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「ATOK 2014」2月7日発売、日本語入力オフからでも変換に持っていける新機能

ストレス軽減を追求、「アクセルモード」で最大25%高速化

 株式会社ジャストシステムは3日、Windows用日本語入力ソフトの新バージョン「ATOK 2014 for Windows」を2014年2月7日に発売すると発表した。希望小売価格は、「ATOK 2014 for Windows[ベーシック]」が8000円(税別)、連携辞書などを追加した上位版「ATOK 2014 for Windows[プレミアム]」が1万2000円(税別)。Windows 8.1/8/7/Vista/XPに対応する。

「ATOK 2014 for Windows[ベーシック]」(奥)と「ATOK 2014 for Windows[プレミアム]」(手前)のパッケージ

 ATOK 2014では、PCのCPUやメモリなどのスペックを判定し、ATOKの設定を自動で最適化する「アクセルモード」により、変換にかかる時間を短縮する。PCの起動時や、複数の辞書を設定した環境では、前バージョンのATOK 2013と比較して最大25%高速化されるとしており、SSDではなくHDDを搭載したPCや少し古いPCで特に効果を感じられるという。

「アクセルモード」では変換時間を最大25%高速化

 また、入力操作における無駄な作業を省き、入力のストレスを軽減することを追求した。まず、推測変換エンジンを強化し、入力ミスであっても適切な変換候補を類推して提示するようにした。例えば、「消費税率」と入力しようとして間違って「そうひぜ」と入力しても、適切な言葉を類推して「消費税」「消費税率」を提示する。

 このほか、「こんぼにえ」に対して「コンビニエンス」、「でもすと」に対して「デモンストレーション」といった具合だ。従来バージョンでも過去に入力した言葉をもとに訂正した候補を出すことができたが、新バージョンでは、その都度入力された文字列から確からしさを計算し、初めての言葉でも訂正した候補を提示できるようになったとしている。

入力ミスに対する類推変換候補の例

 さらに今回、「ストレスフリーの観点から、これまで取り組んで来なかったATOKがオフの状態への対策を講じた」(同社コンシューマ事業部企画部の井内有美氏)。

 日本語入力をオンにし忘れた状態で入力してしまった英字文字列を、入力し直さずに変換できる状態にする機能を搭載。例えば「osewaninarimasu」と入力されてしまった場合に、Ctrl+Backspaceキーにより「おせわになります」という状態に直せるため、そこから「お世話になります」へと変換することができる。あるいは「jikamasumasu」を「じかますます」に直すことで、予測変換で「時下ますますご健勝のこととお喜び申し上げます。」までスムーズに変換できるわけだ。なお、アプリケーションによっては、あらかじめ範囲選択しておく必要があるという。

 文章の書き手だけではなく、読み手のストレスの軽減にも取り組んだ。普段見聞きはしていても、多くの人が十分に意味を理解しているとは言い難いカタカナ語が多く含まれている文章は読み手にストレスを与えてしまうと指摘。ATOK 2014では、例えば「コンプライアンス」を変換した際に「法令遵守」を、「ディスクロージャー」には「情報公開」「企業内容開示」というように、言い換え表現を提示する校正支援機能を備えた。これにより、後から文章を見直す手間が削減できるほか、カタカナ語と言い換え表現を併記するような文書でも活用できるとしている。

カタカナ語の言い換え表現の提示例

 数値入力では、けた数を間違えないようナビゲートする機能を提供。例えば、「宝くじの賞金20000000」と入力した段階では「20,000,000 《数値:2000万》」、もう1つゼロを入力した状態では「200,000,000 《数値:2億》」というように、3けたごとのカンマ区切りや漢数字で補足情報を表示するため、けた数を迷わずに入力できる。

数字入力の例

 「軽快な動作、入力し直す操作の手間と後から見直す手間の削減――つまり今回のATOKは、文字入力のストレスフリーに徹底的にこだわることで入力効率のよさが感じられるATOKになった。」(井内氏)

株式会社ジャストシステムの井内有美氏

 ATOK 2014 for Windows[プレミアム]には、[ベーシック]の基本機能に加えて、連携辞書として「新明解国語辞典 for ATOK」「ジーニアス英和/和英辞典 for ATOK」や、変換中の言葉からリアルタイム変換が行える機能「8カ国語クラウド翻訳変換 for ATOK」(2015年5月までの期間限定提供)、Excel内の単語やフレーズを変換候補として表示する機能「ATOKダイレクト for Excel」が付属する。

 このほか、ATOK 2014 for Windows[ベーシック]には「ATOK Passport」の1年間の利用権、ATOK 2014 for Windows[プレミアム]には「ATOK Passport[プレミアム]」の1年間の利用権がそれぞれ同梱される。これにより、Windows PCのほか、Mac、Andoridでも最大10台までの端末でATOKを利用できるほか、ATOK Passportの新機能として12月3日に提供を開始した「ATOKクラウド推測変換サービス」なども利用できる。

「ATOK 2014 for Windows」には、「ATOK Passport」の1年間の利用権が同梱されるため、MacやAndroidでもATOKを利用可能

永沢 茂