リコーとシスコが通信コミュニケーション分野で協業
中堅中小企業のビジネスコミュニケーションを支援するクラウドサービスを提供へ
会見で握手するリコージャパン 代表取締役 社長執行役員の佐藤邦彦氏(左)とシスコシステムズ 代表執行役員社長の平井康文氏 |
リコージャパン株式会社とシスコシステムズ合同会社は6月5日、通信コミュニケーション分野で協業すると発表した。両社は、この協業に基づき、中堅中小企業のビジネスコミュニケーションを支援するサービスとして、ユニファイドコミュニケーションを実現するクラウドサービスと運用管理の支援サービス、各種デバイスなどを組み合わせてワンストップで提供する「リコービジネスインターネットサービス」を10月より提供開始する。
今回の協業の背景について、リコージャパン 代表取締役 社長執行役員の佐藤邦彦氏は、「リコーグループは、ドキュメントおよびITサービスが事業の中心となっているが、最近では通信コミュニケーション事業も大きく成長してきている。とくに、中堅中小企業の課題であるビジネスのスピードアップと効率化を支援するため、クラウドや最新技術、サービス、デバイスを組み合わせ、時間と場所を超えたコラボレーション環境の提供を進めてきた」と、通信コミュニケーション事業の重要性が急速に高まってきていたという。「その中で今回、通信コミュニケーション分野で強みをもつシスコと協業することで、当社が強みをもつドキュメントおよびITサービスに、通信コミュニケーションを加えた3分野での新たな価値提供が実現可能となった。これにより、中堅中小企業のワークスタイル変革を支援していく」との考えを示した。
リコージャパン 代表取締役 社長執行役員の佐藤邦彦氏 | シスコシステムズ 代表執行役員社長の平井康文氏 |
一方、シスコシステムズ 代表執行役員社長の平井康文氏は、「経営品質を高めるワークスタイルの変革に向けて、モバイル、ソーシャル、ビジュアル、バーチャルの4つが大きなキーワードになっている。その中で、今後は、単にシステムとシステムをつなぐ従来型のITではなく、人と人とをつなぐネットワークを実現するビジネステクノロジー(BT)を目指していく必要がある」と、ワークスタイル変革のためには、新しいコミュニケーションサービスが求められると指摘。「今回の協業では、リコーのもつ全国約100万事業所をカバーする顧客網、中堅中小企業向けの製品群やきめ細かいサポート力、そして同社が自社内で蓄積したノウハウを提案するアプローチなどのアドバンテージが得られると考えている。さらに、両社とも日本経営品質賞を受賞しており、この相乗効果によって、経営品質向上に自社で取り組んできた体験そのものを顧客に提案できることも協業の大きな価値になるはず」と、リコージャパンとの協業への期待を述べた。
両社の協業により10月から提供開始される「リコービジネスインターネットサービス」は、これまで自社内に設置していたPBX(構内交換機)の機能、および内線/外線電話、メール、Web会議やビジネスチャットなどのコミュニケーションを行うためのアプリケーションをクラウドサービスで提供するもの。アプリケーションには、シスコの「Cisco Unified Communications Manager」などを採用するという。また、IP-VPNサービスについてもリコージャパンがワンストップで提供。音声、データなどをIPネットワークに統合し、相手の状況に応じて、最適で効率的なコミュニケーションを図ることが可能となる。
「リコービジネスインターネットサービス」の概要 | 「リコービジネスインターネットサービス」のデモ画面 |
さらに、シスコ製のIPフォンや、各社スマートフォン、タブレット端末などのハードウェアの一括導入にも対応。ネットワーク接続やセキュリティの設定も一括して行うため、安心して導入することができる。会社の内線/外線電話を携帯電話に統合して機器を削減できるほか、企業内で個人所有のデバイスを活用するBYOD(Bring Your Own Device)への対応も可能だという。
これにより、同サービスを利用する企業は、「携帯電話を会社の内線/外線電話として活用する」「外出先からモバイル端末でWeb会議に参加する」「相手の状況を確認し、メールや電話、ビジネスチャットなど最適なツールを選択してコミュニケーションを行う」などが可能となり、場所と時間の壁を超えたコラボレーションを実現する。
サポートについては、リコーグループの運用・保守サービス提供会社であるリコーテクノシステムズ株式会社によるヘルプデスクサービスや遠隔監視、全国381拠点の専門技術者によるオンサイト保守を提供する。
なお、リコージャパンでは、今回の協業にともない、通信コミュニケーションに関する商談を支援する専任営業部門を新設。当初は50人体制で設置し、2015年度には200人体制に拡充する。全国約9200人の営業担当者と専任営業が連携し、顧客の状況やニーズに合わせた最適な提案を行っていくという。
リコージャパン 専務執行役員の窪田大介氏 | リコーが目指すクラウドビジネス領域 |
リコージャパン 専務執行役員の窪田大介氏は、「当社は現在、『クラウドドキュメントサービス』、『クラウドコミュニケーションサービス』、『ワンストップくらうどサービス』の3つの領域にリソースを集中してクラウドビジネスを展開している。今回新たに提供する『リコービジネスインターネットサービス』は、クラウドコミュニケーションサービス領域のビジネスを拡充するものとなる。これを機に、通信コミュニケーション分野の事業体制をさらに強化し、2015年度に400億円の売上を目指す。そして、『リコービジネスインターネットサービス』を中心としたシスコシステムズとの協業ビジネスで、そのうち100億円を見込んでいる」と、さらなる通信コミュニケーション事業拡大に意欲を見せた。