ブロケード、100GbEポートを最大32基搭載可能な高密度ルータ「MLXeシリーズ」
バックプレーン容量は最大15.36Tbps、2ポート100GbEカードも発表
Brocade MLXeシリーズの概要 |
SPテクニカルエンゲージメント本部 村田眞人本部長 |
ブロケードコミュニケーションズシステムズ株式会社(ブロケード)は28日、高密度ルータの新製品「Brocade MLXeシリーズ」、ならびに同シリーズに最適な100Gigabit Ethernet(GbE)ラインカード「Brocade 100GbE ブレード」を発表した。各製品とも、9月15日の米国での発表と同時に販売を開始しており、MLXeシリーズはすでに提供可能。100GbE ブレードは2011年前半の提供を予定する。
MLXeシリーズは、「MLXシリーズ」などの従来製品の機能を引き継ぎながら、いずれも従来比2倍となる、最大15.36Tbpsのシャーシバックプレーン容量と、480Gbpsのハーフスロット容量を備えた高密度ルータ。ハーフスロット数が4/8/16/32の4モデルがラインアップされており、顧客の要件に応じて柔軟に選択できるほか、32スロットモデルの場合、100GbEポートでは最大32基、10GbEポートでは256基、GbEポートでは1536基を搭載できる高密度実装を実現した。
SPテクニカルエンゲージメント本部 村田眞人本部長は、こうした特徴を踏まえて、「競合製品と比べて9倍のバックプレーン容量と、同じく5倍のパケットフォワーディング性能を持ち、4倍のポート密度を低価格で実現できる」と、この製品を紹介。それを提供する背景として、扱いデータ量が格段に増加している点を挙げる。
特にサービスプロバイダでは、ビデオトラフィックの増加、スマートフォンの普及、Web 2.0的な双方向のインターネット利用の増加、といった昨今のトレンドを受けて、「トラフィックの伸びに対して安いコストで対応することが求められている」(村田本部長)状況。10Gbpsを超える広帯域が必要な場合、これまでは10GbEのリンクアグリゲーションなどで対応していたが、運用にノウハウが必要なため、プロバイダ側での負担が大きかったという。
しかし、これを100GbEに切り替えることで、ファイバーの本数を物理的に削減したり、複雑な運用管理がなくなったり、といったメリットが得られるようになるし、ポート密度を上げれば、ルータ自身の台数を削減できる点もメリットになる。
ブロケードでは、こうした点を訴求し、インターネットプロバイダのバックボーンや、インターネットエクスチェンジ(IX)などに向けて、MLXeシリーズの導入を進めたい考え。また、イーサネットトラフィックが集まるメトロイーサネットのアグリゲーション/コアなどに向けても展開するとした。
一方、データセンターや企業ネットワークについても、100GbEの恩恵はあるという。それは、現在のデータセンターでは、ネットワークなどのI/O部分の利用効率が上がっているため。一般には、「サーバーに10GbEインターフェイスが付いていたとしても、せいぜい2.5Gbps程度を使っていたにすぎないが、仮想化の普及によりサーバーの利用効率が向上し、ネットワークについても、本当に10Gbps近くの帯域を必要とするようになった」(村田本部長)のだという。
そこで、これまでの、帯域を使い切らないことを前提としたオーバーサブスクリプションのネットワーク設計を、ワイヤスピードを想定したネットワークへと変更する必要が出てきており、その上流には、より高速なインターフェイスの需要が見られるようになった。
村田本部長は、「オーバーサブスクリプションが当たり前にだったところがワイヤスピードになると、ネットワークのコアに求められる性能が上がってくるので、そこに100GbEを当てはめることなる。また、HPCでの高性能インターコネクトや、データセンター間の接続が必要なアプリケーションの利用を想定し、VPLSのコアなどにも、今後、100GbEが要求されるようになるだろう」と、想定される適用シーンを紹介し、データセンター向けにも訴求を進める考えを示した。
サービスプロバイダーでの導入ケース | データセンター、企業ネットワークでの導入ケース |
Brocade 100GbE ブレードの概要 |
なお、新ラインカードの100GbE ブレードは、2つ分のハーフスロットを占有するサイズで、カードあたり2基のワイヤスピード100GbEポートを搭載。アドバンストMPLSやIPv6などの機能は、従来同様利用できる。また、物理的にはインターフェイスを2基搭載しているものの、ユーザーが段階的に拡張していけるよう、最初は1基のみを有効にし、もう1基は、必要に応じて追加ライセンスを購入して利用可能にする「ポート・オンデマンド」にも対応している。対応するルータ/スイッチは、MLXeシリーズ、MLXシリーズ、XMRシリーズだが、MLXeシリーズ以外では、シャーシの性能上の制約を受け、半分のポートしか利用できない。
また今回は同時に、有線・無線のIPネットワーク環境とSAN環境を統合管理するツール「Brocade Network Advisor」も発表された。それぞれ別個の管理ツールだったものを統合しているので、複数の環境を一人の管理者が見る場合にも、再トレーニングの必要がないほか、SMI-S、SMNPなどのオープンインターフェイスを持つことから、他社の管理プラットフォームとの連携もサポートしている。提供開始は11月の予定。
Brocade Network Advisorの概要 | オープンなインターフェイスをサポートし、他社のプラットフォームとの連携に対応する |