企業のデバイス管理、iOSは盗難・紛失が心配、Androidはウイルスがもっと心配
ネットスター株式会社は4日、法人におけるスマートデバイス(スマートフォン、タブレット端末)のセキュリティ対策に関するアンケート調査の結果を発表した。導入している具体的な機能としてはウイルス対策が最も多かったが、モバイルデバイスということで盗難・紛失対策もこれに続いて多く導入されていた。ただし、iOSとAndroidでは、セキュリティ対策の意識や目的に違いが見られる結果となった。
この調査は、法人におけるインターネット利用やセキュリティ対策の状況について、ネットスターが継続的に実施しているもの。10回目となる今回は、すでにURLフィルタリングを導入している法人のうち、スマートデバイスを業務で導入している591社のシステム管理者からの回答を集計している。アンケート調査は4月27日から5月8日までウェブで実施した。主に利用しているスマートデバイスのOSは、スマートフォンではiOSが35.9%、Androidが41.1%、Windowsが7.3%など、タブレット端末ではiOSが41.6%、Androidが25.9%、Windowsが12.7%など。
スマートデバイスで導入している対策(複数回答)として最も多いのはウイルス対策で、全体の45.3%が導入していた。以下、盗難・紛失対策の41.3%、URLフィルタリングの39.8%、アプリケーション制御の38.9%、VPNの21.0%、MDM(モバイルデバイスマネジメント)の19.3%となっている。一方、対策していない法人も19.1%あった。
スマートデバイスでのセキュリティ対策状況 |
OS別に見ると、iOSでは盗難・紛失対策が最多となる。スマートフォンで41.5%、タブレット端末で43.1%だった。Androidでも、盗難・紛失対策はスマートフォンで42.0%、タブレット端末で40.5%あり、iOSと同等の導入率となっている。
ところがAndroidでそれを上回る導入率なのが、ウイルス対策とURLフィルタリングだ。ウイルス対策はスマートフォンで56.8%、タブレット端末で54.9%、URLフィルタリングはスマートフォンで45.7%、タブレット端末で51.6%に上っている。また、アプリケーション制御も、スマートフォンで42.8%、タブレット端末で47.1%あり、ウイルス対策と同等かそれ以上の導入率だ。
機能ごとの導入率だけでなく、そもそもセキュリティ対策全体の導入率で、iOSとAndroidでは差が出ている。スマートフォンでセキュリティ対策をしていないとの回答は、iOSでは22.6%あったのに対し、Androidは13.6%、タブレット端末ではiOSが22.4%あるのに対して、Androidは10.5%にとどまっている。
スマートデバイスでのセキュリティ対策状況(OS別) |
スマートデバイスでのセキュリティ対策状況(OS別トップ5) |
なお、これらは実際に導入しているセキュリティ機能についての設問であるため、OSによって提供されている製品・ソリューションも異なり、コストや使い勝手、既存のセキュリティシステムとの連携の可否などの側面から、こうした差が出ている可能性も考えられる。
しかし、セキュリティ対策の導入目的を聞いた設問でも、企業がスマートデバイスの導入・管理で考慮している項目がiOSとAndroidで差が表れている。
スマートデバイスにおけるセキュリティ対策の導入目的として最も多かったのは、全体では、ウイルス・スパイウェアなどの侵入予防で69.9%。これに情報漏えいの防止が64.4%で続く。
スマートデバイス向けセキュリティ対策導入の目的 |
一方、OS別に見ると、iOSとAndroidでは順位が逆転している。iOSでは、情報漏えいの防止が最多となり、スマートフォンで66.5%、タブレット端末で70.7%。次いでウイルス・スパイウェアなどの侵入予防がスマートフォンで62.2%、タブレット端末で62.3%だった。
これに対してAndroidでは、ウイルス・スパイウェアなどの侵入予防が最多。スマートフォンで80.0%、タブレット端末で80.3%に上る。情報漏えいの防止は、スマートフォンで64.8%、タブレット端末で65.0%。
スマートデバイス向けセキュリティ対策導入の目的(OS別トップ5) |
このほか今回の調査では、Jailbreakや、ウイルス感染したスマートデバイスでトラブルに遭ったことのある法人が12.0%あることも分かった。OS別で見ると、iOSスマートフォンでは13.7%、タブレット端末では8.9%、Androidスマートフォンでは10.3%、タブレット端末では17.6%。