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DNP、“日々の困りごと”解決を支援する生成AIパートナーアプリ「Ctrl+Cat」

選択やコピーなどのシンプルな操作で、AIに手間なく作業を依頼可能

 大日本印刷株式会社(以下、DNP)は14日、要約や調査、翻訳などの業務において生成AIの活用を支援する「DNP 生成AIパートナーアプリ Ctrl+Cat(コントロール・キャット)」(以下、Ctrl+Cat)を、同日より提供開始すると発表した。PC端末において、日常的なキーボードの操作(選択やコピーなど)だけで生成AIを直感的に利用できるユーザーインターフェイス(UI)とユーザーエクスペリエンス(UX)を実現しているため、「生成AIを使いこなすための手間」が排除されており、誰もが簡単に社内業務で活用できるという。

Ctrl+Catのイメージ

 「Ctrl+Cat」は、直感的な操作で生成AIを活用できる業務支援アプリ。従来の生成AI利用では必要だった、画面の切り替えやアプリの立ち上げなどの手間は不要になっており、画面上の任意の情報を選択し、ショートカットキーの「Ctrl+Shift+C」を1回押すだけで該当データがCtrl+Catに連携され、生成AIが即座に対応。業務の流れを妨げることなく、スムーズに生成AIを活用して手間を省略化することで、業務の効率化が図れるとした。

「Ctrl+Cat」で簡略化される業務フロー

 また、利用者が生成AIを継続して使いたくなるようなユニークなUXデザインを採用している。具体的には、“利用者の困りごと”を生成AIに伝える猫のキャラクターが登場し、使うとで成長していく“ゲーミフィケーション”の要素を組み込んだ。このように、「使いたくなる」体験を重視し、利用する楽しさを演出することによって、生成AIの活用に消極的だった社員も含め、全社的な利用拡大につなげていけるという。

さまざまな業務を担当する猫のキャラクター

 さらに、自然言語の指示でカスタマイズして独自のキャラクターを生成する機能も搭載する。生成AIへの指示文(プロンプト)をアシストする機能を備え、日常会話のような自然な言葉を入力するだけで、誰でも簡単にオリジナルAI猫を追加できるとした。このAI猫は、複数の最新大規模言語モデル(LLM)と連携しており、テキストだけでなく画像にも対応。社員のニーズに合わせたカスタマイズも可能なため、多様な業務で生成AIの利用促進を実現できる。

自分の“オリジナル猫”を自然言語で生成可能

 活用シーンとしては、以下のような例を挙げた。

要約ネコ:Web会議中等で気になったスライドをスクリーンショットして要約、画像データのためWeb翻訳できないページを翻訳、各部門の週間報告書等を集約して報告資料を作成、など
調査ネコ:関連情報の調査などを実施、など
説明ネコ:プレゼンテーション資料記載の略語等について自分の理解が合っているか確認、など

 料金は個別見積もりだが、300名が利用する場合の参考価格(税込)は、初期費用が660万円から、運用費用がLLM利用料に基づく従量課金となる。

 なお「Ctrl+Cat」は、AWSジャパンが主催した2024年の「AWS Japan 生成AIハッカソン」でDNPが提案し、コピーしたテキストや画像を一時的に保存するクリップボードを介した情報の受け渡しにおいて、高いユーザビリティが評価されて優勝したもの。

 その後、2025年1月にDNPグループ内の一部で運用を開始し、5月現在のアクティブ利用者が対象社員の約50%に達するなど、生産性向上に大きく貢献しているという。今回は、DNP社員向けに提供してきたアプリを「先行評価版」として販売する。

 正式版の提供開始は2025年下期を予定。DNPは、生成AIの社内利用が十分ではないという課題を持つ企業に提供し、2027年度までに累計2億円の売上を目指す考えだ。