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エージェンティックAI時代の運用課題とその解決策とは――HPEが提案

 日本ヒューレット・パッカード合同会社(以下、HPE)は6日、エージェンティックAI時代のIT運用における課題と、その課題に対応する同社のソリューションについて説明会を開催した。

 HPE 執行役員 プリセールス統括本部長兼Geo Chief Solution Architectの中村史彦氏は、生成AIの急速な普及を経て、複数のAIエージェントが互いに連携しながら業務を遂行するエージェンティックAIへの期待が高まっているとした上で、「HPEでは、AIエージェントが企業のデジタル労働力として人と共働し、新たな価値を創出する運営モデルをAgentic Enterpriseと呼んでいる。ただし、Agentic Enterpriseを実現するには多くの課題がある」と語る。

HPE 執行役員 プリセールス統括本部長兼Geo Chief Solution Architect 中村史彦氏

 その課題のひとつは、業務が動的で複雑になっていることだ。あらかじめ処理経路を定義できた従来の自動化とは異なり、「AIエージェントが自律的に思考し、さまざまなデータやSaaS、ほかのエージェントへ動的にアクセスする環境では、人手による全体把握と制御が困難だ」と中村氏は説明する。

 また、トークン消費の急増に伴うコストの増加も課題となる。中村氏は「AIエージェントが自律的に動けば動くほど、推論とモデルの利用が積み重なりコストが増大する」と指摘。100個のコーディングエージェントを並列処理させた場合、月間のトークン消費量が6000億トークン(月額100万ドル規模)に達するケースもあると中村氏は述べ、トークン利用の継続的な管理と最適化が重要になるとした。

トークン消費の規模が莫大に

 AIの負荷がITインフラ全体に及ぶことも問題だ。推論処理やオーケストレーション処理の増加により、「従来の学習中心型AIではコンピュートの需要がCPU1個に対しCPU8個といった割合だったのが、エージェンティックAIではその比率が1対1に近づくという予測もある。これに伴い、ネットワークのレスポンスやスループット、信頼性への要求も大幅に高まる」と中村氏はいう。

 さらには、セキュリティとガバナンスも重要だ。デジタル労働力としてのエージェントの行動履歴やアクセス権限の統制に加え、「AIによって高速化し大規模化するサイバー攻撃へのリアルタイムな対応が求められる」と中村氏は強調する。

 「これらの課題は、人手中心の運用ではもう対処できない。AIを活用した継続的なリアルタイムでの判断と最適化が必要だ」と中村氏は主張している。

AIの負荷は、スタック全体にわたる

自律型プラットフォームを実現するHPEのソリューション

 こうした課題を解決し、Agentic Enterpriseの実現を支えるため、HPEではクラウドを安全かつ動的に接続するSelf-Driving Networkingレイヤーと、AIに最適化されたAgentic Infrastructureレイヤー、そしてIT環境全体を最適化するIntelligent Hybrid Operationsレイヤーという3つの主要レイヤーからなるブループリントを提示、これらのレイヤーをすべてつなぎ合わせた「GreenLake Intelligence」を昨年発表し、自律型プラットフォームを提供している。

Agentic Enterpriseを支えるHPEのブループリント

 その中でも、特に運用の自動化を担う「クローズドループ運用(観測・推論・実行・検証のサイクル)」の中核として提供されているのが「HPE CloudOps Software」だ。HPE CloudOps Softwareは、マルチクラウド、マルチベンダー、マルチワークロードに対応するソフトウェア群で構成されている。

 まず、IT基盤全体を一元管理できるソフトウェアが「HPE Morpheus Software」だ。データセンター、パブリッククラウド、エッジに分散するインフラを、単一の企業クラウドとして管理し、ガバナンスを維持したセルフサービス運用を提供する。自然言語での指示を可能にするAI機能「HPE Morpheus Orchestrate Copilot」も新たに搭載された。

 続いて、運用領域のオブザーバビリティを担う「HPE OpsRamp Software」は、AIエージェントやモデル、アプリケーションなどを単一のサービスとしてとらえ、状態を可視化する。中村氏は「プラットフォーム環境全体で何が起きているのかをリアルタイムで観測し、根本原因の特定から自律的な復旧までを担う重要なソフトウェアだ」と説明する。今年からは自然言語でのやり取りや自律化が可能な「OpsRamp Operations Copilot」も提供し、トークン消費量やLLMコストの把握、相関分析に基づく修復アクションの提示といった機能も拡充された。

 また、データ保護を担う「HPE Zerto Software」は、エージェントの誤動作によるデータ更新や不正アクセスが発生した際にも迅速なリカバリーが可能で、データのレジリエンスを提供するソフトウェアだ。

HPE CloudOps Software

 HPEの強みは、これらのソフトウェアとハードウェアの融合にある。「ネットワーク分野では、すでに昨年の段階でSelf-Driving Networkによる自律運転が可能になっている。また、サーバーやストレージなどすべてのポートフォリオにAIエージェントを提供し、それらがメッシュ状に連携して自律的に動作するGreenLake Intelligenceの完成に向けた取り組みを進めている」と中村氏。

 さらに、企業が業務アプリケーションにAIを適用する際のソリューションとして、「HPE AI Factory」を展開。ここにもHPE CloudOps Softwareが組み込まれており、「企業はセキュリティとガバナンスが確保された環境で、迅速に再現性の高いAIサービスがリリースできる」(中村氏)としている。

 最後に中村氏は「Self-Driving Networkingで自律的につながり、Agentic Infrastructureで安全かつ効率的に動かし、Intelligent Hybrid Operationsでインテリジェントに運用する。この3本柱を基盤として、企業のAgentic Enterpriseへの変革と価値創出を支援していきたい」と述べた。

今後のGreenLake Intelligence