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Windows 10の新ビルド10041を見る

Windows 10 ビルド10041の変更点

 今回提供されたWindows 10 Technical Preview(TP) ビルド10041は、1月末に発表されたものとは異なり、ISOイメージでの提供はなく、Windows Updateのみでの提供となっている。さらに、Windows Updateにおいて「プレビュービルドのインストール方法」を速い(Fast)に設定しているユーザーにのみ提供された。遅い(Slow)に設定しているユーザーに対しては、もう少しビルドの機能が安定して、いくつかの新機能を取り入れた段階で提供されるようだ。

ビルド10041のデスクトップ画面。以前のビルドから、あまり変わっていないように見える

 さて、実際に中身を見てみよう。

 まず、サインイン時の画像の顔アイコンが丸型に変更された。このあたりは、細かな変更だが、印象が少し変わった。

Windows 10のサインイン画面が少し変わった。ユーザーのアイコンが四角から丸になっている

 ビルド10041では、デスクトップ上のスタートメニューが半透明化することで、裏にあるデスクトップがうっすらと透けて見えるようになった。Modernアプリのタイルなどを表示するため、Windows 7のスタートメニューと比べると、大きなエリアをとるため、半透明化はデスクトップを使いやすくする。

スタートメニューの後ろにブラウザがあるのが透けて見える
バージョン番号もビルド10041になっている

 また、プログラムやアプリのリスト表示に、プログラムフォルダーの折りたたみ機能が追加された。これにより、旧来のデスクトップアプリケーションをインストールした時に、作成されていたフォルダーからアプリケーションを見つけ出すことができる。以前のように、すべてのアプリケーションがリストに並んでいるよりも使いやすい。

スタートメニューの表示されるアプリのリストにフォルダーが表示されている。
フォルダーの右に表示されている∨をクリックすれば、フォルダーに置かれているアプリが表示される

 また、リスト表示されたアプリケーションやアプリをドラッグして、スタートエリアにドロップする機能も付け加えられた(右クリックで、スタートにピン留めもできる)。

リスト表示されたアプリをスタートにドラッグ&ドロップできる

 仮想デスクトップ機能は、起動中のアプリの一覧表示から、ドラッグして、別の仮想デスクトップにドロップする機能が付け加えられた。これにより、1つの仮想デスクトップにいくつものアプリケーションやアプリが起動していた場合、別の仮想デスクトップに移動させて整理することも、簡単にできるようになった。

タスクビューで起動しているアプリを表示し、移動したいアプリをドラッグして、下に表示されている仮想デスクトップにドロップすれば、仮想デスクトップ間でアプリの移動が簡単にできる

 無線LANでは、Wi-Fiダイレクトなどにも対応した。ただ今回はデスクトップPCにインストールしているため、Fly-out機能(Windows 8/8.1と同じく、Wi-Fiの接続先を簡単に確認できる)はテストできなかった。

Wi-FiのFly-out機能。Windows 8/8.1のチャームから簡単にアクセスできたWi-Fi設定は、Windows 10のアクションセンター(通知)からアクセスできるように変更された

 期待された新しいブラウザ「Spartan」に関しては、今回のビルドには搭載されなかった。ただ、Spartanのレンダリングエンジン「EdgeHTML」は搭載されており、いくつかの機能でアップデートが行われている。

今回のビルドで、Spartanが使用するレンダリングエンジン EdgeHTMLのアップデートも行われている。ただしレンダリングエンジンだけで、Spartan自体は提供されていない

 Windows Updateに関しても、P2Pを使用した仕組みに変わるようだ。このあたりは、まだまだ情報が少ないので断言できないが、Windows 10リリース後、さまざまな機能がタイムリーに追加されていくため、今までよりもWindows Updateで配布する容量が増えてくる。こうなると、今までのデータセンターのインフラでは、世界中のWindows OSをアップデートするには負担が大きい。そこでP2Pのように、データセンター側の負担を少なくする仕組みを採用したのだろう。

Windows Updateでは、P2P方式がサポートされるようだ

 音声アシスタントのCortanaに関しては、中国語、英語(英国)、フランス語、イタリア語、スペイン語などがサポートされた。日本語に関してはWindows 10リリース時にはサポートされないだろう。リリース後ベータテストが始まり、音声認識などのデータが集まってから本サービスとなる。このため、日本語版Cortanaの正式リリースは2016年になるだろう。

今回のビルドでもCortanaの日本語版はサポートされていない

 ファイル エクスプローラーにクイックアクセスが追加され、ピン留めできるようになっている。クイックアクセスは、今までアクセスしたフォルダーやファイルなどを履歴として持っているため、ひんぱんにアクセスするフォルダーやファイルをクイックアクセスにピン留めしておけば、アクセスが楽になる。

ファイルエクスプローラーにクイックアクセスが追加されている。アクセスしたフォルダーやファイルが記録されているため、ピン留めすれば毎回アクセスするフォルダーやファイルが使いやすくなる

 以前のビルドから感じていたのだが、Windows 10のシステムフォントがYu Gothic UI(游ゴシックフォントをUI用に細くしたフォント)に変わり、あまりいい印象がない。文字によっては中国語のフォントのような印象がある。できれば、このあたりはリリース版では変更をしてほしい。

 もう1つ、デフォルトのアイコンが変わった(以前のビルドから)。2次元的なアイコンに変わったが、Microsoftでもアイコンのデザインに関しては悩んでいるようで、WinHEC 2015でも、アイコンのデザインに関して積極的にフィードバックを出してほしいとしていた。好き嫌いも関係するが、もう少しデザイン性が高くてもいいのではと思う。

アイコンが2次元的なのっぺりしたモノに変わっている

 簡単にビルド10041を使って見たが、まだ完成の域には遠いと感じた。本当にこれで、夏にリリースができるのか疑問となる部分もある。筆者の環境では、シャットダウン時にメモリのエラーが出ることがあったり、いくつかのModernアプリ(Windowsストアアプリ)が更新されなかったりした。確かにTechnical Previewということを考えれば、こういったことも仕方ないのだろうが。

 4月末には、米国のサンフランシスコで開発者向けのイベントBuild、翌週にはシカゴでTechEDの後継イベントMicrosoft Igniteが開催される。このあたりになれば、ある程度の完成度に仕上がってくるだろう。

 ただ、リリース時に、MicrosoftがWindows 10の機能として挙げているすべてが入るとは思えない。こういった意味からも、Windows 10は、オンラインでのアップデートを前提として、月々変わっていくOSになるのかもしれない。

山本 雅史