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“ボイスファースト”に猛ダッシュ 中国ネット大手「BAT」

 Amazon Echoの成功を受け、スマートスピーカー市場への参入が相次いでいる。日本では、いまだ製品が出てないアイテムだが、世界では既に必須デバイスになろうとしている。Echoが開いた市場には、Google、Appleが続き、さらに、中国ハイテク大手が猛然と参入を進めている。中国企業は、スマートフォンでは、より安価な製品で世界シェアをじりじりと増やしてきたが、音声でも世界を席巻するのだろうか。現状を概観する。

中国勢が大挙参入

 中国のeコマース最大手のAlibabaは7月5日、スマートスピーカー「Tmall Genie X1」(天猫精霊)を発表した。Amazon Echoに似た円筒型で、高さが半分の約12cmとコンパクト(直径は約8cmでほぼ同じ)な音声アシスタントデバイスだ。中国語音声入力に対応し、質問への回答、音楽再生、家庭用スマートデバイスの操作などができる。

 価格はEcho(180ドル)の4割程度の499元(73ドル)で、まず8月8日から限定1000台を先行販売する。本販売時にはやや高くなるとみられている。

 一方、ライバルの検索大手Baidu(百度)は今春、タッチ型液晶ディスプレイやカメラを内蔵した「Little Fish」(小魚在家)を発表している。丸い本体の上に画面とカメラが付いたロボット風のデザインだ。一般的なスマートスピーカーの機能に加え、カメラを使ったビデオチャットや、スマートフォンアプリを通じての留守宅のモニターなどができる。その分、価格は1699元 (250ドル)と高めだ。

 中国3大ネット企業「BAT」(Baidu、Alibaba、Tencent)の最後の1社、Tencentもスマートスピーカー製品を準備中という。Martin Lau社長は今年5月、Bloombergのインタビューに対して、台所に置くスマートスピーカーを開発中で、数カ月内にリリースできるだろうと語っている。

 米国では、Googleが昨年10月に「Google Home」を、Appleが今年6月に「HomePod」を発表している。MicrosoftのCortanaを組み込んだ「Invoke」も5月にオーディオ機器のHarman Kardonから発表された。また、韓国Samsungも「Vega」と呼ぶスマートスピーカーを開発中であると、Wall Street Journalなどが報じている。