日本HP、省電力機能を大幅強化したエントリーサーバーと法人向けPCを発表
震災にともなう節電ニーズの高まりに対応
取締役 副社長執行役員 パーソナルシステムズ事業統括の岡隆史氏 |
日本ヒューレット・パッカード株式会社(日本HP)は21日、エントリーサーバーと法人向けPCの新ラインアップとして、x86サーバーのエントリーモデル2機種、ノートPC6機種、デスクトップPC2機種4モデル、ワークステーション1機種2モデルを本日より順次販売開始すると発表した。
今回の新製品は、東日本大震災の影響により節電要求が強まる中で、省電力機能を大幅に強化しているのが特徴だ。取締役 副社長執行役員 パーソナルシステムズ事業統括の岡隆史氏は、「今まで、IT機器を購入する際に重視されていたのは導入コストやセキュリティ、性能であり、省電力はあまり前面に出てくることはなかった。しかし、震災後、この優先度は大きく変わってきている。特に企業では、7、8月に最大25%の電力削減が求められるため、IT機器の省電力化が最重点課題となっている。また、節電対策として、在宅勤務などワークスタイルの改革も本格化すると見ている。今回、こうした節電ニーズの高まりに応えるため、省電力と管理性を強化した製品を投入する」と、新製品発表の背景を説明している。
全機種共通の特徴として、省電力性に優れた第2世代インテルCoreプロセッサを搭載、選択することが可能。また、省電力性を示す認証規格「80 PLUS」認証の「GOLD」を取得し、電力変換効率90%もしくは92%以上という消費電力削減効果の高い電源ユニットを搭載することができる。さらに、HP独自の電源管理ソフトウェア「HP Power Assistant 2.0」を標準搭載もしくは選択可能。1週間単位のスケジュール設定により、複数の電源プロファイルの自動切り換えが行えるため、電力消費の集中する時間帯や昼休みの時間を省電力設定にするなど具体的な節電計画を実施できる。
サーバー新機種の消費電力比較 | 法人向けPC新機種の消費電力比較 | ワークステーション新機種の消費電力比較 |
これらの省電力機能によって、買い替えサイクルが同等の製品(サーバーは5年、PC、ワークステーションは3~4年)と比較し、サーバーで約21%、デスクトップPCで約76%、ノートPCで約46%、ワークステーションで約64%の大幅な消費電力削減を実現するという。
このほか、サーバー稼働状況やPCの電源入切りなどの遠隔管理、サーバー電源の冗長化といった管理性、可用性も備えるほか、ワークステーションにもPCと共通の統合セキュリティソフトを搭載。在宅勤務対策など、今後のIT環境に求められる機能を強化している。
エンタープライズサーバー・ストレージ・ネットワーク事業統括 サーバー・マーケティング統括本部 インダストリースタンダードサーバー製品本部 本部長の橘一徳氏 | HP ProLiant DL120 G7 |
各製品の特徴を見ていこう。エントリーサーバーの新製品は、プロセッサに最新インテルXeon E3ファミリを採用した「HP ProLiant ML110 G7」(以下、ML110)と「HP ProLiant DL120 G7」(以下、DL120)の2機種。エンタープライズサーバー・ストレージ・ネットワーク事業統括 サーバー・マーケティング統括本部 インダストリースタンダードサーバー製品本部 本部長の橘一徳氏は、「今までのエントリーサーバーは、何よりもコストパフォーマンスが重視されていた。これに対して、今回の新機種は、コストパフォーマンスに加えて、エンタープライズクラスの省電力性、リモート管理機能、可用性・管理性を実装し、ミッドレンジモデルに近い性能を備えている」と、従来製品とは一線を画すエントリーサーバーに進化したことを強調した。
「ML110」は、タワー型サーバーのエントリーモデルで、エントリーモデルとして初めてリモート管理ツールの最新版「iLO 3」を標準搭載。ホットプラグHDD対応、電源の冗長化にも対応し、管理性、可用性を大幅に向上した。「DL120」は、1Uのラックマウント型サーバーのエントリーモデルで、ML110と同じくリモート管理ツールの最新版「iLO 3」を標準搭載、ホットプラグHDD対応、電源の冗長化に対応している。また、最大8基の2.5インチSASディスク搭載が可能で、1Uのラックマウントサーバーとして、高い拡張性を実現。さらに、エントリーラックサーバーでは初めて最大放熱量20Wの低消費電力プロセッサに対応した。
価格は、「ML110」が8万7150円から、「DL120」が9万9750円から。4月21日販売開始。
パーソナルシステムズ事業統括 PSG製品統括本部 本部長の島田昌彦氏 | メンテナンス性能を大幅に向上した法人向けノートPC |
法人向けノートPCでは、「HP EliteBook pシリーズ」2機種、「HP ProBook bシリーズ」1機種、「HP ProBook sシリーズ」3機種の計6機種をラインアップ。新機種のポイントについて、パーソナルシステムズ事業統括 PSG製品統括本部 本部長の島田昌彦氏は、「今回の新機種では、Form:基本構造、Optimized:最適化、Richness:高質感、Green:環境配慮、Enduring:耐久性を追求した製品コンセプト『FORGE(鍛造)』を基に、筺体のデザインや機能を一新。高質感・耐久性を連想させる金属をテーマにしたカラーを採用した。また、底面カバーには、ワンタッチで開閉可能な『HP EasyAccess Door』を採用し、ノートPCに求められる剛性・強度性能を保つと同時にメンテナンス性能を大幅に向上した」としている。
HP EliteBook 8560p | HP EliteBook 8460p |
「HP EliteBook pシリーズ」は、加圧や落下のテストに加え、超低温(マイナス29℃)から高温(60℃)での動作や、高度4572mでの動作といった過酷なテスト基準を設ける米軍調達基準(MIL-STD-810G)をクリアした、法人向けノートPCのハイエンドモデル。15.6インチワイド液晶ディスプレイでフルHD(1920×1080)の高精細表示に対応した「8560p」、モバイル用途にも対応可能な14.0インチワイド液晶搭載モデル「8460p」の2機種をリリースする。
価格は、「8560p」が9万9750円から、「8460p」が15万1200円から。4月21日販売開始。
HP EliteBook 6560b | HP EliteBook 4530s | HP EliteBook 4230s |
「HP ProBook bシリーズ」は、幅広いニーズに対応するカスタマイズの柔軟性、拡張性を備えたモデルで、15.6インチ液晶搭載の「6560b」をリリース。Celeronから第2世代Core i7プロセッサまで幅広いプロセッサが選択可能で、Webカメラ、日本語OS/英語OS、SED(自己暗号化) HDD、レガシーポート対応のドッキングステーション、6セルリチウムイオンバッテリーなど、豊富なオプションをそろえている。
価格は、「6560b」が8万9250円から。4月25日販売開始予定。カスタマイズ対応モデルの「6560b/CT」が8万6625円から。5月中旬販売開始予定。
「HP ProBook sシリーズ」は、法人向けノートPCのスタンダードモデル。ディスプレイの解像度をHD(1366×768)/HD+(1600×900)の2種類から選べる15.6インチワイド液晶モデル「4530s」、モバイルPCとしても使用可能な14.0インチワイド液晶モデル「4430s」、持ち運びやすい約1.6kgの軽量な筐体を採用した12.1インチワイド液晶モデル「4230s」の3機種をリリースする。
価格は、「4530s/CT」(カスタマイズ対応モデル)が6万8250円から、「4430s/CT」(カスタマイズ対応モデル)が6万6150円から。4月25日販売開始予定。「4230s」が7万6650円から。4月21日販売開始。カスタマイズ対応モデルの「4230s/CT」が6万9300円から。5月中旬販売開始予定。
法人向けデスクトップPCは、「HP Compaq 8200 Eliteシリーズ」3モデル、「HP Compaq 6200 Proシリーズ」1モデルの計2機種4モデルをラインアップ。
HP Compaq 8200 Elite MT | HP Compaq 8200 Elite SF |
高度なセキュリティや管理機能を備えた上位シリーズの「HP Compaq 8200 Eliteシリーズ」は、高度なリモート操作が可能なインテル vProテクノロジー、データの安全性やパフォーマンスを高めるRAID、高速インターフェイスのSATA 3.0(6Gbps)に対応。インテルQ67 ExpressチップセットとCore i3/Core i5/Core i7プロセッサを搭載する。
HP Compaq 8200 Elite US | HP Compaq 8200 Elite US(モニターマウントキット) |
ミニタワー型(MT)、省スペース型(SF)、ウルトラスリム型(US)の3モデルを用意し、機能拡張の必要性や設置スペースなど、多彩なニーズに応える。特に、ウルトラスリム型筺体の「8200 Elite US」は、最も省電力性に優れ、4年前の製品と比較し約80%電力が削減可能。また、液晶モニターとの一体型設置を可能にする新デザインのモニターマウントキット(5月中旬販売開始予定)と組み合わせて利用することで、設置面積を最少化し、場所を選ばずに利用できる。
HP Compaq 6200 Pro SF |
「HP Compaq 6200 Proシリーズ」は、コストパフォーマンスに優れたエントリーシリーズ。省スペース型筺体を採用し、インテル Q65 ExpressチップセットとCore i3/Core i5プロセッサを搭載した「6200 Pro SF」をリリースする。
価格は、「8200 Elite MT」が8万9250円から、「8200 Elite SF」が8万8200円から、「8200 Elite US」が8万8200円から。「6200 Pro SF」が6万9300円から。4月21日販売開始。
HP Z210 Workstation | HP Z210 SFF Workstation |
ワークステーションでは、エントリーワークステーション「HP Z210シリーズ」の新機種として、拡張性の高いミニタワー型「HP Z210 Workstation」と、省スペース型「HP Z210 SFF Workstation」の2モデルをラインアップする。選択可能なプロセッサとして、インテルのサーバー・ワークステーション向け最新プロセッサ Xeon E3シリーズを追加。また、ワークステーションでは初めてインテルvProテクノロジーに対応したほか、エラー訂正機能をもつECCメモリーを搭載した。さらに、既存モデルと同様に土日・祝日を含む3年間翌日オンサイトを標準保証で提供する。
価格は、「HP Z210 Workstation」が11万9700円から、「HP Z210 SFF Workstation」が10万5000円から。5月中旬販売開始予定。