日本IBM、過去・現在・未来を横断的に分析できる「Cognos 10」
日本IBMは10日、ビジネス・アナリティクス（BA）ソフト「IBM Cognos Business Intelligence V10.1（以下、Cognos 10）」を発売した。参考価格は、ビジネスユーザー100名で1852万5000円（税別）から。
■過去だけでなく現在・未来の分析も可能
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| ソフトウェア事業 ビジネス・アナリティクス事業部 Cognosクライアント・テクニカル・プロフェッショナルズの京田雅弘氏 |
Cognos 10は、膨大な情報を分析し、企業の意思決定を支援するBAソフト。「最大の特長は、複数の分析機能を横断して利用できる点」（ソフトウェア事業 ビジネス・アナリティクス（BA）事業部 Cognosクライアント・テクニカル・プロフェッショナルズの京田雅弘氏）。
具体的には、Webベースの統合ワークスペース環境「IBM Cognos Business Insight」が搭載されている。社内外のあらゆる情報を基に各種分析を横断的に行える情報基盤で、従来であれば別々のツールが必要だったレポーティング、トレンド分析、What-if分析、予測分析といった各種分析を統合的に行える。「過去の分析から、刻々と変化する現在の分析、予測分析による未来の分析まで横断的に実施できるようになり、より俯瞰（ふかん）的に分析できる」（同氏）という。
また、コラボレーションとソーシャルネットワーキング機能を提供する「IBM Lotus Connections」も組み込み、意思決定する関係者間で情報・洞察の共有を実現。「分析結果に“気づき”があった際に、簡単に担当者などへ連絡できることで、密接に連携したチームによる意思決定を支援。情報伝達を迅速化して次のアクションが即座に取れるほか、各アクションの役割や進ちょくを管理することで、責任の明確化や意思決定の透明性も高められる」（同氏）。
モバイル対応としては、従来のBlackBerryやWindows Mobileに加え、iPhone/iPadに対応。オフライン環境でも使えるインタラクティブなレポート作成機能も搭載し、時間と場所を選ばずに情報を確認できる。
このほか、キャッシュ技術の採用とクエリエンジンの改善により、情報検索の速度を従来比約3倍に向上している。
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| Cognos 10の主な機能 | 過去・現在・未来の分析を横断的に行える |
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| IBM Cognos Business Insight。表示するコンテンツを自由に変えられる。情報はすべてのグラフなどでリンクしており、トレンド分析、What-if分析、予測分析など各種分析機能を横断的に活用できるのが特長 | |
■BAを事業の1つの柱に
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| ソフトウェア事業 ビジネス・アナリティクス事業部長の国本明善氏 |
ソフトウェア事業 ビジネス・アナリティクス事業部長の国本明善氏は「BAはIBMの成長戦略の1つ」と強い意気込みを見せる。同氏が所属するビジネス・アナリティクス事業部は10月に新設されたばかりで、「Smarter Planet」「クラウド」などと並ぶ“事業の柱”に改めてBAが位置付けられたのだという。
2006年以降、IBMは総額120億ドルを企業買収に投じ、2007年にCognosを買収した。以来、6拠点のアナリティクス・ソリューション・センターや7000人の専任コンサルタントを配置し、約300人のリサーチャーによる100もの関連調査を行うなど、同分野に多大な先行投資を行ってきた。その1つの成果がCognos 10だ。
日本IBMは今後、BIではなくBAの領域に挑むという。BAとは、業務に関連する情報、実践的な洞察、スマートな意思決定、より優れた業績――というサイクルを回すもので、情報を収集してダッシュボード化するだけのBIとは根本的に異なるものだ。
Cognos 10には、統一されたワークスペース、過去・現在・将来にわたる視野、各種分析機能の相互連携など「思考（Think）」に関する機能、コラボレ―ティブな意思決定、状況の共有など「連携（Connect）」に関する機能、モバイルデバイスおよびオフライン環境対応、リアルタイムなど時間や場所の制約から開放する「実行（Do）」に関する機能が盛り込まれている。加えて、業種・業態に応じた19の支援ソリューションを用意。これらにより、BAを実現していくという。
「他社製品にも統合的に分析ができるというスイート製品があるが、実際には分析やレポーティングは別々のツールを使わなければ行けないのが一般的。Cognos 10で克服したのがまさにこの点。Cognos 10のみで多彩な分析を横断的に行うことができて、ある分析結果がほかのデータへとリアルタイムに反映される。従来のBIのように過去の情報だけを分析するのではなく、刻々と変わる現在の状況から、未来の状況まで、一貫した視点で俯瞰できるようになっている」（国本氏）。
今後は、セミナーやパートナー向けトレーニングなどを中心に拡販に努める方針だ。
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| BAとは業務に関連する情報、実践的な洞察、スマートな意思決定、より優れた業績――というサイクルを回すこと | 業種・業態に応じて19のソリューションを用意 |