日本オラクル、次世代業務アプリ「Oracle Fusion Applications」を国内で提供~まずはSaaSから


Oracle Fusion Applicationsのラインアップ。国内では、3製品をクラウドサービスとして先行提供する
日本オラクル 代表取締役社長の遠藤隆雄氏

 日本オラクル株式会社は29日、ビジネスアプリケーション「Oracle Fusion Applications」を国内で提供開始すると発表した。本来、同アプリケーションでは7分野で製品がラインアップされているが、国内では人事、CRMの2分野3製品のみが先行して提供される。提供形態はSaaSのみとなり、オンプレミス型の製品は現状では提供されない。

 「Fusion Applications」は、100%Javaで記述され、SOAに準拠する次世代の業務アプリケーション。日本オラクル 代表取締役社長の遠藤隆雄氏は、「リファレンスとなるアプリケーションのひな形を、SOAに準拠して提供することで、アプリケーションの開発環境が飛躍的に変化する。SOAに準拠しているため、さまざまなパーツと組み合わせられるので、日本向けの業務サービスや、日本のパートナーが持つアプリケーションのパッケージとサービス単位でつなぎ合わせることも可能になる」と述べ、Fusion Applicationsの持つ意味を説明した。

 製品は、会計、購買調達、プロジェクト管理、人材管理、CRM、SCM、内部統制・リスク管理の7分野でそれぞれ提供される予定で、現時点でも100以上の機能がリリースされているとのこと。国内での具体的なアプリケーションとしては、人事分野の「Oracle Fusion Human Capital Management(HCM)」「同 Talent Management」と、CRM分野の「同 Customer Relationship Management(CRM)」を、まずクラウドサービスとして提供する。

 なお、今回はオンプレミス型の製品は用意されないものの、順次製品提供を開始していく予定で、「@Oracle」などのホスティング型でも提供されるとのこと。米Oracle Fusion Applications プロダクトマネジメント担当バイスプレジデントのダグ・ヒューズ氏は、「競合は、まったく別のソリューションをクラウドとオンプレミス向けに使っているが、Fusion ApplicationsはどのモジュールであってもSaaS提供できるだけでなく、同じコードでクラウドとオンプレミスを使っていける」と、その特徴をアピールした。


SOAに準拠しているため、カスタムアプリケーションやサードパーティのアプリケーションともつなぎ込みが可能というクラウドとオンプレミスで同一のソースコードを使用し、ポータビリティも確保される

 また、社内SNS的な機能を備えていたり、モバイルデバイスへの広範なサポートを行うなど、昨今のITのトレンドについても取り込んでおり、ユーザーの生産性を向上させるための仕組みをさまざま搭載しているとのこと。

既存製品も継続して提供される

 なお日本オラクルでは、Oracle E-Business Suite(EBS)やSiebel CRM、PeopleSoftなど既存の業務アプリケーションを継続して強化していくApplications Unlimitedや、ライフタイムサポートといった戦略をすでに発表しており、Fusion Applications発表後も、既存アプリケーションの提供は引き続き行う。

 同社は「Oracle EBSやSiebelはリリースから長い時間が経過し、お客さまに育てられているもので、特定業種向けの機能が充実しているなど、既存製品には既存製品の強さがある。そうした製品を選ぶか、新しい製品を選ぶかはお客さま次第だ」としており、顧客企業に向いた製品を、適材適所で提案していく意向だ。

 なお日本オラクルは、Fusion Applicationsの第一号ユーザー事例として、格安航空会社(LCC)のPeach AviationがFusion HCMを採用したことも明らかにした。同社の井上慎一代表取締役CEOは、「LCCはもう当たり前の存在で、安さだけ、価格だけの勝負では絶対勝てないという認識があり、差別化を実現していくための1つのポイントとして、新しい技術を積極的に導入することをうたっていた。同時に、社員ひとりひとりのパフォーマンスを上げていくか、いかにイノベーティブな行動に結び付けていくかを大きな課題としていたので、そのコンセプトに合致するFusion Applicationsを採用した」と、採用理由を説明した。


Peach Aviationの井上慎一代表取締役CEOFusion HCMの画面
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