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NTTなど3社、将来ネットワークを見据えたサーバーアーキテクチャの共同研究

 日本電信電話株式会社(以下、NTT)は7日、通信ネットワークの基幹部分であるサーバー(ネットワーク装置)の新アーキテクチャ確立に向け、日本アルカテル・ルーセント株式会社(以下、アルカテル・ルーセント)、富士通株式会社と共同研究プロジェクトを立ち上げたと発表した。技術の創出と精練化、早期のフィージビリティ(実現可能性)確認を目的として、2月から共同研究をスタートさせている。

 従来のネットワークでは、サービスごとにハードウェアやプラットフォームを選定しているほか、高信頼性機能などについても、サービス・アプリケーションごとに実装されるため、設備構築や開発・実装、保守体制の確立などに時間や手間が掛かっている。また、ネットワークサービスの多様化とネットワーク機能の仮想化・ソフト化(NFV)がさらに進むと考えられている将来のネットワークでは、ネットワーク機器の数・種類、サービス・アプリケーションの開発量がいっそう増加するとみられており、こうした課題の解決が急がれていた。

 そこで3社では、さまざまな通信ネットワーク機能の共通部分を最大化し、通信事業者とパートナーが培ってきた信頼性・拡張性・運用性をプラットフォームとして実現する、新しいサーバーアーキテクチャの確立を目指すとのこと。これにより、サービスプロバイダはサービスロジックのみに集中して、効率的なサービス開発を行えるようになる。加えて、機器の多品種化を防ぐために、すべてのネットワーク機能を、ネットワークワイドに仮想化したハードウェア上で実現するとした。

 具体的な技術としては、まず、通信事業者の保守運用要件を満たしながら、複数システム間でのハードウェアリソースの共有や、動的なリソースアサインを可能とするサーバー仮想化技術・オーケストレーション技術の研究を行う。

 また、システムを構成する汎用ハードウェア数の増加に応じてリニアにシステム性能を向上させる、スケールアウト型通信制御サーバー構成技術も研究するとのこと。この技術では、複数ハードウェアへの適切な負荷分散や、装置故障時のバックアップへの適切な振り分け先制御も実現する。あわせて、スケールアウト型通信制御サーバーの保守運用技術についても研究するとした。

 3社のうちNTTは、通信事業者の要件の提供と、核となるスケールアウト・冗長化構成に関する分散処理技術の提供を実施。アルカテル・ルーセントは、グローバル市場に基づくシステム要件の提供と、通信事業者向けの保守要件を考慮したサーバー仮想化・オーケストレーション技術を提供する。また富士通は、分散処理技術のシステム化とスケールアウト型通信制御サーバーの保守運用技術の提供を提供するとのこと。

 なお3社では、サービスアプリケーションの早期開発を可能とする新たなサーバーアーキテクチャの確立を目指すとともに、将来的には、通信ネットワークと同様、信頼性・拡張性・運用性を必要とする金融・医療などの分野を支える技術として、この研究成果を展開し、グローバルな普及や世界標準を目指す。

石井 一志