“BeyondRAID”ストレージ「Drobo」のSMB向けがリニューアル、12ベイモデルなどを発表

仮想化ストレージやバックアップ用途などで訴求図る


Drobo Bシリーズ
BeyondRAID
日本オフィス カントリーマネージャーの藤武琢也氏

 米Data Robotics 日本オフィスは30日、ストレージ製品群「Droboシリーズ」において、SMB向けラインアップを強化すると発表した。従来の「DroboElite」をリニューアルしてSMB向けの「Drobo Bシリーズ」を立ち上げ、同日より製品提供を開始する。

 Droboシリーズは、手軽に利用できるストレージボックスとして展開されている製品群。DAS、NAS、iSCSI SANなど、用途に応じたラインアップがこれまで提供されており、いずれの製品も「データ保護レベルは既存のRAIDと同等、さらにさまざまな制約や制限を解消している独自技術『BeyondRAID』を採用している」(日本オフィス カントリーマネージャーの藤武琢也氏)点が特徴という。

 通常のRAIDでは、同一メーカーの同一容量(同一機種)のHDDを用いるのが原則で、異なるHDDをサポートする場合でも、容量は最小容量のHDDに合わせる場合が多い。しかしBeyondRAIDでは、冗長化のためのパリティを除くすべての容量を利用でき、余ったHDDを用いても無駄のないストレージシステムが構築できるのだ。

 また前述のようにパリティを確保しているため、データの冗長化もきちんと図られている。HDD2台ではRAID 1相当、3台以上ではRAID 5相当が選択され、設定によってはパリティを2つ持つRAID 6相当のシステムを構築できるので、信頼性も確保されている。さらに、HDDを2台から3台に増やすと自動的にRAID 1からRAID 5への切り替えが行われるなど、特別な知識がなくとも運用を行えるよう、さまざまな面で配慮されているのだという。

 加えて、HDDが故障した場合のリビルドについても、通常のRAIDではHDDすべてで再構成が行われるので、非常に長い時間がかかるが、BeyondRAIDでは、データが書き込まれている部分のみでリビルド作業が走ることから、この時間を短縮できるメリットもある。

 こうした手軽さが受け、2010年第4四半期は同年第3四半期の4.7倍の金額を売り上げ、2011年第1四半期はさらにそれを上回る実績を達成しつつあるというものの、「コンシューマを重視していたこともあって、もう1つの対象市場であるSMB向けには、なかなか食い込めていなかった」(藤武氏)といった課題があった。

 今回より提供を開始するDrobo Bシリーズは、こうした状況を改善させるために立ち上げられた製品群で、最大8基のHDDを内蔵できるNAS筐体「Drobo B800fs」、iSCSIストレージ筐体「同 B800i」と、最大12基のHDDを内蔵できる「同 B1200i」がラインアップされた。

 このうち、Data Roboticsがもっとも期待しているのがB1200iになる。ほかの製品はいずれもSATA HDDのみに対応しているが、B1200iはSATA/SAS HDDとSSDをサポートしたため、従来よりも高いパフォーマンスを出せるようになったという。またB1200iのみ、電源や冷却ファン、コントローラの冗長化に対応し、可用性を大きく向上させている。

 藤武氏によれば、こうした機能強化による大きな狙いの1つが、仮想化サーバー環境でのストレージなのだという。「従来のDroboEliteでもVMwareの認定を取得していたが、当社の製品はもともと性能よりも利便性に重きを置いていたこともあって、パフォーマンスの面や可用性の面で敬遠され、思った以上に数字が伸びなかった」とした藤武氏は、「B1200iではこうした点が改善されているので、手離れがいいストレージ商材として、仮想化導入を支援するSIerの皆さんに訴求していきたい」と、狙いを説明した。


Drobo B1200iVMwareの認定を取得し、各種機能をサポートする

 またNAS筐体のB800fsでは、新たにレプリケーション機能「Drobo Sync」が追加され、もう1台別のDrobo Bシリーズを設置すれば、データをコピーできるようになっている。この点を藤武氏は、「1000万円クラスの高機能なストレージとあまり変わらない機能を、当社の製品を用いれば数十万円でできるので、お客さまには大きなコストメリットを提供可能だ」と説明。競合するSMB向けのNAS製品と比べても、レプリケーション設定を簡単に行えるとも述べている。

B800fsにレプリケーション機能を搭載複数のストレージを容易に管理できるように管理ツールも強化

 参考価格は、B800fsが24万8000円、B800iが39万8000円で、3月30日より販売を開始。B1200iは6月の提供予定で、価格は未定。いずれもHDDの価格は含まない。

 「Drobo Bシリーズによって、SMB向け製品の売り上げを1年後には10倍にしたい。売り上げ全体の半分をDrobo Bシリーズで達成したいと思っており、仮想化やバックアップなどのソリューションでSIerが販売できる商材として、これからも訴求を続けていきたい」(藤武氏)。

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