ブライトコーブ、動画配信プラットフォーム最新版「Brightcove 5」発表


 ブライトコーブ株式会社は11月2日、動画配信プラットフォームの最新バージョン「Brightcove 5」を発表した。「Brightcove 5」はWebブラウザーから利用するSaaS型の動画管理・配信サービス。利用料は個別見積もりでトラフィックによって変わるが、月額で5万円程度から、大きな顧客では数百万までの幅があるという。

 なお、Brightcoveの既存ユーザーは、手続きやバージョンアップ料などの追加費用は不要でバージョンアップ版を利用できる。

YouTube、モバイル端末対応を強化

ブライトコーブ株式会社バイスプレジデント 須賀正明氏(左)と、米Brightcove社マーケティング担当シニアバイスプレジデントJeff Whatcott氏

 「Brightcove 5」では、新たにYouTubeへの配信・同期、スマートフォンのWebブラウザやアプリ向けのApple HTTPストリーミング対応をサポート。モバイルSDKも機能強化したほか、iPadアプリ開発向けのリファレンスアプリも提供する。

 YouTube対応により、Brightcoveに動画をアップロードすると、あらかじめ登録したYouTubeのアカウントに動画を自動アップロードすることが可能になった。アップロードだけでなく、削除作業についても自動同期が可能。また、Brightcoveにアップロードした動画のうち、特定のタグが付いた動画だけをYouTubeに同期することもできる。

 スマートフォンへの対応強化も大きな柱となっており、Apple HTTPストリーミングに新たに対応したことで、iPhoneとiPadなど大きさの違う端末に最適化して動画を配信可能となった。iOS用BrightcoveアプリSDKには、iPad向けのサンプルアプリも追加された。

 iPhoneで撮影した動画を直接Brightcoveアカウントに簡単にアップロードできるアプリも用意。iPhone上でできる簡単な編集機能も搭載し、App Storeで無償配布する。

 また、AndroidはFlash対応、iPhoneはFlash非対応でHTML 5に対応する必要があるが、Brightcoveでは1つのJavaScript埋め込みコードで、FlashとHTML5の配信に対応。デバイス検知機能により、自動的に対応フォーマットで配信を行う。

YouTubeへの配信、同期をサポートApple HTTPストリーミングに対応。モバイルアプリSDKに、iPad用リファレンスアプリを追加した
1つのJavascript埋め込みコードで、FlashとHTML5配信の両方に対応するiPhoneで撮影したコンテンツを直接BrightcoveアカウントにアップロードできるiPhoneアプリを、App Storeで無償提供

マルチビットレートストリーミング、高速アップロード、解析機能強化も

 ライブ配信では、マルチビットレートストリーミング(Akamai HTTPストリーミングプロトコル)に対応。携帯電話回線など低速な通信においてもスムーズな再生を可能にしたという。また、新しいライブDVRプレーヤコントロールでは、ライブイベント中に巻き戻して再生し、またライブ中継に戻るといった視聴方法もスムーズにできるようになった。

 動画ファイルのアップロードでは、Aspera高速ファイルテクノロジを採用。Webブラウザーのプラグインやデスクトップ/サーバーアプリケーションとして提供し、アップロッド速度は従来比で5~20倍向上したという。とくに、低速回線を利用している際に顕著な違いが見られるという。

 解析機能も強化し、プレーヤーレベルの測定、市町村レベルの視聴地域レポート、視聴継続時間、動画が埋め込まれているドメイン、エンドユーザーのブラウザー・OS・ランタイムの詳細情報など、10種以上のレポート機能を追加した。また、メールやSNSなどによる拡散効果を計測するため、メールで送ったURLからのアクセスや、共有されたプレーヤーをトラッキングすることも可能になった。

解析機能では地域別レポートなどを追加したほか、FlashとHTML5の視聴解析を総合的に見られるようにしたマルチビットレートおよびDVRライブ配信
Aspera高速ファイルテクノロジ対応により、アップロード速度が5~20倍向上「Brightcove5」のポイント

モバイル対応、アクセス解析、広告対応~すべてワンストップで

 米Brightcoveのマーケティング担当シニアバイスプレジデントのJeff Whatcott氏は、今回のバージョンアップの機能追加について、「今やYouTubeは、Googleに次いで検索エンジン第2位のサイトとなっている。動画に関しては、まずYouTubeに来て探すという人が非常に多くなっている」として、自社サイトで公開していても、より多くのユーザーの目にとまるためにはYouTubeに上げる意味があるとした。

 また、「自社サイトでの動画配信の場合、SD画質だけでなくHD画質に対応しようとすれば複数の動画をエンコードしてする必要があり、さらにAndroidやiPhoneからも視聴仕様とすると、iPhoneはFlashに対応していないため、HTML 5に対応する必要がある。米モルガンスタンレーは2014年までにインターネット視聴はモバイル端末からの方が多くなると予測しており、今後無視し続けることはできない。」とモバイルへの対応が必須となりつつあると述べた。

 hatcott氏はさらに、SNSなどの口コミも重要になっていると述べた。同じモルガンスタンレーの調査では、動画トラフィックではFacebook経由の視聴が月48%も伸びているほか、SNS経由で視聴したユーザーは時間的に15%も長く視聴するという。

 「Facebook内では、Facebookで許可されたプレーヤー以外は動画を表示させることはできないが、Brightcoveのプレーヤーはすでに許可済みのため、Brightcoveにアップロードした動画はFacebook内でも再生可能」だとした。

 「また動画の数が少ないうちはともかく、1000を超える数になった場合、管理の負担がかかり、管理のためのシステムも必要となる。さらに、動画配信においてはマネタイズに悩む企業が多いが、配信の際に15秒や30秒の広告をさしこむなど、動画広告システムへの対応や、モバイル環境からの視聴データ解析も含めたマーケティングなどもBrightcoveはワンパッケージで対応している」として、導入のメリットを説いた。

 現在Brightcoveは48カ国以上に2300社以上の顧客を持つ。売上の30%は米国以外の国での売上げとなっており、その30%はほぼ欧州と日本市場での売上だという。日本では電通、Jストリーム、トランスコスモス、cciの4社も出資して日本法人を2008年に設立。現在日本の顧客は100社以上に上るという。

動画配信では、モバイル対応、SNSなどの口コミマーケティング対応、解析と広告によるマネタイズが必須となりつつある動画の視聴数は月間300億回以上と大幅に伸びている中で、課題も増えている
Brightcoveの現況日本国内のBrightcove利用企業
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