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Windowsが「Bash」をサポート クラウド戦略を進めるMicrosoft

 Linuxのシェル「Bash」にLinuxディストリビューション「Ubuntu」、かつては敵としていた「オープンソース」が、今年のMicrosoftの開発者向けイベント「Build 2016」で重要なキーワードになった。同社は3月初めに「SQL Server」のLinux版のプレビューを発表しており、これに続く動きだ。Microsoftのオープンソース戦略は何を意味するのだろう?

LinuxシェルのBashがWindows 10で動く

 Buildでは、Windows 10の“Anniversary Update”となる「Redstone(RS1)」の概要発表などとともに、Windows 10上でBashが利用できるようになると発表された。Bashが、仮想マシンやコンテナ技術を使わずにWindowsで使えるようになる。

 Bash(Bourne Again Shell)は多くのLinuxディストリビューションやMac OS Xに標準搭載されているシェルで、GNU Projectの下でフリーソフトウェアとして開発・公開されている。サポートにあたってMicrosoftは、「Ubuntu」を開発するCanonicalをパートナーに選んだ。デスクトップとサーバーで競合する犬猿の仲だったが、CanonicalのUbuntu製品・戦略チームのDustin Kirkland氏によると、両社は数カ月前からトップシークレットプロジェクトとして協業を重ねてきたという。

 MicrosoftはUbuntuバイナリをWindows上でネイティブに動かす新技術「Windows Subsystem for Linux」を開発。これによってWindows上でUbuntuのイメージが動き、awk、grepといったLinuxのツールがすべて利用できるという。MicrosoftのScot Hanselman氏も自身のブログで「これは本物のバイナリで、高速、軽量に動く」と述べて、画面のスクリーンショットを紹介している。

 さらに翌3月31日、Microsoftは買収完了したばかりのモバイルアプリ開発技術「Xamarin」を「Visual Studio」ユーザー向けに無料で提供することも明らかにした。開発者はC#を利用してAndroid、iOS、そしてMacなどのアプリケーションを開発できる。

 Xamarinの共同創業者でCEOのNat Friedman氏によると、Visual Studioの全てのバージョンでXamarinが利用できるという。Microsoftは2014年末、オープンソースプロジェクト、個人開発者などに無償で提供するVisual Studioのコミュニティ版「Visual Studio Community Edition」を発表しており、こちらも対象に含まれる。

 また、Friedman氏は.NET Foundationに「Mono Project」を寄贈することも発表した。MonoはMicrosoftの「.NET Framework」のオープンソース実装で、クロスプラットフォーム対応アプリケーションを容易に構築するためのソフトウェアプラットフォームだ。合わせてAndroid/iOS/Mac向けのXamarin SDKをオープンソースとして公開することも発表した。モバイルアプリ開発に必要な基本的なコマンドラインツールなどを含むという。

(岡田陽子=Infostand)