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米EMC、ロータスF1の新たな開発パートナーに

世界選手権制覇に向けたIT基盤刷新を支援

 米EMCは29日(米国時間)、2015年の世界選手権制覇に向けたロータスF1チームの活動を支えるIT基盤を確立するため、ロータスF1とEMCがパートナー関係を結んだと発表した。

 世界選手権制覇という目標達成に向け、ロータスF1は2014年からのF1レギュレーションの変更に対応しなければならない。これはモノコック登場以来の最も根本的なレギュレーション変更で、2014年からF1マシンの各メーカーは従来のNA(自然吸気)V8エンジンから、より効率性に優れたハイブリッド式のターボ・チャージャー付きV6エンジンに変更するとともに、新しいERS(エネルギー回生システム)を採用することが求められる。これらの変更はマシンのデザインとエンジニアリング、また特にエンジンのパワーや空気力学、燃費に大きな影響を与えるという。

 マシンのデザイン変更に加え、200個を超えるセンサーによる複雑なネットワークは、マシン1台あたり25MBを超えるデータをラップごとに生成する。100分の1秒が勝敗を分けるF1の世界においては、膨大な量のビッグデータを収集し、クラウド環境で活用、迅速に分析する能力が重要な差別化要因になるという。

 ロータスF1は、この大幅なレギュレーション変更に対応しながら競争力を高める新たなパワーを手にするためには、トラックサイドと英エンストンの本社の両方でIT基盤の徹底的な見直しが必要であると判断した。EMCとのパートナーシップはロータスF1の2014年モデル開発プログラムを先導する役割を果たし、プライベートクラウドによってロータスF1はより俊敏で優れた情報の格納、管理、保護を実現できるという。

 具体的に新しいIT基盤では、CADとMicrosoft Dynamics ERPを基盤として、EMC/Cisco/VMwareの技術を統合した「VCE Vblock System」を英エンストンのデータセンターに導入。

 ほかにもロータスF1の非構造化データの大規模な格納、アーカイブ、アクセスを実現するオブジェクトベースのクラウドストレージプラットフォーム「EMC Atmos」や、情報資産の迅速なバックアップ・リカバリを実現する重複排除ストレージ「EMC Data Domain」、CADファイルをクラウドへ移行する前の安全で効率的な多層化を実現する「Cloud Tier Appliance」も提供し、高度なストレージ基盤を構築。

 加えて、チームと各パートナー間でCADファイルを安全に共有するための企業向けファイル同期・共有ソリューション「Syncplicity」「Documentum Information Rights Management」を導入し、伝送中・保管中・送信後の文書や添付ファイルを追跡・保護する。

 トラックサイドでは、仮想デスクトップおよびオントラック・アプリケーションをサポートするために「EMC VNX」を組み込んだもう1台の「VCE Vblock System」を展開する。

 ロータスF1チームCEOのパトリック・ルイ氏は「今日、優勝候補の一角であるロータスF1チームの目標は非常に明確です ―― すなわち2015年における世界選手権の優勝です。この目標を達成する上で強力なパートナーの存在は欠かすことができませんが、EMCはこのようなパートナーの1社です。EMCが提供してくれる最高のハードウェア、ソフトウェア、セキュリティ、信頼性、可用性は、勝利のためのマシンを作り出し世界選手権の栄冠を勝ち取るという私たちの目標にとって鍵を握る要素です」と語っている。

(川島 弘之)