Infostand海外ITトピックス

VRはメインストリームになるのか? 2016年から見る

 PlayStation VR(PSVR)が世界42カ国・地域で一斉に発売され、高精細ヘッドマウントディスプレイ(HMD)でVR(仮想現実)を楽しめるコンシューマー向け製品が出そろった。先に一般販売が始まっているOculus Rift、HTC Viveとともに年末商戦になだれ込もうとしている。長らく待望されたVRだが、一般家庭に浸透する時がやって来たのだろうか? “VR元年”といわれる今年から先の展望は――。

予想以上のVR元年

 コンサルティング大手Deloitte Globalは、2016年のVRを「10億ドルのニッチ」と表現した。今年1月に発表した2016年のTMT(テクノロジー、メディア、通信)業界グローバルトレンド予測の中のVR部分のタイトルだ。今のVRは、専らゲームのヘビーユーザーのもので、まだ一般ユーザーには到達しないニッチと位置づけている。

 このレポートは、VR関連市場の売上が2016年に初めて10億ドルに達すると予想。コンシューマーとエンタープライズの両市場を合わせた総額で、内訳は、VRヘッドセット250万台と対応ゲーム1000万本で計7億ドル、全周囲ビデオなどのVRコンテンツが3億ドルと計算した。

 しかし、最近の調査会社の予測では、この数字は大きく上振れしそうだ。Juniper Researchが10月初めに発表したレポートは、2016年のVRハードウェアだけの売上が50億ドルに届くかもしれないとしている。PSVRやOculus Riftなどのハイエンドデバイスが引き金となって、スマートフォンと合わせて使う手頃な価格のヘッドセットが売れるためという。さらに2021年には、VRハードウェアの売上が500億ドルにまで拡大するとみている。

 VRをめぐる状況は加速している。マーケットニュースのMarketing Diveによると、電器小売業界は、もうVR製品を大規模に売る時期が来たと考えているという。

 GoogleがAndroidの独自VR規格「Daydream」の対応ヘッドマウントセットと、最初の対応スマートフォン「Pixel」を発表したことや、OculusとDisneyの提携が発表され、Best Buyの全米500店舗にOculus Riftのデモコーナーが設けられたことなどが影響しているという。

 2016年は、VRに予想以上の勢いがついた。と同時に課題も再検討を求められている。