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Nokia買収の減損処理と人員削減 「Windows 10」にかけるMicrosoft

 Microsoftは、「デバイスとサービス」のスローガンを掲げて95億ドルで買収したNokiaについて、76億ドルの減損処理を行うことを明らかにした。合わせて7800人の人員削減も行う。Nokia買収の失敗を認めるもので、今後はさまざまな端末でのWindows体験の提供にフォーカスする。次期OS「Windows 10」の取り組みの本気度を示すものだが……。

ビジネス、ハイエンド、ローエンドの3カテゴリにフォーカス

 MicrosoftのCEO、Satya Nadella氏は従業員に7月8日付で電子メールを送り、モバイル事業の新しい戦略方針を固めたこと、同事業を中心に年内に7300人規模の人員削減をすることを明らかにした。7300人は全社員の6%に相当する。Nokiaのデバイスとサービス事業買収については76億ドルの減損処理を実施。6月30日締めの会計年度第4四半期に計上する。

 しかし、このことが端末事業からの撤退を意味するわけではない。Nadella氏は「携帯電話を含め、ほかにはない端末にコミットしている」とした上で、「携帯電話ではスタンドアロンの事業から、活発なWindowsエコシステムの成長と構築へと戦略を変える」と説明している。端末事業は今後、よりスリムダウンし、質を上げていく。端末のセグメントは、管理性、セキュリティ、プライバシー保護にフォーカスしたビジネスユーザー向け、低価格を望む層向けの端末、Windowsファン向けのフラッグシップ端末の3種類を上げている。

 Microsoftは6月に幹部級の再編を行っており、合わせて携帯電話事業はWindowsとデバイス事業部に統合されることになった。同事業部の下で、よりスピーディに市場に製品を投入するという。長期的には、Microsoftのデバイス事業はイノベーションを進めて新しいカテゴリを作り、Windowsエコシステムをさらに広げる機会を創出するだろう、としている。

 Bloombergによると、現在Microsoftは全世界で1週間に1機種(同機種でも通信規格などが異なる変種をすべて含んだ場合)の携帯電話を発売しているが、これを3カテゴリでそれぞれ年間1~2機種に抑えるという。Nokiaから引き継いだ工場や研究所も縮小し、フィンランド・サロの工場で行っていたハイエンド機種の製造と、米国サンディエゴの開発拠点も閉鎖するという。

(岡田陽子=Infostand)