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Twitterの新事業? オンラインタレント仲介のNicheを買収

 Twitterが、オンラインで活動するタレントエージェンシーNiche Projectの買収を発表した。2013年秋の上場以来、ユーザー数の伸びが常に投資家の関心を集めている同社だが、もっと違う収益源を開拓しようとする動きとみられている。Nicheの買収で、「タレント仲介」という新しい分野を切り開くのだろうか――。

“Webセレブ”のエージェンシー

 2月11日に買収を発表したNicheのビジネスはどんなものだろう。Nicheは約7600人のタレントが所属するタレントエージェンシーで、一般的なタレント事務所とは大きく異なる特徴を持っている。この7600人のタレントは皆オンラインで生まれ、オンラインを主な活動の場とする“Webセレブ”なのだ。

 彼・彼女らにはティーンエージャーも多く、Twitter傘下の動画アプリケーション「Vine」、Google傘下の「You Tube」、Yahoo!傘下のソーシャルブログ「Tumblr」、Facebook傘下の「Instagram」などで活躍し、独自の視点、独特の反応や物言いで知名度を確立している。数百万単位のフォロワーがいるという者もおり、その持ち物や、使っているものなどがWebコミュニティーに大きな影響を持つといわれている。

 企業側も、こうした人たちをマーケティングに活用できないかと少し前から取り組みを始めており、Nicheのような仲介業が立ち上がったというわけだ。新しい分野とはいえ、NicheはすでにCoca-Cola、BMW、Hewlett-Packard(HP)、National Football League(NFL)など約50社を顧客に抱える。例えばHPは、モバイルPC「HP x360 Pavilion」で複数のVineスターを起用してVineでキャンペーンを打った。同社は、それらを集めたTV CMも作成している。

 2013年にNicheを共同創業したRob Fishman氏は、Facebookデータを基にしたレコメンアプリKingsfish Labsを創業(その後BuzzFeedが買収)。またThe Huffington Postでのソーシャルメディア事業統括などの経歴を持つ人物だ。

 Fishman氏らは、Instagram、Vineなどのサイトでの個人フォローが増えていること、企業がこれらのプラットフォーム上での広告に興味を示している状況を捉え、「企業と影響力の大きいオンライン上の人物を結びつける新しいタイプのエージェンシー」を目指して立ち上げたという。同社は2014年には、TIMEが選ぶ2014年版ニューヨークの「スタートアップ10」にも選ばれた。

(岡田陽子=Infostand)