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“ボイスファースト”に猛ダッシュ 中国ネット大手「BAT」

音声インターフェイスのエコシステム

 Amazon Echoの勢いはすさまじい。Morgan Stanleyの推計では、バリエーションモデルも含むEchoデバイスは、米国だけで2015年半ばから2016年12月1日までに1100万台を売ったという。Seattle Timesは、この数字には最後の年末のホリデーシーズンの販売ピークが反映されていないため、なお控え目だとしている。市場調査会社のeMarketerによると、スマートスピーカーでのEchoのシェアは7割に達するという。

 AmazonはEchoの販売と並行して、音声プラットフォームAlexaのオープン化とエコシステムの構築を進めている。例えば、Alexaのサービスを拡張するアドオン「Skill」は誰でも作成して公開できるが、今年2月にその数は1万5000を突破した。4月には、Alexaの技術を利用して任意のアプリケーションに音声対話型インターフェイスを付加できる「Amazon Lex」の一般公開も始まった。

 当然、中国勢も自社プラットフォームを軸にしたエコシステムを描いている。Alibabaは「AliGenie」、Baiduは「DuerOS」、Tencentは「QCloud Xiaowei」というそれぞれオリジナルの音声プラットフォームを開発しており、Alexa同様、Skillによるコンテンツプロバイダー集め、開発者の取り込み、パートナーの拡大を図っているところだ。これらの関連発表がここ2ー3カ月の間に集中的に行われており、各社がしのぎを削っている様がうかがわれる。

 Alibabaは、Tmall Genie X1発表に合わせて、「コンテンツ開発者向け」「アプリケーション開発者向け」「スマートホーム製品開発向け」「ハードウェア開発向け」の4種類の開発キットをリリースした。Skillはサードパーティのものも含めて40種類でスタートする。

 Baiduも、DuerOS用の開発ツールとスキルキットを提供している。同プラットフォームを採用しているパートナーは、Haier、HTC、Harmanなどの著名ブランドを含み、既に100を超えているという。NVIDIAとは7月5日、同社のスマートTVへのDuerOS採用を含むAI分野の包括的な提携を結んだ。

 Tencentは、やや後れをとっている感はあるが、5月に「QCloud Xiaowei」を発表している。また7月のTmall Genie X1の製品発表にぶつける格好で、IoTプラットフォームのAyla Networksとの提携を発表している。

 各社が狙うのは、単にスマートスピーカーを売ることではなく、「モバイルファースト」の次に来る、「ボイスファースト」の時代だ。