シトリックス、「XenDesktop 5.5」などで仮想デスクトップソリューションを強化
クライアントハイパーバイザーの新版「XenClient 2.0」も
シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社は8日、デスクトップ仮想化関連の強化を発表した。デスクトップ仮想化ソリューションの新版「XenDesktop 5.5」や、アプリケーション仮想化ソフトの新版「XenApp 6.5」、クライアントハイパーバイザーの新版「XenClient 2.0」などを発表している。
近ごろ、耳にすることが多くなった言葉に「BYOC」「BYOD」といったものがある。これは、「Bring Your Own Computer」「Bring Your Own Device」の略で、私物のPCやデバイスをビジネスで有効に活用しよう、という動きだ。
セキュリティ面の懸念などから、一度は企業内から排除された私物PC/デバイスが再度取り込まれようとしていることには、「コンシューマ向けのテクノロジーが進歩しすぎた一方で、ビジネス向けの環境は以前硬直したまま」(マーケティング本部 プロダクトマーケティング シニアマネージャーの竹内裕治氏)といった背景がある。新しい、自分が買った便利なデバイスを仕事で使いたい、というニーズが生まれて来ているのだ。
PC以外にさまざまなデバイスが出現。これを有効活用しようという動きが広がっている | マーケティング本部 プロダクトマーケティング シニアマネージャーの竹内裕治氏 |
しかし、これをまったく管理しないままで企業内に入れるには、やはりリスクが伴う。そこで、安全にこうしたPC、デバイスを活用していけるソリューションとして、VDIを大きく訴求しているのだという。
デスクトップ仮想化ソリューションの新版となるCitrix XenDesktop 5.5ではこうした点を踏まえて、ユーザーエクスペリエンスを大きく向上させた点が特徴だ。例えば、高品位なユーザー体験を実現するCitrix HDX技術を強化し、映像や音声の配信速度を強化したほか、QoS管理機能が追加されたことで、きめ細かい優先制御を可能にした。
HDXにおけるグラフィック面での強化 | マルチストリームICAによってパフォーマンスの強化と柔軟なQoSに対応 |
また、個人専用の設定ファイルやデータ、アプリケーションをvDiskとしてパッケージ化する「Personal vDisk」機能によって、1つのマスターイメージを使いながらも、ユーザー専用の仮想環境に近い使い勝手で、VDIが展開できるようになった。「個人専用の環境を用意する方式では、ユーザーの満足度は高いが、コストも高くなる。一方で共通の仮想環境を用意するプール型は、コストメリットはあるが使い勝手はいまいち。今回、両方のいいとこ取りを実現したのがPersonal vDiskだ」(竹内氏)。
さらに、クライアントツール「Citrix Receiver」が強化されたことで、対応デバイスが拡大。PC、Mac、タブレット、スマートフォン、シンクライアントなど、複数プラットフォームの10億以上のデバイスで利用可能になった。
Personal vDiskが利用可能に | 10億以上のデバイスをサポートしたという |
一方、XenClientは実用に向けて大きく動き出した。対応するハードウェアが5メーカー53機種となり、XenClient 1.0と比べて3倍以上に増加。グラフィックス機能も、インテルだけでなくAMDのFirePro/Radeonに対応したため、ワークステーションなどを中心に対応機種が拡充されているという。
また、GUIが改良されてわかりやすくなったほか、管理ツール「Synchronizer」の機能が強化され、仮想マシンの同期バックアップ機能に正式対応。さらにスケーラビリティの拡張により、5000台までの環境でも利用できるようになっている。また、遠隔地へ仮想マシンイメージを配信する場合、ネットワーク経由に加えて、DVDやUSBメモリを用いたプリキャッシュ機能も利用可能となった。
「通常のノートPCは、モバイルや利便性は問題ないがセキュリティや運用管理に懸念があり、そのために多くのお客さまが、VDIなどに関心を持たれる。一方でXenDesktopのような画面転送による仮想デスクトップでは、運用管理やセキュリティを確保できるし、HDXによってユーザーエクスペリエンスを改善してきたが、モバイル性や利便性では、まだ若干問題がある。XenClientでは画面転送タイプと比べて、モバイル性と利便性を改善でき、回線が接続されていなくても利用できる点がメリット。XenDesktopとXenClientを組み合わせて、ユーザーにメリットを提供できるのが当社の強みだ」(マーケティング本部 プロダクトマーケティング マネージャーの北瀬公彦氏)。
Synchronizerの機能強化 | XenDesktopとXenClientにより、バランスの取れたPC仮想環境を提供できるのがシトリックスの強み |
なお、XenClient 2.0の細かい強化点に関しては、弊誌の連載である仮想化道場にて取り上げているので、そちらを参照してほしい。