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米NutanixラマスワミCEOが来日、「.NEXT 2026」の最新戦略を語る――エージェント型AIや外部ストレージ対応などを強化

 ニュータニックス・ジャパン合同会社(ニュータニックス)は、米Nutanix Inc.のプレジデント兼CEOであるラジブ・ラマスワミ(Rajiv Ramaswami)氏の来日に合わせ、記者説明会を開催した。ラマスワミ氏は、4月上旬に米国で開催された年次イベント「.NEXT 2026」での発表内容をまじえ、最新の事業戦略について語った。

 記者説明会では、日本での事業についても説明が行われた。同日に発表された、協業および導入事例についても紹介し、その中から、日本電気株式会社(NEC)およびNECフィールディング株式会社と、東急不動産ホールディングス株式会社も登壇した。

.NEXT 2026での新発表を紹介

 ラマスワミ氏は、「エージェント型AIでイノベーションを加速」「今こそ、コンテナでモダナイズ」「あらゆるものをあらゆる場所で稼働」の3つのキーワードで、Nutanixの戦略を語った

Nutanix Inc. プレジデント兼CEO ラジブ・ラマスワミ(Rajiv Ramaswami)氏
3つのキーワード

AIプラットフォーム「Nutanix Agentic AI」、マルチテナント「Service Provider Central」、Kubernetesの「NKP Metal」、外部ストレージ対応の拡大

 まずAIについて。ラマスワミ氏は背景として、AIの潮流が、モデルの構築から、推論やさらにAIエージェントの活用に移っていることを挙げた。そのためのAIインフラである“AIファクトリー”は、CPUやGPUなどのハードウェアの上にソフトウェア層が作られており、それをセキュリティやガバナンス、自動化、効率とパフォーマンス、トークンあたりのコストの低減などを考慮してエンタープライズ規模で運用するのは難しい、とラマスワミ氏は言う。

 そして、それをターンキー(スイッチを入れれば使える)のソリューションとして提供するのが、3月にNVIDIA GDCで発表した「Nutanix Agentic AI」だと説明した。

Nutanix Agentic AI

 .NEXT 2026で発表されたのが、テナント間を隔離するマルチテナント機能を持った「Service Provider Central」だ。「企業であれば、人事と財務で同じデータを見るのは避けたい。またサービスプロバイダーであれば、複数の顧客を完全に分離したい。それをセキュアに分離して各利用者に提供する」とラマスワミ氏は説明した。

Service Provider Central

 こうした基盤として、Nutanixでは数年前からKubernetesによるコンテナプラットフォームをサポートしており、2025年にはオンプレミスからクラウドにわたって一貫して管理する「Nutanix Kubernetes Platform(NKP)」をリリースしている。

 そして.NEXT 2026では、「NKP Metal」が発表された。Nutanix認証サーバーの仮想化環境やクラウドだけでなく、ベアメタルサーバーでKubernetesを実行できるように拡張したものだ。「重要なのは、どの展開方法でも、データやストレージ、ネットワーク、セキュリティ、プラットフォームといった必要なサービスをすべて一貫して提供し、同じ方法で管理できること」とラマスワミ氏は付け加えた。

NKP Metal

 コア事業においては、外部ストレージ対応の拡大を.NEXT 2026で発表した。

 Nutanixは、外部ストレージに対応することを2025年に発表し、Dell TechnologiesのPowerFlexと、Everpure(旧名Pure Storage)のFlashArrayをサポートした。さらに、Dell TechnologiesのPowerStoreのサポートも発表している(2026年後半GA予定)。

 そして.NEXT 2026では、外部ストレージの対応をさらに拡大することが発表されたもので、NetAppのストレージへの対応は2026年後半にGAの予定。Lenovo ThinkSystemのストレージにも2026年後半にGA予定だという。

 外部ストレージ対応について、ラマスワミ氏は、「NutanixはHCIでコンピュートからストレージ、ネットワークなどを管理することで、インフラの近代化を支援してきた。しかし、既存の環境を使い続けたいと考えているお客さまのことも理解している。そこでここ数年では、既存のハードウェアを変えずに利用できるようにもしている」と説明。さらに、現在の半導体不足により新しいサーバーの購入に時間がかかることに対してもメリットがあると語った。

外部ストレージ対応にNetAppとLenovoを追加

売上10%増、新規顧客数は8年ぶりの最高成績

 グローバルでの事業状況については、Nutanix Inc.のアジア太平洋地域および日本(APJ)担当バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーのジェイ・トゥセ(Jay Tuseth)氏が説明した。

 トゥセ氏はまず、Nutanixの3つの追い風として、VMwareからの移行、コンテナプラットフォーム、エージェンティックAIを挙げた。

 「それがビジネスの結果にも反映されている」として、トゥセ氏は前期である2026年第2四半期の業績ハイライトを紹介した。

 売り上げは7億2280万ドルとなり、前年同期比で10%増となった。また、四半期で約1000社の新規顧客を獲得し、約8年ぶりの最高新規顧客数となった。

 トゥセ氏は「今後もこの傾向が続くだろう」として、この四半期で数十万台の仮想マシンがVMwareからNutanixに移行したことを紹介。「グローバルで非常に堅実な成長が見られている」と語った。

Nutanix Inc. アジア太平洋地域および日本(APJ)担当バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャー ジェイ・トゥセ(Jay Tuseth)氏
Nutanixの2026年第2四半期の業績ハイライト

同日発表を中心に、日本での事例や協業を紹介

 日本での事業については、ニュータニックス・ジャパン合同会社の執行役員 Field CTO 兼 システムエンジニア統括本部長の荒木裕介氏が説明した。

 荒木氏はまず、Nutanixの年次レポート「Enterprise Cloud Index」からデータを紹介した。まずAIとコンテナ活用の拡大について「AIの進展によってコンテナの活用が加速している」と、グローバルで85%、日本で83%が回答した。

 AIには懸念もある。「シャドーITをビジネスリスクとして考えている」が、グローバルで87%、日本で79%だった。

 データ主権の重要性については、グローバルでは80%だったのに対し、日本では57%とグローバルに比べて低い数字だった。これについて荒木氏は「日本市場に対して、Nutanixのソリューションによって、よりセキュアで迅速に展開できるAIプラットフォームを提案していくのが当社の施策」と語った。

ニュータニックス・ジャパン合同会社 執行役員 Field CTO 兼 システムエンジニア統括本部長 荒木裕介氏
Enterprise Cloud Indexより:AIの進展によってコンテナの導入が拡大
Enterprise Cloud Indexより:シャドーITをビジネスリスクとして考えている割合
Enterprise Cloud Indexより:データ主権を重要視している割合

 日本での実績としては、この1年ほど紹介している導入事例と、同日に新発表された導入事例を荒木氏は紹介した。

 東急不動産は、266台の仮想サーバーと大量のデータを、Nutanix Cloud Clusters on AWSに実質6週間で移行した(新発表)。これについては、記者説明会に登壇した説明を後述する。

 相澤病院は、これまでNutanix Cloud Platformを採用しており、新たにAI基盤としてNutanix Kubernetes Platformを採用した(新発表)。国保旭中央病院は、VDIのOmnissa HorizonをNutanixのハイパーバイザーであるAHV上に移行。りそなグループは、プライベート基盤としてNutanix Cloud Platformを採用した。

 また、大塚商会は、独自のクラウドサービス「Cloud IaaS 2」の基盤にNutanix Cloud Platformを採用した。Nutanixのサービスプロバイダー向けプログラム「Nutanix Elevate Service Provider Program」にも参加している。

Nutanixの国内企業導入事例

 三菱電機デジタルイノベーションは、プライベートクラウドサービスでのNutanix採用を発表した(新発表)。データセンターインフラをNutanix Cloud PlatformおよびNutanix Kubernetes Platformを含むNutanixソフトウェアへ移行する。

 さらに、NECおよびNECフィールディングとのパートナーシップ拡大も発表した(新発表)。NECがDXの構想から実装まで支援する「BluStellar Scenario」を拡大する中で、Nutanix Cloud Platformを採用したNECフィールディングのオファリングを展開開始する。これについても、記者説明会に登壇した説明を後述する。

三菱電機デジタルイノベーションの採用
NECおよびNECフィールディングとのパートナーシップ拡大

NEC・NECフィールディング:BluStellarの中でNutanixオファリングサービスを提供

 NECおよびNECフィールディングとのパートナーシップ拡大については、NECネッツアイ 兼務 日本電気株式会社(NEC) DX戦略スペシャリストの田尾研二氏と、NECフィールディング株式会社 執行役員常務の平井真樹氏が登壇して説明した。

NECネッツアイ 兼務 日本電気株式会社(NEC) DX戦略スペシャリスト 田尾研二氏
NECフィールディング株式会社 執行役員常務 平井真樹氏

 BluStellarは2024年5月に発表され、「この2年間でかなり認知度を上げている」と田尾氏は述べた。これまでは大手の企業や団体に対して事業展開してきたが、4月からは、NESICホールディングス傘下のNECネッツアイ株式会社、NECネクサソリューションズ、NECフィールディング株式会社も担当することになり、中堅中小を含めて展開するよう強化した。

 内容については従来のBluStellarと変わらず、「お客さまの経営課題や業務課題にもとづき、NECの技術や知見を用いて、お客さまと一緒に新しいDXを作っていくという共創モデルが起点」と田尾氏は説明した。その中で「仮想化の技術を使ってマイグレーションを図っていく際の有効な選択肢として、Nutanixとのアライアンスを強化した」と同氏は語る。

 具体的には、国内に数百拠点の保守網を持つNECフィールディングのサービスを組み合わせて、Nutanixオファリングメニューを用意。そのGo To Market(市場投入)として、NECと、NESICホールディングス傘下の3社、さらにNECのDXパートナーと組んで、全国に提供する。

BluStellarの拡大
BluStellarにNutanixのオファリングメニューを組み込む

 NECフィールディングのNutanixオファリングサービス「HCIマネージドサービス」は、構築・移行から運用監視、保守までを、メニュー化されたサービスとして提供するもの。全国342拠点による補修対応や、24時間365日対応の監視も含まれる。メニューとしては、Everpureの対応なども用意されると平井氏は説明した。

 サービスでは、ハードウェアがNECグループのデータセンターにあってもオンプレミスにあっても、クラウドのように必要な時に必要な分だけ利用可能とするという。

 「NECフィールディングとしては、自治体や公共、医療などが中心だが、ガリガリの基幹というより、もっと動きの速いシステムにNutanixの技術を応用して、DXの推進を加速していたい」と平井氏は語った。

HCIマネージドサービス

東急不動産:VMware Cloud上の基幹業務システムを実質6週間でNutanix Cloud Clustersへ移行

 東急不動産ホールディングス株式会社からは、グループDX推進部の福原大輔氏が登壇し、VMware Cloud on AWS(VMC)からNutanix Cloud Clusters(NC2) on AWSへの移行事例について語った。

東急不動産ホールディングス株式会社 グループDX推進部 福原大輔氏

 東急不動産グループではDXの一環として、2022年よりグループ各社の業務システムをAWSおよびVMCへ移行して集約した。ここでは人事・給与・財務・会計・販売管理など、ビジネスの根幹を成す基幹業務システムが稼働し、業務データは15TB、仮想サーバーは266台あったという。

 こうしてクラウド化が軌道に乗りはじめたとき、2023年末に急VMware社買収により大幅に料金が改定。2025年の契約更新時には2022年契約時より大幅に上がることがわかった。「この膨大なコスト増は、われわれのビジネスによって到底受けられるものではなかった」と福原氏は語る。加えて基盤の将来性に対する不透明感から、次期基盤への速やかな移行を決断した。

基幹業務システムをクラウド移行
次期基盤への速やかな移行を決断

 移行先の選定条件として、システム環境の変更を最小限に抑えることと、短期間で移行することがあり、選ばれたのがNC2 on AWSだった。NC2ではL2延伸技術によりIPアドレスを保持したまま移行が可能。さらにAWSのバックボーンを直接活用することで、15TBのデータを、現場のビジネスに一切の影響を与えることなく移行できたという。

 「結果として、当初は難しいと思われていた266台の仮想サーバーと大量データの移行を、実質わずか60時間で完成することができた。懸念していた基盤の使用料についても、従来環境を維持したまま、約60%まで削減することに成功して、大幅なコスト増という危機を完全に回避できた」と福原氏は語った。

 加えてNutanixを選んだ理由として、「コスト削減や移行のしやすさだけではなく、今後の『攻めのDX』を見据えた戦略的な戦略でもある」と福原氏。「AIをビジネスに実装し、継続的にアップデートしていくためには、より俊敏でクラウドネイティブな環境が必要となる。NC2の導入により、柔軟にリソースを管理できる強固なインプラが整備された。この基盤により、次世代のビジネス要件にも迅速かつ積極的に対応できると確信している」(福原氏)。

 今後については、BCP対策強化や、Nutanix Cloud Manager(NCM)によるリソース最適化などを予定。「インフラという守りを固め、AIなどの最先端技術を活用した攻めのビジネスへ展開していく」と福原氏は語った。

要件とNutanixの選定