CTO、独自のデスクトップ仮想化によるPC統合管理システムを販売開始
既存クライアントにブートイメージを一括展開
代表取締役社長の蔡永桂氏 |
CTO株式会社は、クラウド時代に先駆けた新世代のPC統合管理システム「Live Image Client(LIC)」の販売を開始した。
このシステムは、広域に多数分散配置されている既存クライアントをそのまま活用し、独自のデスクトップ仮想化技術によって統合管理を行うWindowsベースのクラウド端末ソリューション。資産管理・アクセスコントロール・バックアップ&リストアなどのエージェントソフトを一体化し、標準装備しており、企業、教育機関、公共機関、医療法人、流通、インターネットカフェなどのPC端末の統合管理を必要とする環境において、ガバナンスの強化、セキュリティの向上、コストダウンを実現する。
クライアントPCの物理ハードディスクを5種のエリアに区分 |
代表取締役社長の蔡永桂氏は、「Live Image Client」の開発経緯について、「当社では従来からシンクライアントソリューションに取り組んでおり、ネットワークブート型システムで多くの実績をもっている。今回の『Live Image Client』は、そのノウハウを生かし、クラウド時代に向けた最適のエンタープライズIT基盤を目指して3年前に構想したもの。開発自体は1年前に終わっていたが、その後、動作検証などを行い、今年1月に正式リリースとなった」と述べている。
具体的な仕組みは、あらかじめOSとアプリケーションをパッケージにしたブートイメージを、LICセンターサーバーからネットワーク経由で既存クライアントのハードディスクにバックグラウンドで一括展開し、クライアントを起動する際に適用する。ブートイメージを展開するクライアントのハードディスクは仮想化され、(1)起動時に初期化と差分適用を行う「起動メニュー」、(2)管理者が一元管理する「ベースイメージ」、(3)一時的にデータを保存する「ワーキングエリア」、(4)サーバーからの差分データを保管する「サーバー管轄エリアA」、(5)同じく「サーバー管轄エリアB」--の5種のエリアに区分される。同社では、この独自のデスクトップ仮想化の仕組みについて特許申請を準備中だという。
クライアントエージェントとシンクライアントを一体化したアーキテクチャ |
これにより、分散配置されたクライアントの統合管理を可能にするとともに、ブートイメージを差分で管理し、バックグラウンドで更新することで、実運用に支障をきたすことなく、オンデマンドで迅速なクライアント管理を実現する。また、ハードディスクのセクタ・ブロック単位でのエミュレーションによって、クライアント側は既存のPC環境と変わらない操作性を実現。使用するOS、アプリケーションにも制限はなく、一般オフィス、業務グループウェア、ハイエンド3DCAD、イラストレーションなどまで幅広いビジネスシーンに活用できる。
「Live Image Client」の特徴について蔡氏は、「既存クライアントのリソースをそのまま使って演算を行うため、従来のシンクライアントのように高価な専用端末や高性能なサーバーを用意する必要はない。また、最新のブートイメージがローカルの物理ハードディスクに格納されているため、サーバーがダウンしても業務には影響なく、高い耐障害性をもつサーバーも必要ない。さらに、バックグラウンド運用と差分ライブイメージの配布により、変化の速いIT環境に迅速に対応し、TCO削減に貢献できる」としている。このほか、ネットワーク経由でブートイメージを更新することで、障害発生時の作業負担の軽減、ヘルプデスク負担の軽減、修理コストの削減を図れる点や、プリンティングソリューションを別途用意する必要がない点も「Live Image Client」の特徴となっている。
運用の全体図 |
さらに、ガバナンス強化やセキュリティ向上の面について、「クライアントは起動時に必ず最新のブートイメージに初期化されるため、自動的にポリシーに基づいた業務を一貫して行うことができる。また、単一のハードディスク内に『ユーザーモード』と統制された『カンパニーモード』を完全分離の状態で構築することが可能で、ユーザー用と企業用のデスクトップ環境を干渉することなくセキュアに実現できる」ことを強調している。
システム提供にあたっては、顧客のニーズに応じて、自社でLICセンターサーバーを設置するソフトウェアライセンス型と、CTOのサーバーを利用するクラウドサービス型の2つのパターンを用意。ソフトウェアライセンスの価格は、1クライアントあたり4万2000円。クラウドサービス料金は、1クライアントあたり月額2100円から(10クライアントパック・利用期間3年・Cドライブ10GBの場合)。なお、顧客がスムーズに導入できるよう、導入前のコンサルタントから導入後のサポートまで一貫したコンサルタント・SIメニューを用意している。
同社では、今後、パートナー企業とともに「Live Image Client」の拡販に注力し、初年度で100システム、1億円の販売を見込んでいる。
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