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NEC、切れ目のない通信を実現する、モビリティに適したマルチパス通信の最適化技術を開発
2025年6月9日 16:22
日本電気株式会社(以下、NEC)は9日、コネクテッドカーや鉄道、ドローンなどの移動体に安定した通信を提供するための、モビリティに適したAIによるマルチパス通信の最適化技術を開発したと発表した。
今回開発されたのは、移動や輻輳(ふくそう)によって時系列的に大きく変動する帯域を予測し、複数の車外通信を融合して車の通信要件(特性や優先度)に応じて最適に再分配することで、限られた帯域でも多様なサービスを効率的に収容しつつ、通信品質を確保できる技術である。
従来のモビリティサービスで実現が難しかった、アプリケーションレベルの品質の充足度を高精度に予測し、コネクテッドカーなどの移動体側で、リアルタイムにマルチパス通信の適切な経路を選択することを可能にしているとのことで、1)応答性能、2)QoE(Quality of Experience)、3)コスト、4)周辺環境――の4つの要素に基づく経路選択技術と、時系列変動を考慮した高精度QoE予測技術により、高品質な通信を維持しつつ収容効率を最大化する、リアルタイムで切れ目のない通信を実現した。
また、遠隔監視、車両制御、エンタメなどアプリケーションごとの特性と、モバイル回線、衛星回線、Wi-Fiの回線特性に合わせた制御により、マルチアプリケーションを同時に利用した場合でも、マルチパス通信の経路切り替えやハンドオーバー時の影響を最小限に抑えられる点も特徴という。
さらに、各エリアで収集した通信品質情報を基に、時系列変動を考慮した高精度QoE予測技術により、回線ごとのQoEを抽象化し、品質とコストを最適化する回線の組み合わせを導出可能。モビリティ基盤側で、移動経路・環境条件・使用アプリケーションに合わせた経路選択が算出でき、RSP(Remote SIM Provisioning)などの技術と組み合わせることにより、エリアごとに最適な通信環境を構築できるとしている。
NECでは今後、同技術を用いたソリューションの開発を進め、2025年度内の実用化を目指す考えだ。なお、6月11日~13日に千葉市の幕張メッセで開催される展示会「Interop Tokyo 2025」にて、同技術の展示を予定している。