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その価値はあるのか? MicrosoftのLinkedIn巨額買収

 ビジネスSNS最大手のLinkedInを、Microsoftが262億ドル(2兆7800億円)で買収すると発表した。幾多の企業買収を経験してきたMicrosoftにとっても最高額の買収となる。LinkedInの4億3300万人という膨大なビジネスユーザーにMicrosoftの企業向け製品を訴求し、大きな相乗効果が期待できるという。攻めに打って出るという戦略だが、背景には、それぞれの事情もある。LinkedInの価値は、この買収額に見合うのか――。

Microsoft史上最大の企業買収

 「世界で先進のプロフェッショナルクラウドと先進のプロフェッショナルネットワークが一緒になる」。MicrosoftのLinkedIn買収発表のプレゼン資料は、こういう言葉で締めくくられている。

 LinkedInは、Facebookより1年早い2003年創業で、プロフェッショナルが自らのプロフィールやキャリアを登録するビジネスSNSだ。日本のビジネスマンの間ではいまひとつだが、北米では、プロがさまざまな仕事を経てキャリアアップしてゆくためのネットワークとして人気が高い。

 Microsoftは、この会社を現金262億ドルで買収する。買収額の計算は1株当たり196ドルで、前の週末の終値131ドルに50%のプレミアムをつけた。LinkedInは買収後もブランドを維持し、独立して運営。Jeff Weiner CEOはMicrosoft CEOのSatya Nadella氏の直属となる。手続きは年内に完了の予定だ。

 Microsoftのこれまでの企業買収では85億ドルのSkype(2011年)が最高額で、72億ドルのNokia(2013年)、63億ドルのネット広告会社Anactive(2007年)が続く。今回のLinkedInは過去最高記録を更新するだけでなく、Skypeの3倍という高い買い物だ。

 買収効果を説明したプレゼン資料は、両社のビジネス要素をノード化して構造を示したグラフを掲載している。それによると、Microsoftは、コラボレーション、メール、カレンダー、文書など。LinkedInは、職業、リクルート、教育、洞察、共働者などで構成されており、重複もなく、相互に補完的であるという。

 またLinkedInの「堅調なビジネス」と説明。「200以上の国・地域に展開し、会員が前年比19%増の4億3300万、月間アクティブユーザー(MAU)が同9%増の1億500万超、売上高同35%増の30億ドル」と華々しい数字を並べている。

 しかし、LinkedInの内情は厳しかったようだ。身売りの決断には「語られざる理由」があったとNew York Timesが報じている。