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Salesforce、公共機関向けAIエージェント「Agentforce for Public Sector」を発表
2025年9月3日 13:46
米Salesforceは現地時間8月19日、公共機関向けのAIエージェント「Agentforce for Public Sector」を発表した。
Agentforce for Public Sectorは、行政職員の業務を補完するデジタル労働力として、知能的なAIエージェントが、定められたルールの範囲内で自律的に動き、複雑で時間を要する業務を担う。
Agentforce for Public Sectorにより、公共機関はAIエージェントを活用して職員や市民を支援し、行政の対応スピードを高め、住民サービスの充実、業務の効率化、職員負担の軽減を実現できる。これにより、職員は本来注力すべき業務に専念できる一方で、迅速で効率的な行政サービスが提供可能になるとしている。
Salesforceでは、世界中の政府関係者がAIによって業務効率、生産性、職員の満足度、サービス提供が向上することを認識しており、64%がAIの導入によって大幅なコスト削減が見込まれると考えているほか、90%の住民がAIを活用した行政サービスに期待しているという調査結果を挙げている。
しかし、その価値は明確な一方で、データプライバシーやセキュリティなどに関する懸念が導入の障壁となっている。こうした状況に対応するため、Agentforce for Public Sectorは、信頼性が高く、安全かつ認証済みのAIソリューションを提供し、職員と住民双方を支援することで、AIの潜在能力を最大限に生かして行政サービスの変革を可能にするとしている。
AIを先行導入した自治体では、すでに効果が現れており、米国テキサス州カイル市では、Agentforceを活用して住民との接点を刷新し、統合管理型でスケーラブルなサービスモデルを構築した。住民は、道路に空いた穴の通報から議会の会議結果の照会まで、自治体とシームレスにやりとりできるようになり、問い合わせ状況も透明化されたという。
Agentforce for Public Sectorにより、公共機関はカスタムAIエージェントと標準搭載のAIエージェントを構築、調整、導入できる。例えば、住民からのよくある問い合わせへの対応や、ライセンス更新手続きの処理などもAIエージェントが自律的に対応できる。FedRAMP High、Protected-B、IRAPを含む厳格なグローバルコンプライアンス要件に準拠しているため、公共機関は安心・安全に利用できる。
また、Agentforce for Public Sectorでは、公共機関向けに特別に設計されたAIエージェントが実行できる事前作成済みのアクションも利用できる。例えば、「類似する苦情を検索」「規制違反の有無を確認」といったタスクがあり、これらのアクションは職員、部門、業務プロセスごとに迅速に導入・適用でき、開発時間の短縮、業務効率の向上、職員の生産性向上を実現する。
Agentforce for Public Sectorは、SalesforceのPublic Sector Solutions上に構築されており、数週間でAIエージェントの導入が可能。非技術者のチームでも、自然言語と事前作成済みのテンプレートを用いて容易にAIエージェントをカスタマイズできる。また、Public Sector SolutionsのデータモデルとData Cloudとの統合により、複数のアプリケーションやデータソースから知見を引き出し、包括的な情報に基づいた意思決定が可能になるとしている。
Agentforce for Public Sectorは、8月に日本での一般提供を開始している。