テクマトリックス、ソフト構成・変更管理ツール「AccuRev」発売

AccuRevの機能・特徴

ストリーム・アーキテクチャとStreamBrowser

　テクマトリックス株式会社は19日、米AccuRevと国内総販売代理店契約を締結し、ソフト構成・変更管理ツール「AccuRev」を発売した。同日より、国内での販売、マーケティング、日本語化、ユーザーサポート、ソリューションサービスなどの活動を展開する。

　AccuRevは、複数拠点での分散・並行開発やアジャイル開発に対応するソフトウェア構成・変更管理ツール。「ストリームベース」というアーキテクチャを採用し、その考えに則った専用GUI「StreamBrowser」を提供するのが特徴。

　StreamBrowserでは、「製品の構成サブシステム」「開発プロセス」「開発拠点」「開発メンバー」などの「ストリーム」と呼ばれるアイコンを画面上に配置する。それらの相関図により、最終成果物（製品）のために開発しなければいけないソフト（機能）、そのための開発プロセス、担当開発拠点、拠点ごとの開発メンバーなどを表現する。この画面をすべての開発担当者で共有できるのがウリだ。

　画面上で行う操作は、ローカルで作成・変更したファイルをサーバーにアップロードする「キープ」と、キープしたファイルを親ストリームに進ませる「プロモート」の主に2つ。開発者がローカルから「キープ」したファイルは、開発者ごとに用意された作業領域「ワークスペース」に登録され、ファイルのプライベートバージョン管理が行える。ここから任意のファイルを「結合テスト」や「品質テスト」などの親ストリームに「プロモート」すると、他ユーザーにファイルの内容が公開され、プロセスと関連付いたファイル・変更管理が実現する。

　親ストリームにプロモートされた変更は、子ストリームにも自動継承。誰かが変更した内容が他メンバーにも反映されるので、分散・並行開発において、多数のブランチをマージする作業が効率化される。


StreamBrowser上の構成要素	構成例。製品を最上位として、ソフトウェアの構成、開発プロセス、複数の開発拠点、個人のワークスペースが図式化されている


開発者ごとにワークスペースが用意される。ここでプライベートバージョン管理が可能	操作の流れ。開発者個人が作成したファイルを親ストリームにプロモートすることで、ファイルの共有やプロセスとファイルの関連付けが可能となる

　システムエンジニアリング事業部ソフトウェアエンジニアリング営業部の渡部達郎氏によれば、「従来のソフト開発の課題は、数多く作成されたブランチのマージ作業時に発生する膨大な工数や、それに伴う人的ミスの可能性だ。ストリームベース・アーキテクチャでは、ソースコードやドキュメントといったソフトウェア資産と開発プロセスを確実に関連付けて管理するため、プロジェクト内での面倒な確認作業を必要とせずに、プロセスに従った開発に専念できる」という。

　課題ベースの管理を行えるのも特徴。AccuRevには、課題管理システム「AccuWork」と、複数の成果物を1つのパッケージにして管理する「変更パッケージ機能」が搭載されている。AccuWorkで管理されている課題と修正されたソースコードファイルをグループ化して管理し、作業や変更履歴を課題ごとに管理できる。「従来のようなファイルベースの管理では、膨大なファイルが何のためのファイルなのか把握しきれなくなる恐れがある。AccuRevでは、課題単位で変更を管理することで、各リリースの差分状況をファイルレベルに加えて、機能/バグ/パッチレベルで把握できる」（渡部氏）というわけだ。

　このほか、1つ1つの操作を番号付けされた「トランザクション」として保存し再現性とトレーサビリティを実現する「TimeSafeテクノロジー」も実装。すべてのデータはアトミックに管理され、中途半端な結果は残さず、データの完全性も確保される。

　また、AccuRevでは、サードパーティのプロジェクト管理・要求管理・ビルド管理・テスト管理ツールと柔軟に連携でき、「best-of-breed（最適なソリューションの組み合わせ）」によるALM（アプリケーションライフサイクル管理）を実現できる。課題管理システム「AccuWork」でさえ、他社製品と置き換えることが可能だ。このため、特定ベンダーのツールスイートに縛られることなく、ソフトウェア開発プロセス全体の効率性を向上できるという。

複数拠点での分散・並行開発の生産性を向上させる「AccuReplica（オプション）」

　複数拠点での分散・並行開発の生産性を向上させる「AccuReplica（オプション）」も用意される。遠隔拠点から本拠地にあるマスターサーバーへ接続する際の通信負荷を軽減させるためのリモートサーバーで、常に拠点間で同期が図られるため、遠隔拠点の開発者は拠点内のAccuReplicaにアクセスするだけで、StreamBrowserの共有利用が可能となる。

　代表取締役社長の由利孝氏は、「当社では長年、開発テストツールを取り扱ってきた。その中で、特に組み込み開発の現場においては、大規模開発、並行開発、アジャイル開発、オフショア開発など環境が複雑化し、変更管理ツールの需要が高まっていることが分かった。だが、現在の変更管理ツールは商用・オープンソース含め、現状の業務にマッチしないものばかり。そこで多くの製品をリサーチし最適なものを探した結果、たどり着いたのがAccuRevだった」と、今回の総代理店契約の経緯を説明。

　10月19日より英語版を出荷し、2011年1月より日本語版を出荷する。価格は19万8000円（税別）で、今後3年間で10億円の売り上げを目指すとした。