NASAの前CTOがベンチャー設立、巨大プライベートクラウドをコモディティに


 米Nebulaは27日、オープンソースソフトウェアとオープンソースハードウェアを使用し、プライベートクラウドの導入バリアーを大幅に引き下げ、一種のコモディティにするためのハードウェアアプライアンスの開発計画を発表した。

 このアプライアンスには、NASAなどで使用されているオープンソースクラウドプラットフォーム「OpenStack」や、米Facebookが高効率かつ安価なデータセンターを構築するために開始したオープンソースハードウェアプロジェクト「Open Compute」を採用する。

 Nebulaが注目されるのは、CEOのChris C. Kemp氏がNASAの前CTOであること、また同社が雇用したエンジニアがGoogle、NASA、Amazon.com、Microsoft、Rackspace、Disney、Dell、Anso Labsのトップエンジニアであり、それぞれの分野で高度な実績を残してきたこと、さらに共同創業者がOpenStackプロジェクトの著名開発者であるSteve O'Hara氏とDevin Carlen氏だということがある。

 その上で、シードインベスターの1人がAndy Bechtolsheim氏で、同氏がGoogleに最初の資金提供を行った人物であること、さらに大手ベンチャーキャピタルKleiner Perkins Caufield & ByersとHighland Capital Partnersの資金を受けていることなどにも話題性がある。こうしたことからNebulaを「ドリームチーム」と呼ぶ人もいる。

 Nebulaの狙いは膨大なデータ解析需要にある。現代のビジネスではソーシャルネットワークであれ、遺伝子解析企業であれ、メーカーのサプライチェーン管理であれ、膨大なデータ処理を行わなければならない。これらのデータを解析するには、膨大なコンピューティングとストレージパワーが要求されている。しかしそれを行うためには、企業は高価でリスクのあるパブリッククラウドを使用するか、時代遅れではあっても高価なテクノロジーを自前で購入するか、あるいは優秀な技術者を雇用してオープンソース技術やハードウェアを駆使して自前で解決策を講じるしかない。

 Nebulaはこうした問題を解決するために、企業が簡単に接続でき、簡単にスケールアウトできるコンピューティングパワーとストレージノードを提供し、アプライアンスをつなげていくだけで企業内プライベートクラウドを構築できる手段を提供したい考えだ。

 Nebulaによる最初の製品トライアルは2011年第4四半期に開始予定。エネルギー、金融、バイオテクノロジー、メディア企業が参加する予定だ。

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(青木 大我 taiga@scientist.com)
2011/7/28 14:33