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PFU、紙資料を“AIの知恵”へ変える新事業を始動。精度99.99%の次世代AI-OCRと伴走型DX支援サービスを発表

 株式会社PFUは21日、企業内の紙資料をAIで活用するための新事業を開始したと発表した。イメージスキャナー「ScanSnap」などを手掛けるドキュメントイメージング事業部による新事業で、第1弾として、帳票をスキャンするだけで構造化データに変換する新しいAI-OCR「PaperStream AI」、専門家がフォローしバックオフィス業務のデジタル化を進める「ドキュメントDX」の2つのサービスをスタートした。

 PFUの取締役 常務執行役員の宮内靖範氏は、「紙をAIの知恵へ変え、社会のデータ循環の入り口を変えるというのが、ドキュメントイメージング事業部の新たなビジョン。たくさんの紙の中に埋もれている非構造化データを、AIが使える形へ変換し、さまざまな現場に眠っている貴重な情報を価値あるものにする。社会の意思決定を支える存在に進化していきたい。今回、発表する2つの新サービスはその第一歩であり、大きな一歩となると考えている」と、新事業の狙いを説明した。

 新サービス2つで2030年に50億円の売上を目標とし、「スタートとなる2026年度には、2つのサービスを合わせて8億円から10億円の売上を目指していきたい」(宮内常務執行役員)としている。

 なお、今回の新事業に対し、代表取締役 社長執行役員の平原英治氏は、「1983年にイメージスキャナーを発売以来、ハードウェア、ソフトウェアの進化を続けてきたが、近年はAIを取り入れ、認識精度を向上させ、新しい領域に拡大していくことを目指している。本日の発表もその延長線上にある。企業の現場では、非定型の書類、PDF、画像、メールなどの電子ドキュメントなどが増えていくことで、スキャナーで読み取っても後工程に自動でつながらないという課題を抱えている。そこでPFUの強みである高品質なイメージ入力とAIの組み合わせで、AIが使える構造化データに変え、後工程のワークフロー連携、そして業務システム連携につなげていくことを目指している」と、企業の現場が抱える課題を改善するためのものだと強調した。

株式会社PFU 代表取締役 社長執行役員の平原英治氏

非定型帳票をAIが読み取り構造化データへと変換

 新事業の第1弾としてスタートするサービスの1つ目「PaperStream AI」は、データ化が難しい請求書、注文書などの非定型帳票をAIが読み取り、構造化データへと変換していくサービスだ。

新AI-OCRサービス「PaperStream AI」

 「FAXやPDFなど、取引先ごとにレイアウトが異なる請求書や注文書などはデータ化されずに残っていることが多い。帳票類は非定型のものが多く、従来のOCRでは読み取ることができなかった。またデータ化が進まないのは、取引先に対し、『FAXを止めてください』、『レイアウトをOCRで読み取りやすいものに変更してください』といったことが言いにくいことにも起因している。そこで新サービスでは、従来はデータとして取り込むことが難しかった帳票類もデータとして取り込むことができるAI-OCRサービスとして製品化した」(PFU ドキュメントイメージング事業本部 グローバル戦略統括部長の轡田大介氏)。

株式会社PFU ドキュメントイメージング事業本部 グローバル戦略統括部長の轡田大介氏

 サービスの大きな特徴は、設定いらずで、多様な帳票を即データ化できる点。生成AI技術を活用して帳票の記載内容を解析し、取引先や仕入れ先ごとに異なる請求書などの非定型帳票でも、定義設定の手間なく取引先名や日付、金額などの項目を自動抽出する。

 事前にOCR項目を定義する必要がないため、専門知識なしでもすぐに運用を始められるほか、帳票フォーマットの種類が多い場合や新しい取引先の帳票が追加された場合でも、導入初期から幅広い帳票をスムーズに構造化データへ変換できる。

 データ化については、PFUの独自技術と生成AIを組み合わせることで、認識精度99.99%を実現した。帳票全体の構造把握と高精度な文字認識を掛け合わせ、生成AIで統合・判断する独自技術により、高い認識精度を実現しているという。

PFU独自の画像処理・OCR技術と生成AIを組み合わせ99.99%という高精度な認識を実現

 処理スピードについては、「高速OCR処理」と「並行して行える確認・修正」で、高い作業効率を実現する。「高速OCR処理」では、複数OCRエンジンと生成AIを組み合わせ、並列処理を行う独自技術によって、高速なOCR処理が可能。さらに、一般的なクラウド型AI-OCRサービスのように「OCRの認識が完了するまで待ってから確認する」のではなく、OCRの進行に合わせ確認・修正を同時に行えるため、待ち時間を最小化できるとした。

PFU独自技術により、高速処理を実現
時間を縮めるのではなく、ムダな“待ち”を削る

 また、学習は自社の運用データをもとに行われ、他企業の影響を受けない。少量の処理のみを行う部門にも展開しやすく、全社で入力業務の効率化と投資効果の最大化を図れるという。

現場が使えば使うほど、PaperStream AIは“自社専用”に進化

 さらに、ダッシュボード機能により、処理枚数やジョブ別の読み取り状況、オペレーターごとの処理量などを把握でき、進捗に応じて業務フローの見直しなど、運用改善をタイムリーに行えるとのこと。

 ライセンスについては共用利用が可能なため、複数部門への展開で投資効果の最大化を図れるとのこと。なお、処理枚数に応じたプランを用意しており、全社で1つのライセンスを導入して複数部門で共用する運用にも対応している。価格(税別)は、1年間のクラウドライセンスの場合、1万ページまでが年間30万円、5万ページまでが年間100万円、20万ページまでが年間200万円。足りなくなった場合のための追加ライセンスも用意されている。

 一方、PCに導入する「PaperStream Capture Pro」は年間3万5000円、PDFや画像ファイルの取り込みにも対応できる「PaperStream Capture Pro Premium」は年間15万円。PaperStream Capture Pro/Capture Pro PremiumとPaperStream AIを連携することで、スキャンから画像確認、帳票仕訳、OCRまでを1つの流れで実行できる。このため、郵送やFAXで届いた紙の帳票、メールに添付されたPDFなど、入力形態が混在していても同じフローで取り込み、データ化を行える。

入力形態がバラバラでも、同じ操作・フローで完結

 このほか、導入準備にかかる時間をできる限り短縮したい場合や、社内リソースが限られる中でも確実に立ち上げたいユーザー向けに、PFUの専門技術者が初期設定や連携フローの設計から調整、運用定着までをサポートする「PaperStream スタートアップサービス」を用意。OCR結果と基幹システムのマスタ情報である取引先コード、取引先名、仕入れ先コードなどとの照合、および後続システム連携に必要な設計・設定・適用までを任せることができる。

バックオフィス業務を効率化する新しいDX支援サービス「ドキュメントDX」

 もう1つの新サービス「ドキュメントDX」は、バックオフィス業務を効率化する新しいDX支援サービス体系。「先ほどから説明している通り、PFUが目指すのはドキュメントAIレディの世界。当社の技術でアナログ情報を高品質な構造化データへ変換するだけでは十分な効果を得ることはできない。構造化データがお客さまの業務システム、そしてAIと最適に結びついて初めて業務変革が実現できる」(PFU ドキュメントイメージング事業本部 ドキュメントビジネス統括部長の川久保恭子氏)。

株式会社PFU ドキュメントイメージング事業本部 ドキュメントビジネス統括部長 川久保恭子氏

 その際、効率化を実現するためには、従来の業務フローを見直して、デジタル化を進めることが効果的だが、「それが実現しないために、AIを導入しても議事録作成、情報収集といった限定的な用途にとどまっているのが現状。こうした状況を当たり前と思い込み、自社の業務フロー改善を課題だと気づいていないケースも多々ある」(川久保統括部長)とした。

 また、部門ごとにサイロ化されたレガシー業務システムが立ちはだかり、業務改善が進まないケースも多い。「業務改善を図りたくても、基幹システムへの影響が大きすぎて、リスクを恐れて改修に踏み切れない。いろいろな部門が独自の業務プロセスを残存させているため、パッケージソフトを入れようとしても現場の抵抗にあって進まないケースも多い。巨大な基幹システムや業務システムを作り直すことは、莫大(ばくだい)なコストと時間がかかり、現実的ではない」(川久保統括部長)。

 そこで新サービスの「ドキュメントDX」では、既存の基幹システムに手を入れるのではなく、その周辺から改善することで効果を上げることを目指す。こうした現状を鑑み、今回は約1カ月から1.5カ月という短期間で、ユーザーの業務と文書の棚卸し、課題整理、改善施策の提案を行う「ドキュメント業務棚卸サービス」をメニュー化した。

 もう1つの「ドキュメント業務デジタル化サービス」では、スキャナー、AI-OCR、RPA、ファイリングシステム、既存システムとの連携などを組み合わせ、文書情報を業務で使える形に変換する。また「ドキュメント業務棚卸サービス」で実施した改善施策の提案内容および顧客の要件に応じて個別に提案する。

 PFUでは、これまで、200社以上の文書業務デジタル化を実現した実績を持つとのことで、文書と業務の棚卸しから専門家が伴走し、企業のDX化を支援。既存のシステムには手をつけずに成果を実現するとしている。

「ドキュメント業務棚卸サービス」「ドキュメント業務デジタル化サービス」で業務変革を支援

 なお、PFUでは、サービスの中核となる新AI-OCR「PaperStream AI」を起点に、紙文書のデータ化から既存システム連携、AI活用までを一気通貫で実現可能な点もアピールした。

 また、PFU自身の経理部門で現在進めている、請求書処理業務の実証実験について紹介。「当社の経理部門においても、支払いミスの許されない全件目視による大量のチェック作業というのが存在している。担当者が請求書と画面を1件1件見比べる手作業中心の業務になるが、ここにドキュメントDXを適用することで、紙やPDFで届く請求書を、AI-OCRでデータ化し、申請データと自動で照合する仕組みを現在検証している。これによって、自動照合で不一致だった分のみを人が確認する運用へと移行する。問題のないデータは一括承認も可能となるため、結果として年間で約1250時間、金額にして540万円相当の工数削減を見込んでいる」(川久保統括部長)とした。

 価格は、ドキュメント業務棚卸サービスが1業務あたり100万円。ドキュメント業務デジタル化サービスは、初期費用が60万円からで、ランニング費用は2年目以降34万円からとなっている。