自社の位置を守るのは難しいことだ。Windowsへの愛着を持ってもらうためには、かなりのマーケティング費をかけなければならないだろう。そして、それはまだ始まっていない」と難しい状況を指摘する。

 Windows 10のリリースまであと2週間余り、Nadella氏は引き続き難しいかじ取りを求められている。

岡田陽子=Infostand