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ライバルはAWSに Alibabaがクラウド事業を加速

 中国Alibabaがクラウド事業「AliCloud(Alibaba Cloud Computing)」を急ピッチで加速させている。先ごろ、Foxconn、Intelなどとの提携を発表した。事業分野の拡大を図りながら目指すのは、Amazonのクラウド事業AWS(Amazon Web Services)だ。AliCloudは巨大な中国市場発のアドバンテージを生かし、国外にどう展開してゆくのだろう。

2009年に立ち上げたAlibabaのクラウド事業

 AliCloudは、2009年にAlibaba Group(阿里巴巴)が立ち上げたクラウドコンピューティングサービスだ。中国語で「阿里雲」(Aliyun、クラウド部門の社名も)とも言う。

 サービスは、(1)コンピューティング、ロードバランサーなどを含む「Elastic Computing」、(2)リレーショナルデータベース、キーバリューストア、オブジェクトキャッシュなどの「Database Services」、(3)オブジェクトストレージとメッセージサービス「Storage」、(4)分散リレーショナルデータベースの「Middleware」――の4つの分野で構成される。データセンターは、中国、香港、シンガポール、米シリコンバレーの4カ所に持っている。

 AliCloudは10月14、15日の両日、中国・杭州で年次イベント「Alibaba Computing Conference(2015 杭州云栖大会)」を開催した。5年目の今年は名称を「Aliyun Worldwide Developer Conference」から「Computing Conference」に変更。参加者は1万5000人と発表している。

 このカンファレンスでは、Foxconnとの提携や、「量子暗号通信」技術の開発などが発表された。Foxconnとの提携はベンチャー支援に関するもので、「Taofu Chengzhen」インキュベータプログラムとして製造関連のスタートアップや中小規模企業のクラウド利用を推進する。AliCloudのクラウドサービス、ECチャネル構築のノウハウなどを提供し、Foxconnは設計やサプライチェーンなどの面で支援するという。

 量子暗号通信はChinese Academy of Sciences(中国科学院)と共同で新しい暗号化技術を提供するもので、成果物はAliCloudで利用して安全性を強化することを狙う。

 またAliCloudは、Intel、中国の民間バイオ研究機関BGI(Beijing Genomics Institute)との提携も発表した。目的は、遺伝子情報を利用してパーソナライズする個別化医療のクラウドプラットフォームの構築で、クラウドベースのBGIのゲノム解析エンジンを活用してゲノムデータセンターと解析プラットフォームを提供。これにより個別化医療産業を活性化させるという。MIS Asiaはこうしたプラットフォームは「アジア初」としている。AliCloudのクラウドのほか、Alibabaが抱えるAlibaba Health、Ant Financial Services Group、Taobao Marketplace、Tmail.comなどの資産も活用し、決済インフラ、健康管理、マーケティングなどの面で支援するという。

(岡田陽子=Infostand)