米スティールウェッジ、アジア統合本部として日本法人を設立

販売&事業統合計画(S&OP)ソリューションの需要拡大に


 クラウドベースの販売&事業統合計画(S&OP)ソリューションを展開する米スティールウェッジ・ソフトウェア・インクは7月12日、アジア太平洋地域での強い市場ニーズに対応するため、東京に新たなアジア統合本部として「スティールウェッジ株式会社」を開設したと発表した。

米スティールウェッジ・ソフトウェア・インクCEOのグレン・マーゴリス氏S&OPソリューションのメリット

 今回の日本法人設立にあたり、米スティールウェッジ・ソフトウェア・インクCEOのグレン・マーゴリス氏が来日し、同社の提供するS&OPソリューションの概要を紹介した。「突然の災害や急激な経済環境の変化など、先の見通しが不透明な市場の中で、グローバルビジネスを展開するためには、事業計画の俊敏性が重要になる。こうした課題に対応し、企業の俊敏性向上を促進するのがS&OPソリューションだ。企業を横断した計画連携、需要と供給の一括管理、売上・利益・数量計画の分析を可能とし、信頼のおける仮定(what-if)シナリオ立案を提供する。S&OPソリューションを活用することで、平均5%の収益性向上が見込めるほか、過剰在庫や欠品切れの防止、さらには事業計画策定の効率化を実現できる」としている。

S&OPソリューションの導入ステップ例各社の計画立案プロセスにソフトウェアを位置づけ

 また、S&OPソリューションは、導入後に継続的な改善アプローチを行う点も大きな特徴だという。「各企業のビジネス環境に応じて、段階的にS&OPソリューションの導入を進めていく。例えば、まず第1ステップの『S&OPセールス』で需要計画と収益計画を実施、第2ステップの『S&OP』で財務計画と在庫計画を策定、第3ステップの『エグゼクティブS&OP』で統合事業計画へと進展する。そして、各企業ごとの計画立案プロセスにソフトウェアを位置づけ、人とプロセスと技術を結びつけることで、幅広い製造企業の経営統合事業計画を支援している」と、マーゴリス氏は説明した。さらに、これに加えて、サポートコストの削減、導入期間の短縮、柔軟性の増大、セキュリティの向上、スケーラビリティなど、クラウドベースのソリューションであることのメリットも強調していた。

 今回設立した日本法人は、アジア統合本部となるもので、アジア太平洋地域におけるS&OPソリューションへの需要の高まりに対応する。2011年の自然災害の影響だけでも、アジア太平洋地域に拠点をもつ大手製造企業のS&OPソリューションに対する需要は20%以上増加し、世界でも最高の需要の伸びを示したという。「また、日本市場に進出する大きな目的としては、地震や洪水、円高で苦しんでいる日本の企業および日本の再興(Re-Born)に貢献したいという想いがあった」とマーゴリス氏は述べている。

スティールウェッジ 代表取締役の津村謙一氏

 日本法人の代表取締役には、サプライチェーン管理の第一人者である津村謙一氏が就任。これまで津村氏は、EXEテクノロジーズやI2 Tech、インフォー・グローバル・ソリューションといった有力サプライチェーン・ソリューション・プロバイダーの上級経営幹部職を歴任してきた実績をもつ。

 津村氏は、「日本では、いいモノを作れば売れるという考えが浸透している。いままでは、この考えで成功することができたが、ここ1、2年の世界のマーケットをみると、市場の動向を見極め、顧客のニーズを先取りして商品を作り上げていったほうが売れるようになってきた。アップルやサムスンがその成功例だ。これからは、市場が何を求めているのかに敏感になり、それをうまく事業計画に反映させていくことが重要になる」との考えを示す。

 「こうした“モノ中心”から、“マーケット中心”の事業計画への変革を実現するのがS&OPソリューションだ。また、S&OPソリューションでは、企業全体を見える化し、チームワークによる業務を推進する。S&OPソリューションを積極的に提案することで、日本の製造企業の再興を支援していく」と、津村氏は意欲を見せた。


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(唐沢 正和)
2012/7/13 06:00