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セールスフォース、パーソナルAIエージェントに進化した「新Slackbot」を国内提供開始
2026年1月21日 06:00
株式会社セールスフォース・ジャパンは、同社のビジネスコミュニケーションツール「Slack」において、自動化機能「Slackbot」をパーソナルAIエージェントとして一新した“新しい「Slackbot」”を1月20日に発表し、同日から日本での一般提供を開始した。米国での1月13日の発表を受けたもの。
対象となるSlackのプランは、ビジネスプラスとEnterprise+で、段階的に提供を開始する。既存ユーザーはセットアップも追加費用も不要という。
Slackbotは、すでにSlack上に存在する会話や業務コンテクストを起点に、Salesforceのツールやデータとも連携しながら業務を支援する。質問への回答から、業務の整理、コンテンツ作成、会議のスケジュール調整、各種アクションまでをSlack上で実行可能だ。
例えば、「Slackで○○さんとこんなことを話した気がするが探してほしい」という漠然とした質問をしたり、「私に送られた重要なファイルは?」と尋ねたり、やり残した仕事があるかどうかを下書きやカレンダーなどから調べてもらったりできるという。
また、社内に蓄積された大量のスライドファイルから自分の仕事に必要な情報を抽出するといった、情報の要約もできる。
さらにSlack内や社内のデータからCanvasやコンテンツを作成する機能もある。例えば、1on1会議の前に自分の1週間の活動を調べてCanvasにまとめてもらうといったことができる。
Slackでの議論を要約し、Salesforceのデータを参照して販売戦略を作成し、ドキュメントにまとめる
同日開催されたプレス向け説明会では、業務の中で新しいSlackbotを使うシーンがデモされた。
シナリオは、マーケティング担当がSlackbotを使い、商材(ここではSlackbotそのもの)を日本で展開する戦略を立て、営業と共有するというものだ。
Slack上のプロジェクト用チャンネルでは、すでにメンバーによる議論が進んでいるという設定だ。そこで、まずはSlackbotに指示して、このチャンネルで議論されている内容を要約するよう依頼すると、Slackbotが主な論点ごとに個条書きで要約して回答した。
そこからさらに、要約された内容をふまえ、第4四半期中に提案すべき顧客を業種ごとにまとめて、販売戦略を立てるよう依頼。するとSlackbotは、Salesforceに蓄積されたAccountオブジェクトなどのデータを参照し、業種ごとの提案対象や提案価値、営業アプローチを回答した。さらに、実行すべきプランも提案している。
最後に、この販売戦略の内容をSlack Canvas上にまとめるよう依頼。そのSlack Canvasを、営業メンバーと共有するところまでデモした。
Slackを仕事に必要なものにすべてアクセスできる「Agent Work OS」に
説明会では、Salesforceにおける位置づけも含めて、Slackbotについて解説がなされた。
株式会社セールスフォース・ジャパン 専務執行役員 製品統括本部 統括本部長 三戸篤氏は、SalesforceのAIのビジョンとして、人とAIが協働して能力を発揮する「Agentic Enterprise」を紹介。それを実現するために用意しているのが「Agentforce 360」プラットフォームだと語った。
そのうえで、SlackがAgentforce 360を利用する入り口となると語った。
入り口となるというのは、「Slackの当初からの重要な『人と人のコラボレーション』のほか、『データとの連携』、そして『AgentforceやAI、自動化ワークフロー』など、仕事に必要なものがすべてSlackのインターフェイスからアクセスできるようになっている」ことだと、株式会社セールスフォース・ジャパン 製品統括本部 プロダクトマネジメント&マーケティング本部 プロダクトマーケティング マネージャー 鈴木晶太氏は説明した。
SalesforceではこのSlackの位置づけを「Agentic Work OS」と名付けている。これについてSalesforceのCEOのMarc Benioff氏は「SlackをすべてのSalesforce製品のフロントエンドにする」というビジョンを語っている。また共同創業者でCTOのParker Harris氏は「すべてのクラウド製品がSlack firstになる」と語っている。
鈴木氏は、現在のAIエージェントなどのAIの課題として、AIが仕事のツールと一体化しておらず横(別ウィンドウなど)にあることと、自分の会社のことを理解できていないことを挙げる。そして、この課題を解決するのがSlackbotだと述べた。
Slackbotのセールスポイントとして、鈴木氏は6つを挙げた。1つめは、データになる前のSlack上の会話の流れなど、コンテクストを理解すること。2つめは、その人がどのような話し方をしているか、絵文字の使い方なども含めて、深くパーソナライズされること。3つめは、質問するだけでなく業務のアクションの実行にも使えること。4つめはSlackにシームレスに統合され、同僚相手とSlackで会話するのと同じようにAIとやりとりできること。5つめは、エンタープライズレベルのセキュリティを備え、利用ユーザーと同じ権限でデータにアクセスすること。6つめはSlackを使っていればほかにインストールの必要がないことだ。
さらに「SlackbotをSlackbotたらしめている裏の仕組み」として、鈴木氏は「エンタープライズ検索」を紹介した。社内で利用されている、Salesforce、Google Drive、Teams、GitHub、OneDrive、SharePoint、Boxなど、さまざまなアプリケーションと連携して、その中のデータを取得する。「さらに、Slack内の会話のコンテクストを把握して、どのデータが適しているかも判断して情報を届ける」と鈴木氏は説明した。
メルカリ「AIエージェントがSlackという職場環境にいる同僚に」
説明会では、Slackbotのパイロット顧客として、株式会社メルカリ AI Task Force Director 小泉剛氏が登場。株式会社セールスフォース・ジャパン 常務執行役員 Slack本部 Head of Slack Japan 浦和広氏との対談形式で、どのように利用しているかが語られた。
1つめの質問は「Slackbotはどのような業務や場面で活用されていますか」。これについて小泉氏は「幅広く全従業員が、資料作成や企画など、普段やるような業務で使っている」と回答。そうした業務の最初の段階で、まずSlackbotに話しかけて要約を作るなどによって、スピードを高めていると語った。
2つめの質問は「効果を測るためにどのような指標(KPI)を設定されていますか」。これについて小泉氏は「あまり明確なKPIは設定していない」と回答。AIは未知のもので、どんな仕事にどんな影響があるかすらわからないので、まず使ってみるのが重要だと語った。
ただし、「それは第一のKPIに置いていないというだけで、問い合わせや資料収集などの時間がどれだけ短くなったということは数値として出る」と付け加えた。
3つめの質問は「Slackbotを実際に利用してみて、どのような価値や変化を(ご自身で)直感的に感じられましたか」。これについて小泉氏はSalesforceの「Agentic Work OS」という言葉を引きながら、「われわれの会社では、Slackが職場環境のようになっている」として、「そこにSlackbotという会話できるエージェントがいることで、新しい同僚が生まれる」と回答した。
4つめの質問は「現場の従業員からは、どのような反応がありましたか」。これについて小泉氏は、一般に新しいものを導入すると「期待していたものと違う」というような反応がありがちだが、Slackbotについてはスムーズに使えていると回答した。
最後の質問は「今後、Slackbotに期待する点や、社内でのSlack活用をどのように広げていきたいとお考えか、ご展望をお聞かせください」。
これについて小泉氏は、今後はSlackの中でエージェントとどう協働していくかが課題だと回答。社内の既存のボットやエージェントとも合わせて、「新しい同僚」とどう働いていくかのパラダイムが必要になると考えていると語った。
さらにSlackbotへの期待としては、現状では課題の発見や要約といった機能が中心だが、将来的にはSlackbotが自律的にSlackから課題を発見したり、解決策を提案し社員の確認を得て仕事を進めていったり、といった形に進化するのではないかと語った。




















