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AppleがVR参入? ヘッドセットの特許を取得

 Appleが次にどんな製品を出すかは、ユーザーやライバル、メディアの関心の的だ。その秘密主義もあって、公開されている情報に手がかりを求めることになる。その一つである特許に注目が集まっている。Appleが仮想現実(VR)ヘッドセットの特許を取得したことが明らかになり、複数のメディアが取り上げた。Facebookの「Oculus」で脚光を浴びたVRにAppleも参入するのだろうか?

出願は2008年

 Apple情報サイトのApple Insiderなどが2月17日、Appleがヘッドマウント型のディスプレイの特許を取得したことを一斉に報じた。米国特許商標庁(USPTO)の特許番号は8,957,835。「Head-Mounted Display Apparatus for Retaining a Portable Electronic Device with Display(持ち運びできる画面付き電子デバイス向けのヘッドマウント型装置)」という特許名だ。

 その名が示す通りヘッドマウント型の装置で、「持ち運びできる画面付き電子デバイス」は名称こそ記載されてないが、「iPhone」をはめ込んで利用するものとみられる。デバイスとヘッドマウント型装置は、機械的、電子的に統合され、目の前のデバイスの画面がメイン画面として機能するという。

 表示デバイスを装着する装置と言えば、Samsungが2014年秋に発表した「Samsung Gear VR」と同じ形式だ。Gear VRはSamsungの大画面スマートフォン「Galaxy Note 4」を挿入するもので、ヘッドマウント装置は、Facebookが20億ドルを投じて買収したOculus VR製だ。Googleが同6月に発表した段ボールで工作できるVRヘッドマウントキット「Google Cardboard」も、やはり組み立てたものにAndroidスマートフォンを入れて使う。

 Appleの特許が異なる点は、制御用としてのリモコンの可能性に言及していることだ。また、注目すべきは出願日で、2008年にさかのぼるという。当時、Steve Jobs氏が存命中で、VRヘッドマウントディスプレイなど商用製品はもちろん、コンセプトすら一般的ではなかった時代だ。

 Oculusが最初にプロトタイプを公開したのは2012年だが、Appleは2007年のiPhone発表の翌年には、ヘッドマウント型VRの可能性を描いていたことになる。Creative Strategiesのアナリストは「(Appleが)20年~30年先を考えていることを示すもの」とFinancial Timesにコメントしている。

(岡田陽子=Infostand)