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2016年の国内金融IT市場規模は2兆407億円、FinTech企業との連携による効果は今後拡大
(2016/1/7 15:14)
IDC Japan株式会社は7日、国内金融IT市場の2019年までの予測を発表した。2016年の同市場の規模は2兆407億円で(前年比0.6%増)と予測している。
2016年の国内金融IT市場は、2015年に大型案件があったことの反動から、前年比では小幅の成長となったが、今後もメガバンクなどを中心に堅調な拡大が見込まれると分析。2014~2019年の年間平均成長率は1.6%と予測している。
2016年の業態別の市場規模では、メガバンク(前年比3.0%増)、生命保険(同2.5%増)、カード会社(同2.3%増)、大手証券会社(同2.1%増)などが比較的高い成長率で拡大すると見込んでいる。
各金融機関における主要システム別の支出では、現在は勘定系システムが大部分を占めているが、今後はチャネル系システム(営業店システム、インターネット/モバイルバンキング、コールセンター関連システムなど)や顧客管理系システムの拡大が見込まれると分析。各金融機関でも、店舗やネット、コールセンターなどの各チャネルを有機的に連携するオムニチャネル化の動きが加速しており、顧客データについても各チャネルのデータベースをリアルタイムに統合する動きや、ビッグデータ技術の活用に向けた検討が開始されているとした。
また、金融機関がFinTech(ITを活用した新しい金融およびその関連サービス)を提供するスタートアップ企業と連携する取り組みも増えている。現時点では実証段階の取り組みがほとんどであるため、IT支出全体への影響はわずかだが、今後はこれらの取り組みの進展が、まずは顧客管理系システムやチャネル系システムの強化や更新を促し、さらに決済や融資に関連するシステムにも影響が拡大していくと予測している。
IDC Japan ITスペンディング リサーチマネージャーの市村仁氏は、今後、大手金融期間にとどまらず、地方銀行なども含めて、FinTechスタートアップ企業と連携する動きは加速し、ITベンダーやSIerが提供する支援サービスなどもこの動きを促進させるだろうと説明。ただし、こうしたFinTechスタートアップ企業との連携にあたっては、法制度の成約や、企業文化の差異、金融機関におけるFinTech活用の展望が不明確であるといった課題があり、こうした点をカバーする中長期的な視点での支援を行うことが重要になると語った。