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クリックテックが2027年度事業戦略を発表、SaaSとデータ統合を軸に日本事業を5年で2倍へ

 クリックテック・ジャパン株式会社(以下、クリックテック)は18日、2027年度の事業戦略説明会をオンラインで開催した。説明会では、国内市場の現状を踏まえた今後の事業戦略や製品展開、およびユーザー企業である株式会社BookLiveのAI・データ活用事例を紹介した。

 まず、クリックテック 執行役員社長の今野芳弘氏が登壇し、ビジネスの現状について説明。「当社は『Agentic Intelligence』をビジョンに掲げ、AI・データ統合・データ分析の力で、データをAIの原動力に変換し、あらゆる企業の戦略的成果の加速を目指している。Gartner Magic Quadrant、IDC MarketScapeでリーダーに選ばれるなど、業界アナリストやユーザーからも高い評価を獲得。グローバルでは現在、4万社以上の企業がQlik製品を導入し、Fortune500企業の4社に3社が採用している。また、日本国内でも多くの大手企業がQlik製品でデータの価値を最大化し、ビジネスに活用している」という。

クリックテック 執行役員社長の今野芳弘氏

 こうした状況の中、2027年度に向けた事業戦略について、「日本では、エージェント型AIの導入はまだ黎明期であるととらえている。当社の調査によると、97%の企業がエージェント型AIの導入予算を確約している一方で、完全導入済みの企業はわずか18%にとどまり、『戦略の意欲』と『実装の現実』の間に大きなギャップが存在することが明らかになった。このギャップこそ、今後当社が切り拓くべき市場機会であり、AI・データ統合・データ分析を融合し、データをAIの原動力へと変換する『Agentic Intelligence』によって、新たな価値創出を推進していく。特に、過去3年で3倍以上に急成長している『SaaS』と『データ統合』をエンジンに、今後5年で日本事業全体を2倍に拡大する」との方針を発表した。

 2027年度の重点施策としては、「AIエージェント対応の強化」「アナリティクスSaaSの成長加速」「データ統合の強化」の3つの柱を挙げた。「AIエージェント対応の強化」では、全製品にAI機能を組み込むことでエージェント対応プラットフォームへの進化を加速させ、エージェント型AIが依拠する信頼できるデータ基盤として訴求する。「アナリティクスSaaSの成長加速」では、新規獲得と既存移行の両輪でSaaSの売上を積み上げるとともに、生成AI連携による付加価値訴求で導入・拡張をさらに加速していく。「データ統合の強化」では、金融・公共でのオンプレミス案件を拡大し、メインフレームのデータ移行需要を獲得。また、Icebergへの対応により、オープンデータレイク環境での新規需要を取り込んでいく。

2027年度の重点施策

 この3つの重点施策を支えるビジネス基盤の戦略としては、「パートナーエコシステムの拡大」に注力していく考えを示した。具体的には、製造業・金融業やSMB市場に強みを持つリセールパートナーを新たに開拓し、販売体制を拡大。より多くの顧客にQlik製品の価値を届ける。また、パートナー企業向けの製品トレーニングを拡充し、営業ツールや導入事例など、販売を支援するマテリアルの提供を強化する。さらに、主要クラウド・データプラットフォームとの技術連携を深め、顧客が選んだ基盤上でQlik製品を活用できる環境を整備していく。

パートナービジネスの重点施策

 次に、クリックテック 執行役員ソリューション技術本部長の濱野正樹氏が同社の製品展開について説明した。濱野氏は、「日本においてエージェント型AIの導入が進まない理由としては、AI技術そのものよりも、AIを活用するためのデータ品質と基盤整備が最大の障壁になっていると考えられる。この課題に対して当社では、『Agentic Intelligence』を通じて、データをAI活用の原動力へと変えるソリューションを提供している」と述べ、「Agentic Intelligence」の大きな特長として「リアルタイムデータ連携」、「データ品質の確保」、「データの意味付け・文脈化」の3つを挙げた。

クリックテック 執行役員ソリューション技術本部長の濱野正樹氏

 1つ目のリアルタイムデータ連携では、基幹システムを含め、あらゆるデータをリアルタイムに統合し、さまざまなAI/BIで活用することが可能。「エージェントレス」と「ログベースCDC(変更データキャプチャ)」によって、リアルタイム連携におけるソースDBへの負荷を最小限に抑える。また、GUIで直感的に操作できるため、構築・運用工数も大幅に削減できる。さらに、Icebergを組み合わせることで、オープンレイクハウスを実現。これによって、運用コストの削減とクエリ処理性能の向上を図るとともに、ゼロコピーミラーリングで不要なデータ移動や複製コストを排除する。

「Agentic Intelligence」のソリューション概要

 2つ目のデータ品質の確保では、データパイプラインを作成し、効率的にクレンジング処理を実施。AI支援のもと、有効性や一貫性などをチェックするデータ品質ルールを定義したうえで、複数軸から品質問題を自動検知し、品質をスコアリングして可視化する。品質問題が検出された場合はデータ修正を行うとともに、後続処理への影響を確認する。これによって、高品質なデータをAIデータエンジニアリングで活用可能としている。

 3つ目のデータの意味付け・文脈化では、AIが判断できないデータについて、意味付けや文脈を付加し、セマンティックデータモデルを定義する。例えば、複数ある売上項目に「受注ベース」「会計認識ベース」「グロス」「ネット」といった意味付けを付与することで、売上・顧客・製品など各テーブルを正しいリレーションシップで結合。これによって、AIが意味付けや文脈に応じて、適切なデータから信頼性の高い回答を返せるように支援する。

 濱野氏は、「『Agentic Intelligence』は、顧客のデータとAIの仲介役として、データパイプラインエージェントやデータ品質エージェント、カタログエージェント、分析エージェント、予測エージェントなどを提供する。顧客は、使い慣れた既存の生成AIツールから、これらのAIエージェントを介して、社内のデータ資産をフル活用できるようになる」とまとめた。

 また、説明会の後半では、ユーザー企業であるBookLiveによるQlik製品の活用事例を紹介した。BookLiveが運営する総合電子書籍ストア「ブックライブ」は現在、利用者数1500万人、取り扱い電子書籍約200万冊、無料で読めるマンガ数は常時5.5万冊以上となっている。BookLive 執行役員 マーケティング本部長の福田晃仁氏は、「当社では、『ブックライブ』のマーケティング活動に長年Qlikを活用している。売上の分析はもちろんだが、『ブックライブ』に“どんな読者が何種類いるのか”、顧客のインサイトを探るために、非常に有用なソリューションだと思っている」と述べた。

BookLive 執行役員 マーケティング本部長の福田晃仁氏

 これまで同社は、膨大な読者数、作品数、アクションログの中から、読者のコンテクストやイメージを見つけ出す手段がなく、読者とのコミュニケーションプランニングに課題を抱えていた。この課題に対して、超短期間・低予算でSnowflakeとQlikを導入。「ブックライブ」の各種データをCDP(Customer Data Platform)に集約したうえで、読者の行動/特性をQlikで探索的に分析する仕組みを構築したという。

BookLiveが構築したCDP×Qlikアーキテクチャ

 BookLive マーケティング本部SoE & データサイエンス部 部長の横井孝典氏は、Qlikを活用した具体的なゲーミフィケーション施策について、「さまざまな切り口のデータで、特徴的な行動をする読者層を繰り返し探索し、行動の理由・心理を洞察した。この結果、『異世界男性』、『男(ダン)ウーマン』、『光のBL読者』、『闇のBL読者』といった新たな読者層を発見することができた。そして、『異世界男性』の読者層に向けて、異世界作品の購入率に応じた称号・レベル・ステータスを表示する『異世界コンプリートマップ』を提供。利用者へのコレクション・達成体験を通じた来訪・購買促進を実現した」としている。

BookLive マーケティング本部SoE & データサイエンス部 部長の横井孝典氏

 このほか、Qlikによるデータ活用を社内に行き渡らせる施策として、オフィス内の主要導線付近に、大型ディスプレイ2面でのサイネージを設置。売上・KPI推移や作品ランキング、読者行動の変化などのコンテンツを表示することで、“目に入る”からはじめるデータ民主化を推進している。また、Qlikのレクチャー・コーチングも実施。Qlik操作・アプリ作成入門やデータ解釈の伴走支援を通じて、Qlik活用者の増加を図っている。

 今後のAI活用とQlikへの期待について横井氏は、「これまでCDP・Qlikのデータパイプラインは、すべての工程を人が構築していたが、2026年夏季にAIエージェントを導入。AIがパイプラインを構築し、人は設計や確認に注力することで、多種多様なデータを迅速にデリバリーできるようにした。今後は、『ここを突けば、顧客の心は動く』といった、ベテランが頭の中に蓄えた経験データによる“野生の勘”を、誰でも再現できるようにしたいと考えている。Qlikの連想エンジンとAIを組み合わせることで、データ集計のその先にある知見を発掘できることを期待している」と語った。