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アライドテレシス・ビットブレイン・EPLinkが協業、医療専用閉域網「WCI」を活用した安全・高速なリモートSDV環境を提供
2026年10月7日 06:15
アライドテレシス株式会社、株式会社ビットブレイン、株式会社EPLinkの3社は、医療機関と外部関係者をつなぐ通信環境の安全性と運用性を向上させるため協業を開始したと、10月6日に発表した。まず治験・臨床研究領域において、閉域ネットワーク接続によるリモートSDV(Source Data Verification、原資料の直接閲覧)に取り組む。
アライドテレシスがネットワークインフラと運用支援を、ビットブレインが医療専用閉域ネットワーク基盤「WCI (Wires Connect Intelligence)」を、EPLinkがリモートSDVシステム「SYNOV-R」と治験支援の知見を持ち寄り、組み合わせる。
これまで、アライドテレシスとビットブレインは、アライドテレシスのSD-WANルーター「AT-ARX200S-GT」および「AT-ARX200S-GTX」をWCIに対応させる協業を、6月に発表している。これについては、日本赤十字社 金沢赤十字病院と福井大学医学部附属病院での遠隔読影の事例も、10月5日に発表されている。
また、EPLinkとビットブレインは、SYNOV-Rにおいて、VPNを利用したリモート接続を実現してきた。
今回は、この3社が協業し、インターネットVPNを使わないWCIによって、リモートSDVにおける安全かつ高速な外部接続を実現する。
同日、3社による記者発表会が開催され、内容と背景が説明された。
リモートSDVの課題をWCIの閉域接続で解決
株式会社EPLink 代表取締役 中島裕尚氏は、治験とSDV、そのためのシステムSYNOV-Rについて説明した。
EPLinkは、医療機関の臨床試験や治験をサポートする治験実施施設支援機関(SMO)の事業を行っている。全国の提携医療機関が7700施設で業界トップシェアだと中島氏は説明した。
治験は新しい薬や医療機器について、承認を得るために人を対象に行う臨床試験だ。そのため、患者の安全とデータの信頼が重要となる。
その信頼性を支えるのがSDVだ。SDVは、電子カルテや検査結果などの診療データを収集し、その診療データと医療機関内の原資料を照合する作業を指す。従来のSDVは、製薬会社などのモニターが医療機関に赴いて照合作業をしていた。
この照合作業をリモートから行えるようにするのが、EPLinkのリモートSDVシステム「SYNOV-R」である。事前に医療機関の承認を受け、本人認証を行ったうえで、遠隔接続によって院内専用端末から電子カルテなどの情報を確認する。これにより、モニターが医療機関を訪問することなく、またデータを院外に持ち出すことなく、SDVの照合作業が行える。
SYNOV-Rでは、ビットブレインと共同開発したリモートアクセスの仕組みにより、インターネット上のVPNによって、モニターと院内をセキュアに接続している。ただし、インターネット上のVPNにセキュリティ問題の可能性が残ることや、医療機関ごとの接続審査と設定、接続状況の可視化と障害時の切り分けなどの課題があった。
そこで今回の協業により、インターネットを介さない接続経路を利用し、施設間・拠点間の接続方式を統一し、高速・大容量通信に対応し、接続状態を把握して運用負担を軽減する、と中島氏は語った。
インターネットから接続できない安全性、転送速度も約63倍に
株式会社ビットブレイン 代表取締役 斎藤智示氏は、WCIについて説明した。
WCI(Wires Connect Intelligence)は、医療専用の閉域ネットワークだ。特徴は、インターネットとの接続点を持たない閉域ネットワークのため、インターネット経由の攻撃を受けない「安全」。また、インターネットVPNに比べて「高速・大容量」。そして、高価な専用線と比べて、NGNを利用していることにより安価で手軽に導入できる「導入のしやすさ」がある。
「安全」については、インターネットVPNの場合は、接続機器が世界中で攻撃者に狙われ、さらに複数の拠点とつなぐとそこにも侵入が広がるという懸念点を斎藤氏は挙げた。それに対し、WCIではインターネットからは接続できない点をメリットとして主張。さらに、複数拠点がWCIにつながっている中でも、承認のない相手とは通信できず、申請と承認によって接続できるようになっている。
「高速・大容量」については、福井-岩手間のHTTPによる1GBのファイル転送が、インターネットVPNで27分15秒かかったところ、WCIでは26秒と約63倍の速度になったという検証結果を、斎藤氏は紹介した。さらに、100GBの大容量ファイルの転送では、インターネットVPNでは転送セッションの確立もできなかったところ、WCIでは約1時間7分で転送に成功したという。
同様に、東京-大阪間で平日日中にWindowsのSMB(ファイルサーバーアクセス)でデータ転送して、120MBのファイルで3秒(WCI)と10秒(インターネットVPN)、600MBで18秒と55秒という比較デモ動画も斎藤氏は上映した。
こうした特徴について、WCI・インターネットVPN・専用線を比較して、「専用線の安全性とインターネットVPNの手軽さを両立したのがWCI」と斎藤氏は述べた。なお、WCIは帯域保証のないベストエフォート型となる。
2029年に5000施設での導入を目指す
アライドテレシス株式会社 代表取締役副社長 佐藤朝紀氏は、今回の3社協業について説明した。
今回の協業について佐藤氏は「医療現場で扱う大切な情報を、より安全に、そしてよりスムーズにやり取りできる環境を実現していく取り組み」と説明した。
ポイントは3つ。1つめは、医療業務の支援から、ネットワーク、導入・運用支援まで、3社によって一体提供すること。2つめは、医療機関ごとの導入をできる限り標準化して、導入負担を軽減すること。3つめは、治験支援を起点に、幅広い医療DX領域に展開することだ。
この協業は、「3社の役割が明確に分かれ、それぞれ得るものがある、3社でのWIN-WIN-WIN」であることも佐藤氏は強調した。EPLinkはSYNOV-Rの販路の拡大や、より安全な通信経路を得る。ビットブレインは、アライドテレシスから光回線とルーターの調達および接続のノウハウを得て、EPLinkとの技術研究を進める。アライドテレシスは、ビットブレインからWAN閉域網のノウハウを得て、EPLinkとともに治験業界での提案を強化する。
さらに、「医療現場から得られるニーズや課題を3社で共有し、それぞれの強みを生かしながら、医療DXの推進に資する、新たなシステムとサービスの企画開発につなげていく」と佐藤氏は語った。
今後の取り組みについては、アライドテレシス株式会社 取締役 木村有司氏が説明した。
協業による安全な外部接続環境の推進については、今回のリモートSDVを皮切りに、「今後はこのWCI基盤を活用して、医療機関同士の情報連携や、遠隔医療、医療AIの活用、データバックアップなど、医療DXを支えるさまざまな領域へ展開していきたいと考えている。また、どの医療機関でも安全かつ容易に医療DX基盤を利用できるよう、WCIをスムーズに導入できるパッケージサービスを提供する」と木村氏は説明した。
そしてWCIの導入施設数としては、2027年に1000施設、2028年に2500施設、2029年に5000施設を目標とすると語った。
















