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ゲーム業界はクラウドをどう受け入れる? 注目の「PlayStation Now」

 ゲーム業界にもクラウドの波が押し寄せている。年明け早々に米ラスベガスで開催された家電見本市「CES 2014」で、大御所のソニーがクラウドを利用したストリーミングサービス「PlayStation Now」を年内に米国で開始すると発表した。従来のようなゲーム専用機だけでなく、テレビなどでゲームを楽しめるというものだ。同サービスの動向や競合の動きが注目される。

直接対決で「Xbox One」に勝利

 CESは、ハイテク業界の年始の恒例イベントだ。その基調講演に登壇したソニーの社長兼CEO、平井一夫氏と、Sony Computer Entertainmentの社長兼グループCEOのAndrew House氏は、ゲームを中心に同社の戦略や構想を発表した。ソニーは昨年11月に最新ゲーム機「PlayStation 4」を米国や欧州市場で発売したところだ。同年内の販売台数は420万台で、ほぼ同時に発売されたMicrosoftの「Xbox One」の300万台を大幅に上回った。両社の戦いの第1ラウンドはソニーの勝利といえる。

 ソニーはPS4好調の波に乗ろうと、CESでPS4をはじめとするゲーム機、同社のTVブランド「Bravia」で利用できるゲームのストリーミングサービス「PlayStation Now」、そしてクラウドベースの動画サービスとなるTV向けサービスを発表した。中でも目玉は「PlayStation Now」だ。ソニーが2012年に3億8000万ドルで買収したクラウド型ゲームサービス会社のGaikaiの技術を基盤に、遠隔にあるサーバーから端末側にストリーミングする。ユーザーはゲームをダウンロードすることなく、さまざまな端末で最新版のゲームを楽しむことができる。中断したゲームの続きを、他の端末でプレイするなどの利用も可能になるという。

 PlayStation Nowは北米で1月中にベータプログラムを開始。今夏に正式スタートする予定だ。当初、ゲームライブラリは「PlayStation 3」の人気ゲームが中心で、端末はPS4、PS3、そして2014年に米国で発売するネット対応Braviaのほぼすべての機種に対応する。その後「PlayStation Vita」や旧機種のBraviaブランドのTVなどに広げていく計画だ。対応デバイスには、スマートフォンやタブレットも挙がっている。

 ソニーは価格などの詳細情報を公開していないが、個別にタイトルに対価を払ってプレイする方法と、さまざまなゲームにアクセスできるサブスクリプション方式の2種類を用意するとしている。

(岡田陽子=Infostand)